電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

読売新聞に藤沢周平に関連する連載記事が

2008年04月15日 07時08分36秒 | -藤沢周平
読売新聞に、藤沢周平に関する連載記事が掲載されているようです。筆者は、作家の母校でもある、山形大学の山本陽史先生。山形大学が「藤沢周平の山形」という特別プロジェクトを組み、読売新聞社が共催する関係で、インターネットでもヨミウリ・オンラインのこのページ(*)から読むことができるようです。地方版扱いのようですが、山形県人ばかりでなく、全国の人が読むことができ、これはありがたい。

(*):藤沢周平の山形 海坂藩探訪 山形大教授・山本陽史
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単身赴任先に運ぶ書籍とCDを選ぶ

2008年04月14日 06時13分42秒 | Weblog
先週から、本格的に単身赴任生活が始まりました。夏場には通って通えない距離ではないため、さほど悲壮感はありません。

とはいうものの、通勤時間が短い分だけ、一人の夜は長い。つきあい酒の習慣はありませんし、音楽CDと書籍を物色して運ぶ必要があります。まだ読みおえていない本や、まだじゅうぶんには聴きなじんでいないCDなどを手提げバスケットに選んで、アパートに持っていく準備をしましょう。

実際には、食事の準備や後かたづけ、ごみの始末等でけっこう時間がかかります。読書三昧、音楽三昧とはいきません。ぼちぼち読んで行くことにします。読み終えたものは、こまめに自宅に戻しておかないと、また引っ越すときが大変になります。こうしたバスケットで運搬できる程度が目安と、心がけておきましょう。
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山形弦楽四重奏団第27回定期演奏会を聴く

2008年04月13日 08時33分16秒 | -室内楽
昨日の土曜日、午後から老父が入院先の病院から一時帰宅、入浴して一休みし、さっぱりして、喜んで行きました。腸閉塞の手術の経過はまずまず順調なようで、食事も全がゆになりました。もう少し経過を見て、抗ガン剤の化学療法を再開する予定です。気力がおとろえていないのがなによりです。

そんなこんなで、山形弦楽四重奏団の第27回定期演奏会、アンサンブル・ピノによるプレ・コンサートには間に合わず。ヴァイオリンの中島光之さんのプレトークに、ようやく間に合いました。会場となる文翔館議場ホール、いつもは前列のほうに陣取るのですが、今回はおとなしく一番後ろのほうへ。ホールの特性でしょうか、中島さんの声がマイク無しでもよく聞こえます。内容は本日の曲目の解説ですが、特にフォーレについて詳しく説明してくれました。

ドイツ・ロマン派が行き着いたワーグナーなどのドイツ音楽に対し、フォーレはフランスの音楽を求めます。グレゴリオ聖歌などに遡り、新しい響きを追求。フォーレの「レクイエム」には「怒りの日」がないように、派手な表現を嫌い、内面的な作風が特徴。弦楽四重奏曲は最後の作品で、心の平安に向かって行くものです。響きは穏やかで、心に浸みて行く音楽、とのことです。

お客さんの入りはほぼ満席に近いくらい、かなり多かったのではないでしょうか。演奏は、まずハイドンの弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76の2「五度」から。ステージ左から、第1ヴァイオリンを中島さん、第2ヴァイオリンが駒込綾さん、チェロが茂木さん、そしてヴィオラが倉田さんです。
第1楽章、アレグロ。短調のビッグベン。流れるようなハイドン、ふわっとやわらかいハイドンです。コントラストの強い場面でも、バランスを崩しません。こういうハイドン、好きですねぇ(^_^)/
第2楽章、アンダンテ・オ・ピウ・トスト・アレグレット。第1ヴァイオリンの主題に3人がピツィカートで。変奏が伸びやかで美しい。
第3楽章、メヌエット。アレグロ・マ・ノン・トロッポ。どことなくオリエンタルな、とても面白いメヌエットです。後半はカノン風の展開に。
第4楽章、フィナーレ。ヴィヴァーチェ・アッサイ。四人の奏者が全休止することで作られる間合いが印象的。静寂から再び第1ヴァイオリンで音楽が立ち上がって来ます。

