電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

強風と雨で切れた電線が修復完了

2018年03月16日 06時04分27秒 | 料理住居衣服
過日の「爆弾低気圧」に伴う強風で古い電線の被覆が傷み、絶縁が悪くなったところに連日の雨でショートしたらしく、焼き切れてしまっていた作業小屋に通じる電線ですが、ご近所の電気工事店に依頼し、さっそく交換してもらいました。このたび、工事が完了し、通電テストもOK。これで、サクランボの収穫後の箱詰めなど、屋内作業のための照明や、箱詰め後の梱包機などの電源を確保することができます。ようやくひと安心です。



さて、今日は外回り中心でけっこう忙しい日程ですが、夕方から時間休を取り、ディーラーで愛車マツダ・デミオXDのリコールで残っていたプログラム更新と定例オイル交換、タイヤ交換を依頼する予定。一つずつ懸案を解決していかなければなりません。焦らず急がず一つずつ、です。

コメント

春の到来で読書が進む理由

2018年03月15日 06時03分59秒 | 季節と行事
当地にも春の到来を感じます。三寒四温の言葉通り、ここ数日の気温は四月並みの温暖さで、雪どけが進み、道路も乾いて走りやすくなっています。通勤のラッシュ時間帯もだいぶ分散して緩和されつつあり、普段よりも20〜30分遅く出ても充分に間に合う状況になっています。

また、朝晩の雪かきの時間も不要になり、使える時間は確実に増えました。本格的に農作業が始まると、週末農業がまた忙しくなりますが、今のところは畑も雪どけで泥んこになるばかり。もう少したたないと、作業適期にはなりません。その意味でも、ほっと一息入れられる端境期でしょうか。

春休みや新学期をめどに、新刊書もたくさん刊行されるようで、興味深いタイトルが出ていることも読書が進む理由の一つでしょう。ただいま、帚木蓬生著『悲素』(上下、新潮文庫)に取り組んでおります。

コメント

池井戸潤『ルーズヴェルト・ゲーム』を読む

2018年03月14日 06時04分19秒 | 読書
講談社文庫で、池井戸潤著『ルーズヴェルト・ゲーム』を読みました。購入してから読み始めるまで、なかなかとりかかれずにいましたが、読み出したら一気でした。



プロローグは、社会人野球の公式戦で、青島製作所の野球部がライバル会社のミツワ電器に惨敗するところから。監督は社長とケンカして主力看板選手二名を引きぬきライバル会社に転出、代わって招聘された新監督はパソコンを駆使してスコアブックを分析、新オーダーを組み立て発表しますが、やはり決め手に欠けています。要するに、エースの不在です。

業績が低迷し、リストラに着手せざるを得ない会社で、お荷物となっている野球部はまさに存亡の危機、チームの選手にとっては雇用の危機でしょう。そんなとき、社内の親睦野球大会が開かれますが、野球部ではない製造部チームの派遣社員のピッチャー沖原がすごい球を投げることがわかります。

実は沖原は、かつて高校野球の名門校で嫌なことがあり、中途で野球を諦めて退部したという経歴があるらしいのです。内緒でスポーツ誌の記者に事情を調べてもらったら、ライバル会社ミツワ電器の野球部のエース如月との因縁が判明します。三年生の如月が二年生のライバル沖原を蹴落とそうとイジメを繰り返し、母子家庭の沖原に母親を侮辱する言葉を浴びせた結果の暴力事件だったとのこと。青島製作所野球部マネージャー古賀は、沖原に試合の観戦チケットを渡し、如月が先発することを告げて、

「過去に目を背けているだけじゃ解決しない」「前に進もうと思ったら、その過去に立ち向かうしかないだろう」

と言葉をかけます。



このあたりまで来ると、社会人野球の因縁めいた裏話なのかと思ってしまいますが、実はそうではなくて、青島製作所が最後の頼りにしている新型イメージセンサーの開発の事情が、競合するミツワ電器との提携合併ハナシとの対比のなかで描かれていきます。このへんになると、作者お得意の企業小説で、大どんでん返しもちゃんと用意されており、基本的には勧善懲悪の物語となっています。いわば、社会人野球は両者の上澄みというか、象徴のようなものでしょう。

スポーツにはあまり縁がない当方も、野球の面白さはわかりますので、劇的な決勝戦も堪能できましたし、面白さは流石だと思います。

むしろ、味があるのは、開発スケジュールを前倒しにしてほしいという要請に対する技術開発部長の神山の対応です。頑なに開発スケジュールを守ることが品質を守ることにつながるという信念を貫きながら、予定よりもだいぶ早く新型イメージセンサーを開発するとともに、その小型化にも成功するという大逆転。このあたりのドラマは、理系人間には野球以上に興味深いところですが、残念ながらそこは描かれません。残念といえば残念です。

コメント

安定感と浮気心〜筆記具とノートの組み合わせ

2018年03月13日 06時02分58秒 | 手帳文具書斎
筆記具とノートの組み合わせという観点からみると、ここ数年は実に安定しています。

  • ツバメノートのA5判100枚(A罫)とTWSBIダイヤモンド580ALラヴァー
  • バイブルサイズのシステム手帳とプラチナ#3776ブルゴーニュ(F)
  • 枕元雑記帳としてB6判ダブルリングノートとPowerTank(1.0mm)

こういう組み合わせは、いったん安定すると、なかなか変更されずに長く続く傾向があります。筆記具とノートの組み合わせの、安定感の側面です。

ところが、安定感の反面には浮気心が忍び寄ることもあるわけで、以前は備忘録ノートとして、コクヨのキャンパス・ハイグレード澪のA5判80枚を使い、主としてジェットストリーム・ボールペンを愛用していた時期がしばらく続いておりました。これが今のスタイルに移行したきっかけは、プラチナ社のプレッピーで古典ブルーブラック・インクを試してみたいという、いわば浮気心が発端です(^o^)/

