山響こと山形交響楽団の2017〜18年のシーズン最後を飾る定期演奏会は、次のプログラムです。
実は、ブルックナーのミサ曲第2番は、合唱と管楽器で演奏されるもので、弦楽セクションが降り番になるという、極めてレアなケースです。アマデウスコアの合唱の水準の高さは承知しておりますが、弦楽なし、管楽器との共演はどんなものか、興味深いところです。
開演前のロビーコンサートは、ドヴォルザークの管楽セレナード ニ短調Op.44より第4楽章。Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)、Hrn(3)、Vc、Cbの11名編成です。ドヴォルザークはやっぱりいいなあと楽しく聴いた後、司会の西濱事務局長が、実はコントラバスの相川誠さんとクラリネットの郷津隆幸さんが定年退職されると紹介。このときの郷津さんの挨拶が興味深いものでした。
1988年、山響が経営危機にあったとき、サントリーの佐治社長の舌禍事件(*1)があり、おわびに東北のオーケストラが一回だけ無料で演奏会ができることになったそうな。東京の山形県人会が頑張って演奏会を大成功させて、解散の危機を乗り越えたのだそうです。
音楽監督の飯森さんと西濱事務局長の二人のプレコンサートトークでは、モーツァルト交響曲全集が海外でも高い評価を受けているとのことで、海外との関係も広がりつつあるようです。また、近年の集客率の向上がめざましく、2017年にはついに92%に達し、全国トップクラスになっているとのことです。これも、ファンには嬉しいニュースです。
いよいよ開演。第1曲めは、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」。もちろん弦楽セクションのみで、楽器配置はステージ左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、右奥にコントラバス(3)という 8-7-5-5-3 のスタイルです。演奏は、すごい緊張感、集中力! 1957年に書かれたという弦楽のみによる悲歌は、本来は先の大戦の犠牲者を悼むものなのでしょうが、今は東日本大震災や原発事故などの犠牲者への美しい鎮魂歌として聴きました。
第2曲めは、ブルックナーのミサ曲。混声8部合唱と管楽器という編成で、難しい曲らしいです。ステージ上の配置は、合唱団が奥のほうに並び、女声が43、男声が26、合計69名という規模です。その手前に、前列左から Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)の木管楽器、後列がHrn(4)、Tp(2)、Tb(3)という配置。指揮者は座ったままスコアを見ながら指揮します。とにかくハイレベルな合唱に感嘆しながら、ブルックナーはきっと強弱の変化が付けられるオルガン伴奏を夢見ていたんだろうなあ、などと考えておりました。めったに聴けないブルックナーの宗教音楽で、独特の楽器編成の曲を生で聴くことができ、山響ファンで良かったと思った次第です。
ここで、15分の休憩です。ロビーで田部京子さんのピアノで、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番の新譜CDが販売されていましたので、購入してきました。Exton OVCT-00130 です。
後半の第3曲は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲です。8-8-5-5-3 の弦楽5部に、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg82)-Hrn(4)-Tp(2)、Timp という楽器編成。独奏ヴァイオリンは堀米ゆず子さんですが、黒のロングの上にゆったりとした白い模様?漢字?が並んだ衣装です。喩えは良くないですが、ちょうど魚偏の漢字が並んだ寿司屋の湯呑みみたいなイメージといえばわかりやすいでしょうか(^o^)/
なんともまあ、第1楽章、第3楽章のテンションの高さといい、第2楽章の叙情といい、ソリストは圧巻の存在感です。オーケストラもこれに応えて、素晴らしい演奏を展開しました。中間楽章冒頭のオーボエのソロも素晴らしかったけれど、全体的な感応性の高いコンチェルトだったと感じます。
今回も、良い演奏会でした。
(*1):東北熊襲発言〜Wikipediaより
- 武満 徹/弦楽のためのレクイエム
- ブルックナー/ミサ曲第2番 ホ短調 WAB27
- ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
指揮:飯森範親、ヴァイオリン:堀米ゆず子、
演奏:山形交響楽団、合唱:山響アマデウスコア
実は、ブルックナーのミサ曲第2番は、合唱と管楽器で演奏されるもので、弦楽セクションが降り番になるという、極めてレアなケースです。アマデウスコアの合唱の水準の高さは承知しておりますが、弦楽なし、管楽器との共演はどんなものか、興味深いところです。
開演前のロビーコンサートは、ドヴォルザークの管楽セレナード ニ短調Op.44より第4楽章。Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)、Hrn(3)、Vc、Cbの11名編成です。ドヴォルザークはやっぱりいいなあと楽しく聴いた後、司会の西濱事務局長が、実はコントラバスの相川誠さんとクラリネットの郷津隆幸さんが定年退職されると紹介。このときの郷津さんの挨拶が興味深いものでした。
1988年、山響が経営危機にあったとき、サントリーの佐治社長の舌禍事件(*1)があり、おわびに東北のオーケストラが一回だけ無料で演奏会ができることになったそうな。東京の山形県人会が頑張って演奏会を大成功させて、解散の危機を乗り越えたのだそうです。
音楽監督の飯森さんと西濱事務局長の二人のプレコンサートトークでは、モーツァルト交響曲全集が海外でも高い評価を受けているとのことで、海外との関係も広がりつつあるようです。また、近年の集客率の向上がめざましく、2017年にはついに92%に達し、全国トップクラスになっているとのことです。これも、ファンには嬉しいニュースです。
いよいよ開演。第1曲めは、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」。もちろん弦楽セクションのみで、楽器配置はステージ左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、右奥にコントラバス(3)という 8-7-5-5-3 のスタイルです。演奏は、すごい緊張感、集中力! 1957年に書かれたという弦楽のみによる悲歌は、本来は先の大戦の犠牲者を悼むものなのでしょうが、今は東日本大震災や原発事故などの犠牲者への美しい鎮魂歌として聴きました。
第2曲めは、ブルックナーのミサ曲。混声8部合唱と管楽器という編成で、難しい曲らしいです。ステージ上の配置は、合唱団が奥のほうに並び、女声が43、男声が26、合計69名という規模です。その手前に、前列左から Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)の木管楽器、後列がHrn(4)、Tp(2)、Tb(3)という配置。指揮者は座ったままスコアを見ながら指揮します。とにかくハイレベルな合唱に感嘆しながら、ブルックナーはきっと強弱の変化が付けられるオルガン伴奏を夢見ていたんだろうなあ、などと考えておりました。めったに聴けないブルックナーの宗教音楽で、独特の楽器編成の曲を生で聴くことができ、山響ファンで良かったと思った次第です。
ここで、15分の休憩です。ロビーで田部京子さんのピアノで、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番の新譜CDが販売されていましたので、購入してきました。Exton OVCT-00130 です。
後半の第3曲は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲です。8-8-5-5-3 の弦楽5部に、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg82)-Hrn(4)-Tp(2)、Timp という楽器編成。独奏ヴァイオリンは堀米ゆず子さんですが、黒のロングの上にゆったりとした白い模様?漢字?が並んだ衣装です。喩えは良くないですが、ちょうど魚偏の漢字が並んだ寿司屋の湯呑みみたいなイメージといえばわかりやすいでしょうか(^o^)/
なんともまあ、第1楽章、第3楽章のテンションの高さといい、第2楽章の叙情といい、ソリストは圧巻の存在感です。オーケストラもこれに応えて、素晴らしい演奏を展開しました。中間楽章冒頭のオーボエのソロも素晴らしかったけれど、全体的な感応性の高いコンチェルトだったと感じます。
今回も、良い演奏会でした。
(*1):東北熊襲発言〜Wikipediaより