個人的にハイドンの弦楽四重奏曲が大好き、特にこの作品76の六曲はお気に入りの作品が多く、嬉しい時間でした。

続いてベートーヴェンの弦楽四重奏曲第6番、変ロ長調、作品16の2です。第1ヴァイオリンが駒込さんに、第2ヴァイオリンが中島さんに交代します。
第1楽章、アレグロ・コン・ブリオ。小鳥の鳴くようなところもある、牧歌的な出だし。少し音程に不安なところもありましたが、全体に軽やかでリズミカルでいい感じです。
第2楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。第3楽章、スケルツォ。アンサンブルの緊密さが問われるところです。
第4楽章、La Malinconia (Adagio~Allegretto quasi Allegro) これ、メランコリックに、という意味なのかな。序奏部、第2ヴァイオリンとヴィオラとチェロが沈んだ響きを奏でる中で、第1ヴァイオリンも憂鬱な嘆きの曲想。チェロの音がしだいに高まる不安を表すのでしょうか。アレグレットも、軽やかですが晴れ晴れとはしていない。再びアダージョ、ことさらに深刻にしてはいないけれど、実は深刻な問題に直面しているようです。ベートーヴェンの演奏は、終楽章に近付くにつれて、ぐっとのってきたようです。

10分間の休憩の後、いよいよフォーレの弦楽四重奏曲が始まります。再び中島さんと駒込さんが交代し、第1楽章、アレグロ・モデラート。倉田さんのヴィオラから始まります。いい音です。全体に中低音域中心の中から、第1ヴァイオリンだけが高音と低音を行き来します。不思議なフォーレの響きです。
第2楽章、アンダンテ。静かで瞑想的な響き。4つの楽器が単独で聞こえるのではなくて、全体の響きの中に存在が見分けられる、といったあり方。絵の具が盛り上がったような絵画ではなくて、表面はつるっと平らなのに色調には陰影がある絵画のよう。
第3楽章、アレグロ。チェロから始まります。チェロのピツィカートの付点リズムがとても面白く印象的。ヴァイオリンやヴィオラも付点リズムを再現しますが、その間に他の楽器が響かせるゆらめくような旋律が繊細で美しい。

遺作となったフォーレの音楽は、意外にも、無調の音楽はすぐそこまで来ているのだな、と感じました。わかりやすい山場や見せ場といったものの少ない地味な曲を、見事にまとめた努力に拍手~です。

アンコールに演奏したハイドンの「皇帝」の第3楽章、メヌエットは、ぱっと窓が開いて外の景色が見えて来る感じ。やっぱりハイドンの弦楽四重奏曲はいいなぁ。

今回の定期演奏会、なかなか聴けないであろうフォーレの弦楽四重奏曲の実演に接することができたという点と、ハイドンの「五度」を楽しみ満足したことと、ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲の意外な(?)難しさを認識したという点で、大きな収穫でした。山形弦楽四重奏団の皆さん、ありがとうございました。


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ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を聴く(2)

2008年04月12日 11時47分08秒 | -協奏曲
この春から、単身赴任で金帰月来の生活になっておりますが、週末に自宅に戻り、ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を、自宅のステレオ装置で聴いております。ノートパソコンに接続した小型スピーカの音とは、やはり格段に満足度が違います(^o^)/

今は、イタリア合奏団による全曲版(DENON COCO-70510~1)のDisc-2を中心に聴いていますが、明るく華やかで幸福な音楽であり演奏である、という基本的な印象は、再生装置のレベルを超えて、ほとんど変わりません。違うのは、チェンバロの通奏低音が明瞭に聞き取れること、響きのバランスが自然にふくらむことでしょうか。

