このところ、通勤の音楽に、モーツァルトの「弦楽五重奏曲第1番」を聴いておりました。演奏は、スメタナ四重奏団にヨセフ・スークがヴィオラで加わるという、知名度抜群の組み合わせで、DENON のPCMデジタル録音です。
実はこの曲は、LPで全集を購入しておりましたが、まさかカーステレオでLPを聴くわけにはいかず、近年になってから同社のクレスト1000シリーズのCDを買い直し、車内で聴けるようになったものです。でもLPを捨てる気にならないのは、中高年の「もったいない症候群」のほかに、LP紙箱全集らしい充実した解説リーフレットがあるためでもあります。CDにも興味深い内容の解説があるのですが、質量ともにその充実度にはだいぶ差があり、もっぱらLPの解説を参考にすることが多いのです。
大木正興氏の解説によれば、第1番変ロ長調KV174は、1773年にモーツァルトがイタリア旅行から帰った直後に書かれたものだそうで、
とされています。ふーむ、なるほど。音楽文化の先進地イタリアの空気を充分に吸収してきた若いモーツァルトが、意欲的に周囲の音楽を我が物とし、創作に励んでいる様子を想像すればよいのでしょう。
第1楽章:アレグロ・モデラート、変ロ長調、2分の2拍子。第2ヴァイオリンと第2ヴィオラとがリズムを刻む中で、第1ヴァイオリンが奏でる主題を、低い音で第1ヴィオラが受ける出だしがたいへん印象的です。
第2楽章:アダージョ、変ホ長調、4分の4拍子。やはりヴァイオリンとヴィオラの音色の対比が印象的な緩徐楽章で、優しい気分にひたります。
第3楽章:メヌエット・マ・アレグレット、変ロ長調、4分の3拍子。優雅なメヌエットですが、ここでもヴァイオリンとヴィオラとが協奏的に活躍します。
第4楽章:アレグロ、変ロ長調、4分の2拍子。二本ずつあるヴァイオリンとヴィオラとが、互いに存在を主張しながら対位法的に処理された音楽を奏でます。出だしのリズムがおもしろく、これが曲を支配するようで、聴いていて楽しくなります。
大木正興氏は、若いモーツァルトがこの一曲で弦楽五重奏曲の分野から離れてしまったことについて、二つの理由を推測しています。
(1) 書いても実利が伴わない。
(2) 室内楽の主流が、ハイドンによって完成された弦楽四重奏曲に移っていったこと。
これは、なるほどと頷けます。
参考までに、演奏データを示します。
■スーク(Vla)、スメタナ四重奏団
I=8(33" II=9'22" III=4'14" IV=6'03" total=28'12"
実はこの曲は、LPで全集を購入しておりましたが、まさかカーステレオでLPを聴くわけにはいかず、近年になってから同社のクレスト1000シリーズのCDを買い直し、車内で聴けるようになったものです。でもLPを捨てる気にならないのは、中高年の「もったいない症候群」のほかに、LP紙箱全集らしい充実した解説リーフレットがあるためでもあります。CDにも興味深い内容の解説があるのですが、質量ともにその充実度にはだいぶ差があり、もっぱらLPの解説を参考にすることが多いのです。
大木正興氏の解説によれば、第1番変ロ長調KV174は、1773年にモーツァルトがイタリア旅行から帰った直後に書かれたものだそうで、
作曲の直接の動機はミヒャエル・ハイドンのハ長調の五重奏曲を追跡したいという願いであり、当然、ミヒャエルの作品はその手本になった。ところがこの先輩は更にその年の12月に新しく別のト長調の曲を作った。モーツァルトはたちまちそれに影響されてこの曲を大幅に改作した。メヌエットのトリオは全面的に書き改められ、終楽章も変えられた。第1楽章、第2楽章、トリオ以外のメヌエット部は原曲のまま残された。やはり12月のうちのことである。モーツァルトがいかに自分の周囲の音楽に敏感な神経の持ち主であったかのひとつの好例に挙げられるだろう。
とされています。ふーむ、なるほど。音楽文化の先進地イタリアの空気を充分に吸収してきた若いモーツァルトが、意欲的に周囲の音楽を我が物とし、創作に励んでいる様子を想像すればよいのでしょう。
第1楽章:アレグロ・モデラート、変ロ長調、2分の2拍子。第2ヴァイオリンと第2ヴィオラとがリズムを刻む中で、第1ヴァイオリンが奏でる主題を、低い音で第1ヴィオラが受ける出だしがたいへん印象的です。
第2楽章:アダージョ、変ホ長調、4分の4拍子。やはりヴァイオリンとヴィオラの音色の対比が印象的な緩徐楽章で、優しい気分にひたります。
第3楽章:メヌエット・マ・アレグレット、変ロ長調、4分の3拍子。優雅なメヌエットですが、ここでもヴァイオリンとヴィオラとが協奏的に活躍します。
第4楽章:アレグロ、変ロ長調、4分の2拍子。二本ずつあるヴァイオリンとヴィオラとが、互いに存在を主張しながら対位法的に処理された音楽を奏でます。出だしのリズムがおもしろく、これが曲を支配するようで、聴いていて楽しくなります。
大木正興氏は、若いモーツァルトがこの一曲で弦楽五重奏曲の分野から離れてしまったことについて、二つの理由を推測しています。
(1) 書いても実利が伴わない。
(2) 室内楽の主流が、ハイドンによって完成された弦楽四重奏曲に移っていったこと。
これは、なるほどと頷けます。
参考までに、演奏データを示します。
■スーク(Vla)、スメタナ四重奏団
I=8(33" II=9'22" III=4'14" IV=6'03" total=28'12"
定年といってもそれは組織の決めるもので自分の人生には定年はありません。
まずは小休止して次のステップに移られてください。
これから少しはご自分の時間が取れるようだといいですね。
本当にお疲れ様でした。
>定年といってもそれは組織の決めるもので自分の人生には定年はありません。
おお、ほんとうにそのとおりだと思いますね~。
ようやく取れた土日の連休は、畑仕事の合間に、好きな音楽についてあれこれ調べたり、再度聴き直したりしました。これが、ほんとうに嬉しい時間でした。
もう少しぽかぽか暖かいともっと嬉しいのですが(^o^)/