電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

充電池の進歩を感じたとき

2019年10月25日 06時03分09秒 | コンピュータ
2019年のノーベル化学賞は、リチウムイオン電池関連の研究開発に焦点を当てたものとなったようで、その功績者として、米国の二名のほかに旭化成の名誉フェロー吉野彰氏が選ばれ、受賞することとなったようで、実に喜ばしいことです。

ここで、吉野氏は1948年生まれの71歳、化学を志し基礎的〜専門的教育を受けたであろう高校から大学院までを含む15歳から25歳の年代というのは、1963年〜73年に当たります。以前作成した表(*1)に追加し多少見やすく改変してみると、ああ、やっぱりなあと感じます。



(*1):日本人のノーベル賞受賞者の生年から色々なことを考える〜「電網郊外散歩道」2010年10月



ところで、充電できる電池(二次電池)で、鉛蓄電池ではない乾電池タイプの「充電池」を使い始めたのは、1970年代の後半でした。山登りの際に愛用していた単3×4本のヘッドランプの電池が使い捨てなのはもったいないと、Ni-Cd電池を8本買ってきてタイマーで充電しておき、使いきったら四本を交換するという形で、他の用途にもずいぶん便利に使いました。このころの容量は300mAhくらいじゃなかったかと思います。たしか、サンヨーがトップメーカーだったのではなかったでしょうか。



その後、アルカリ乾電池6本で駆動できる IBM の ThinkPad220 という DOS/V サブノート・パソコンを入手し、やはり乾電池がもったいないと、ニッケル水素電池を6本×2組、計12本用意して使いましたが、800mAhくらいの容量がありましたがほとんど1時間程度しか持たず、緊急時以外には実用になりませんでした。デジタル機器の電池食いを実感しました。またニッカド電池と同様にメモリー効果があり、健全な状態で使い続けるのが難しい面がありました。



その後、私がリチウムイオン電池を使うようになったのはおそらく2001年に購入した Panasonic の PHS からだろうと思います。待受なら2週間も充電無しで電池が持つ便利さに、技術的な進歩を感じました。また、2002年頃に購入したサブノートパソコン NEC LavieZ Crusoe も、リチウムイオン電池を搭載し公称6時間、実質3時間は稼働できるということで、実用的な段階に入ったと感じました。



このゼロハリバートン・デザイン優先のスタイリッシュなパソコンは、メモリー搭載量が 192MB 固定でメモリーを追加できず、度重なる WindowsXP の肥大化で使えなくなってしまいました。その後、プレゼン用に購入したサブノート・パソコン Dell InspironMini 10v(Linux) も電池の実用面での不便さは感じず、むしろ基盤のもろさで起動しなくなり、じきに使えなくなってしまいました。



今のところ、私がリチウムイオン電池を使っているのは、どうやら現用の京セラ製 PHS と Lenovo 製サブノートPC ThinkPad Edge E130(*2)みたいです。リチウムイオン電池採用の電源の面での安定感は抜群ですが、どうもパソコンの Windows が自社の都合優先で使いにくいと感じるくらいでしょうか。2020年7月のPHS停止を前に、やがてはスマートフォンに更新しなければならないわけですが、そのときに再びリチウムイオン電池の恩恵を感じることになりそうです。



若い頃に、実験室で初めて金属リチウムを灯油入りの保存容器から取り出し、シャーレ内の灯油中でメスで切ったときの柔らかな感触と、ピカピカ光る金属光沢と電気伝導性を確かめ、灯油に浮かぶ軽さを実感したときの記憶は鮮明です。同時に、電池として実用的に使うためには、金属Liをそのまま負極に使うのではなく炭素素材中にLiが含まれる形での利用、Liが水と反応して水素を発生してしまうため水溶液を使えずイオンが移動しやすい有機溶媒を選ばなければいけないという電解質溶液の問題、またLiCoO2等を含む正極材料の問題など、難しい課題が山積していたのだろうなと感じます。ブレイクスルーはどんなふうに実現されたのか、単に日本人だからというのではなく、リチウムイオン電池の実現というテーマで、わかりやすい解説を読んでみたいと願っているところです。

(*2):再びThinkPad〜新しいサブノートパソコンを検討する〜「電網郊外散歩道」2013年6月

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