この2枚目のCDには、次の6曲が収録されています。

(1) 協奏曲第7番 ヘ長調 RV567、(4つのヴァイオリンとチェロのための)
(2) 協奏曲第8番 イ短調 RV522、(2つのヴァイオリンとチェロのための)
(3) 協奏曲第9番 ニ長調 RV230、(独奏ヴァイオリンのための)
(4) 協奏曲第10番 ロ短調 RV580、(4つのヴァイオリンとチェロのための)
(5) 協奏曲第11番 ニ短調 RV565、(2つのヴァイオリンとチェロのための)
(6) 協奏曲第12番 ホ長調 RV265、(独奏ヴァイオリンのための)

前回も書きましたが、ヴィヴァルディの音楽は、単身赴任の部屋をぱっと明るくしてくれるような気がするほど、美しい幸福な音楽だと思います。女子救貧院に付設の合奏団の指導にあたっていたヴィヴァルディは、彼の音楽の力で不幸な少女たちが美しさや幸福感を味わえるように、努めていたのかもしれません。通奏低音のない、集中力に満ちた静かな緩徐楽章を聴くにつけても、質素な食事、質素な衣服に甘んじる日常生活を送る少女たちが、演奏用の晴れ着を着て、一途にひたむきに演奏に没頭する姿を想像してしまいます。

添付の解説書によれば、イタリア合奏団の編成は、ヴァイオリンが6、ヴィオラが2、チェロとコントラバスが各1、それにチェンバロが1、というものだそうです。高音域がふわっと明るく華やかな特徴は、このあたりからくるのかも。アカデミー室内管弦楽団の演奏で感じる、中低音のバランスの違いは、指揮者のネヴィル・マリナーが指示したものかもしれませんし、あるいはそもそも編成が違うからかもしれません。

イタリア合奏団のCDは、1988年の6月から7月にかけて、イタリアのピアッツォーラ・スル・ブレンタのコンタリーニ宮でデジタル録音されたもの。自宅のステレオ装置で聴くと、豊かな響きが素晴らしいことがよくわかります。今は、クレスト1000シリーズに入り、こうした全曲盤もたいへん入手しやすくなりましたので、ありがたいことです。
マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団のほうは、録音データの記載がありませんが、おそらく60年代末から70年代初頭のものかと思われます。もちろん、アナログ録音です。

参考までに、第8番と第10番について、演奏データを示します。

【第8番】
■イタリア合奏団
I=3'29" II=4'23" III=3'18" total=11'10"
■マリナー指揮アカデミー室内管
I=3'37" II=3'11" III=3'29" total=10'17"

【第10番】
■イタリア合奏団
I=3'30" II=2'24" III=3'09" total=9'03"
■マリナー指揮アカデミー室内管
I=3'47" II=1'57" III=3'29" total=9'13"

ヴィヴァルディについては、過去にも何度か記事を書いていますので、備忘のためにリンクを張っておきます。
(*1):ヴィヴァルディは女子校音楽部の顧問の先生?
(*2):1ダースなら安くなるってもんじゃない~協奏曲集12曲の謎
(*3):ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を聴く(1)
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ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を聴く(1)

2008年04月11日 06時18分08秒 | -協奏曲
赤毛の司祭アントニオ・ヴィヴァルディの、12曲からなる協奏曲集「調和の霊感」を聴いています。手元にあるのは、イタリア合奏団による全曲版、2枚組CD(DENON COCO-70510~1)と、もう一つ、ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団による抜粋盤(F00L-23004)です。抜粋盤の方は、第6番、第8番、第10番の3曲だけを収録したもので、London Best 100というシリーズの目玉の一つであったろう「四季」のおまけみたいなものですが、好感の持てる立派な演奏であることに間違いはありません。

この曲集は、ヴィヴァルディの作品のうち、Op.1(二つのヴァイオリンのためのソナタ集)とOp.2(ヴァイオリンソナタ集)に続いて三番目に発表された曲集であると同時に、協奏曲集としては初、しかもイタリア国外で出版された最初の曲集としても重要なものだそうです。合奏協奏曲から一歩進み、独奏楽器を加えた協奏曲のスタイルを確立したという意味でも重要なもので、大バッハがこの曲集から5曲を鍵盤楽器のために編曲しているとか。

