電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「山響クロニクル〜50年の軌跡〜14:気鋭の改革者」がおもしろい

2022年08月05日 06時00分50秒 | クラシック音楽
地元紙・山形新聞では、今年が創立50周年の節目の年である山形交響楽団の軌跡をたどる「山響クロニクル」という連載を続けています。7月26日付けの14回目となる記事では、創立者の村川千秋氏が奥様の病気で退かれた後の、常任指揮者探しがテーマでした。首席客演指揮者の黒岩重臣氏の協力で当座の二年間はしのいでいけることがわかったものの、その後を考えるとなんとか後継となる常任指揮者を依頼しなければいけません。人口20万程度の地方都市に誕生した、財政基盤の弱い小さなオーケストラを引き受けてくれる指揮者がいるのか? 事務局の苦労は思いがけない形で報われます。それまで、客演で指揮したことのある飯森範親氏が、「やりましょう」と即断。その理由は、というのが主な内容です。



このあたり、だいぶ前に、『マエストロ、それはムリですよ…』という本で興味深く読みました(*1)。この、2004年4月の常任指揮者就任記念定期演奏会で聴いたバルトークの「オーケストラのための協奏曲」が素晴らしく、私も山響の定期会員となる直接的なきっかけとなりました。その後の山響のレベルアップと躍進があり、東日本大震災等の影響による危機を乗り越えたと思ったらこんどは少子化やコロナ禍という危機が待っていたことになりますが、それでも前向きにアイデアを出し合い、聴衆とともに歩むというオーケストラの姿勢は、創立者から後継者へと脈々と受け継がれているように思います。

伊藤律子記者の署名記事は、限られた紙面と字数の制約はありますがなかなか面白く、次回が待たれる連載となっています。

(*1):『マエストロ、それはムリですよ…』を読む〜「電網郊外散歩道」2009年7月

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