この協奏曲集は、かなり長い期間にわたって作曲されたものらしく、たぶん「ピエタ」と呼ばれた女子救貧院に付設の合奏団で、少女たちによって演奏されたものなのでしょう。優れた演奏表現技術を身につけた幾人かを独奏者に選び、独奏者を交代させることで少女たちの嫉妬を分散させ、華やかさと情熱の振幅を高めたのではないかと思います。

殺風景な単身赴任のアパートで、ノートパソコンに接続した小型のスピーカから、美しい弦楽合奏の響きが聞こえてくると、室内がぱっと明るくなるようです。ノートパソコンに接続した小型のスピーカでは、音を云々できるものではありませんが、それでもイタリア合奏団の演奏の特徴、高音がふわっとやわらかで華やかなところや、落ち着いたテンポでよく歌うところなどは、楽しく聞き取ることができます。それに対して、アカデミー室内管弦楽団の演奏のほうは、より重心の低い、相対的に中低音がしっかりした音で、テンポが速くシャープな演奏のように感じられます。

参考までに、ヴァイオリン学習者のための教材としても名高いという、協奏曲第6番(独奏ヴァイオリンのための)の演奏データを示します。

■イタリア合奏団
I=3'13" II=2'38" III=2'28" total=8'19"
■マリナー指揮アカデミー室内管
I=2'52" II=1'59" III=2'31" total=7'22"
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山手樹一郎『素浪人日和』を読む

2008年04月10日 20時26分32秒 | 読書
本日、単身赴任のアパートにもようやく電話が開通し、1.5MのADSL回線から、インターネット接続が可能になりました。いやー、不便だった!

山手樹一郎の作品というと、昔の東映チャンバラ映画の世界を思い出します。若くてかっこよくて強い素浪人剣客、実はさる由緒正しき大名のご落胤、美しく気丈なヒロインに、頭が切れて冷酷な悪党一味の御家騒動がからみ、手に汗握る痛快な立ち回りの連続、涙の犠牲を乗り越えて、大団円のハッピーエンドです。

本作品も基本的にはまったく同じです。罪作りな先代藩主・京極大和守があっちこっちに産ませた、母親の違う息子が三人。家来の家に産まれた長兄・中津川要が悪役で権力の座を狙います。正室から産まれたちょいと性格の弱い次兄・京極高忠が当代の藩主、そして無敵の素浪人の末弟・阿蘇猪太郎が主人公です。ヒロインは踊りの師匠の久、こちらも実は江戸家老・京極主馬の孫だそうです。なんだかこの藩は、風紀が乱れておりますなぁ(^o^)/
あらすじは省略いたしますが、国元での対決までは、どうも悪役・中津川要の采配が上回っているようです。まぁ、そうでなくては面白くないのですが。

中年オジン的せんさくを一言。藤沢周平の『用心棒日月抄』シリーズでは、米櫃の底が見え、手にすくえるほどの米しか残っていない時の浪人生活の心細さが描かれます。ところが、山手樹一郎作品の主人公は何をして食べているのか、浪人なのに、生活に困っている風にはぜんぜん見えないのですね。山手作品は、なんとも生活感がないという点が特徴なのだろうと思ったら、実は違うことに気づきました。逆に、藤沢周平こそが、時代小説にリアルな生活感を持ち込んだのだろうと思います。

まだ生活環境が十分に整わない単身赴任先では、当面、こういう気楽な娯楽作品のほうがありがたい。文庫本の数章を読んだら照明を落とし、静かな睡眠の音楽に切替えて眠りたいところです。希望の「睡眠の音楽」は、クラウディオ・アラウ翁のピアノで、シューマンの「子どもの情景」などでしょうか。小さくボリュームを絞り、オート・パワー・オフで自動終了できるようになるといいなぁ。
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単身赴任で音楽再生はどうする?

2008年04月06日 11時03分56秒 | クラシック音楽
最小限の荷物ということで、セダンのトランクに入る範囲で数回に分けて運搬し、週末に軽トラックで小型の冷蔵庫などを運び入れ、衣食住の生活の基盤は、ようやく整いつつあります。

とはいうものの、人は衣食住だけで満たされるわけではありません。寒暖をしのぐ住居と衣服があり、食物にも格別の支障はないとしても、楽しみがないと生活はなんとも殺風景です。当面、音楽CDを聴くことができる環境を、どう確保するか?

前回の単身赴任時には、下の写真のように、ONKYO の INTEC185 シリーズの CDプレイヤー付きチューナーアンプに、娘と一緒に作った小型スピーカで聴いていました。しかし、今はCDドライブが壊れ、再生できません。自宅の枕元で使っている、目覚し兼用ラジカセを持っていくことも考えましたが、それもまた不便になってしまいます。



今のところ、ノートパソコンに Panasonic の小型スピーカを接続して、Windows Media Player で再生していますが、ヴィヴァルディの協奏曲などを聴くにはまだいいのですが、さすがに近代のピアノ音楽やオーケストラ音楽などを楽しむには不満が大きいものです。

さらに、睡眠の音楽のためのオートパワーオフができなかったり、時刻を指定して目覚し再生ができなかったり、この点ではミニコンポやラジカセが、だんぜん便利です。新規購入の優先順位は、生活必需品が先になるのはやむをえませんが、単身赴任先での音楽再生環境は、目下、かなりの重要事項です。
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藤沢周平『竹光始末』を読む

2008年04月05日 16時48分23秒 | -藤沢周平
単身赴任のアパートでは、インターネット接続もまだ開通せず、ノートパソコンに接続した小型スピーカで音楽CDを聴くか、手元に準備した数冊の文庫本を読むくらいしか、当面は楽しみがありません。新潮文庫『竹光始末』に収載された6編は、いずれも下級武士や職人、店の奉公人などが主人公の、藤沢周平らしい小説世界です。

第1話「竹光始末」。小黒丹十郎親子がようやくたどり着いた海坂藩では、新規召抱えはすでに終わっておりました。頼りにして来た柘植八郎左衛門は、親子に同情し、上意討ちに成功すればという条件で、新規に70石の禄を提示します。ですが、当座の生活のため、既に大刀を売りはらい、竹光となっていたのでした。映画「たそがれ清兵衛」のエピソードの原作の一つです。
第2話「恐妻の剣」、馬場作十郎が藩命により討手として修羅場をくぐっても、妻は剣術など一俵の扶持も増えるわけではないと軽視し、あまり出来の良さそうではない息子の学問に期待しているようです。恐妻家のリアルさが面白い作品です。
第3話「石を抱く」、博奕から足を洗い、石見屋という太物屋に奉公に入った直太は、主人の新兵衛が妾を囲い、粗末にされている正妻のお仲に同情しています。お仲の弟でやくざ者の菊次郎が権三を殺しますが、その疑いは直太にかかります。取り調べの石抱きの責め苦にも、直太はお仲の名を出さず、じっと耐えます。運命に抗う男の意地を描くとき、藤沢周平は本当にうまい。
第4話「冬の終わりに」、いかさま賭博の上がりの50両を持ち逃げしてしまった磯吉は、追われて逃げ込んだ家で、病の娘を助けます。不幸な母娘をかばううちに、偶然に博徒の追求から逃れることができ、ようやく不遇だった冬の終わりを知ります。緊迫感が解け、ほっとする幕切れです。
第5話「乱心」、道場仲間である清野民蔵の狂気を垣間見た新谷弥四郎は、藩主の命に対し、討手となることを申し出、乱心した民蔵を討ち取りますが、後に挨拶に来た美貌の妻の中に、彼の不幸の原因を見るのです。
第6話「遠方より来る」、家もなく妻子の煩いもない、お気楽な曾我平九郎と、物頭に昇進し気苦労が多くなるであろう三崎甚平と妻子。その対比が、ほんの少しのうらやましさと、一抹の寂しさを感じさせます。

文庫本の奥付を見たら、前回の単身赴任の春に一度読み終えており、今度が二度目の読了でした。ちょいと感慨深いものがあります。
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単身赴任の住まい

2008年04月03日 20時37分19秒 | Weblog
本日は、夕方からアパートの電気とガスの立合いに出向き、あわせて市役所で転入届を済ませました。これで、名実ともに単身赴任(^o^;)>poripori

アパートの入口を入ると、写真のような台所があります。ガスレンジはだいぶいたんでいますが、流しはまだきれいです。



入口の左手はユニット・バスとトイレです。ほとんど安いビジネスホテルといった趣きですね(^o^;)>poripori



最後に、住む部屋です。次週後半以降の「電網郊外散歩道」は、このような部屋からお送りする予定です(^o^)/



和室なので、なんとなく昭和のテイストが香ります。できるだけ荷物を少なくしようと、ちゃぶ台を机がわりにしてノートパソコンで作業しています。座布団を忘れたので、今度持ってこなければ。カーテンもあったほうがよさそうです。

さて、ようやく電気とガスが開通しましたので、コーヒーくらいは飲めるかな。
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アパートに荷物を運ぶが、電話はまだ先か

2008年04月02日 18時20分55秒 | Weblog
昨日はあちこち挨拶まわりをして、本日午前中には来客対応。懐かしい来訪者あり、しばらく昔話に花が咲きました。午後からは、スーツケースに詰め込んだ単身赴任のこまごまとした荷物をアパートに搬入。明日は寝具と電子レンジかな。こんなときには、セダンの大きなトランク容量が助かります。冷蔵庫などの大物は後日、土曜日あたりに、軽トラックで運搬の予定。

アパートは、6畳とキッチンにユニットバスがついた、いわゆる1DKタイプ。独身または単身者向けですね。部屋のほうは、畳のほかに長辺側にタンス用の板張りのスペースがありますので、意外に広く感じます。ロケーションが市街地のはずれにあるため、窓からは田舎の風景が広がり、入居者は少ないようです。

電気は東北電力に電話をしたらすぐ手配してもらえました。ガスは明日にでも連絡する予定。電話の方は、マンションタイプの光回線は入っていなくて、ADSLしか選択肢がないそうです。しかも局からの距離が4.5kmもあるそうで、減衰がひどく接続も不安定になりそうです。そこで、今までの教訓を生かし、1.5Mタイプを選択しました。工事は早くても4月9日になるとのこと、今週末には歓迎会がありますし、更新はしばらく不定期になりそうです。

腸閉塞で入院している老父は、バイパス手術がうまくいったようで、なんとか元気にしております。明日からおもゆが出るそうで、一ヶ月以上続いた点滴生活から、ようやく食事ができそうな方向へ向かっているようです。
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小学館の「魅惑のオペラ」シリーズ

2008年04月01日 06時31分36秒 | -オペラ・声楽
当地のCDショップには、残念ながらオペラのCD/DVDの品揃えは充分ではありません。もちろん、商品のメーカー型番号を指定して注文は可能ですし、ネット購入という方法があることも承知しています。ですが、どうも長年の習慣なのか、たまたま見つけたものに興味を持って購入するのが嬉しい。そうであれば、すぐに観たり聴いたりして楽しめます。いきつけの書店で、小学館の「魅惑のオペラ」というDVD-BOOKが出ているのを知り、興味を持ちました。手元には、先日購入したレハールの「メリー・ウィドウ」とヨハン・シュトラウスの「こうもり」があります。以前、LDでオペラを集めていたときには手が回らなかったオペレッタなどは、手軽に求められる点でありがたいものです。

実はどちらもまだ観る暇がないので、単身赴任先でじっくり楽しもうと考えていますが、私のオペラやオペレッタのコレクションの欠けているタイトルを、物色しているところです。
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