裏抜けしにくいという古典ブルーブラック・インクの特性に惹かれて、ボールペンから万年筆に再び回帰したきっかけは、実はちょっとした浮気心からだった、ということか。今のところ、現状を覆すような要因は見当たりません。盤石の安定感です。

コメント (2)

確定申告を提出する

2018年03月12日 06時07分46秒 | 季節と行事
ようやく、確定申告を提出しました。昨年よりも一日遅くなりましたが、なんとかあと数日を残すばかりのぎりぎりに提出することができ、ほっとしました。そういえば、東日本大震災のときも、提出した翌日にグラっと来たのではなかったか。まずは一段落、あとは過日の台風並み低気圧の被害の対策が残りますが、これはかなりの難問のようです。




そうそう、我が家の作業小屋に引き込んでいる電線も、風と雨で焼き切れたみたいで、地面に垂れ下がっていました。さっそく最寄りの電気工事店に連絡しましたが、気づいてほんとに良かった。年度末に、なんだか次々と難題が続きます。いや〜ん(^o^;)>poripori


コメント

2011年3月の記録は

2018年03月11日 06時02分08秒 | Weblog
2011年3月11日、東日本大震災の日から数えて7年になります。当ブログの記録を見ると、当時の記憶が生々しくよみがえります。忘れようとしても忘れられない、緊張感に満ちた日々です。ブログの記事内容も、緊迫感が感じられます。

では、当時の備忘録ノートはどうだったろうか。ノートはキャンパス・ハイグレードで、Jetstream ボールペンで書いていますので、青はインクが滲み、裏面までくっきりと抜けています。黒はそれほどでもありませんが、少々黄色っぽい成分が抜けているみたいです。

3月10日までは、けっこう色々と記録しているのですが、11日〜15日の5日間は全く記録がありません。ブログのほうは14日から再開していますので、心配してコメントしていただいた皆さんに返事をするのを優先したのでしょう。



備忘録の内容面では、福島第一原発の事故後の各地の放射線量に着目し、線量を等圧線のように見立てて、天気図を描く要領で汚染分布図を作成していました。



あれから七年。福島第一原発では、いまだに悪戦苦闘が続いているようです。冷却しなければ核反応が続行するし、冷却すれば汚染水が増え続ける。悪夢のようなジレンマです。

コメント (4)

ビジネスホテルで朝食

2018年03月10日 07時59分46秒 | 散歩外出ドライブ
昨晩は、職場関係の宴席があり、某ビジネスホテルに泊まりました。酒量もさほどではなく、戻ってすぐに寝たので、幸いにアルコールは残っておりません。食欲も通常通り、快調です。



ふだんは年寄りを相手に純日本風の食事をとりますので、ホテル泊の時は洋風にしたいところです。で、パンとスクランブルエッグ、サラダ等を中心としたバイキングスタイルがありがたい。いつもの席で、文翔館を見ながら食事をしました。



文翔館は、なんだか一部ブルーシートに覆われており、修繕工事が行われている模様。今まで全く気が付きませんでした。こうした街の変化に気づくのも、通勤ドライブに明け暮れる日々を中断し、ホテル泊をしたからでしょう。たまにはいいものです。
コメント

ラーション「田園組曲」を聴く

2018年03月09日 06時01分07秒 | -オーケストラ
先日の山形交響楽団定期演奏会で初めて耳にした、スウェーデンの作曲家ラーションの「田園組曲」Op.19 について、もう一度聴いてみたいと思いました。今は、Google くんに問えばたちどころに答えてくれます。

Larsson Pastoral Suite Op.19

いくつかの候補が YouTube で提示されました。たとえば、これ。

Lars-Erik Larsson - Pastoral Suite, Op. 19


うん、やっぱりいい曲です。山響定期で、ステキな音楽を知ることができました。嬉しいことです。

コメント

今更ですが〜「Bun2」2月号を読む

2018年03月08日 06時05分38秒 | 手帳文具書斎
先日、注文していたパーカータイプのJetstream芯とモンブラン「ロイヤルブルー」インクを受け取りに行った際に、ステーショナリー・フリーマガジン「Bun2」2018/2月号をもらってきました。一ヶ月も遅れましたが、楽しみながら読みました。



今号の特集は、

「2018年のキーワードは"挑戦"」

というものです。新機軸を打ち出した新製品の開発や新ジャンルへの挑戦など、文字通り「挑戦」する製品を紹介するもの。内容は、ペンケースやカスタマイズ・ボールペン、働く女性のための文具シリーズ、180度水平に開く学習ノート、消しゴムで消せるカラーシャープ、高級ボールペンの展開などです。

その他の新製品紹介も多彩ですが、「なるほど!」と思ったのは「左利きのための文具」事情でした。アメリカの学校などでよく見られる、右側に小さなテーブルのついた椅子などは、左利きの人にとっては怒り心頭のしろものでしょう。日本の小中学校の小さな机のほうが、少なくとも左利きの人でも使いやすいはず。このあたりは、日本の学校のスタイルのほうが、ユニヴァーサルデザインの考え方に近いと思います。

残念ながら、中高年オジサンの文具魂を深く揺さぶる製品は見当たりませんでしたが、今号もなかなかおもしろく興味深い内容でした。

コメント

池上彰『高校生からわかる原子力』を読む

2018年03月07日 06時05分19秒 | -ノンフィクション
私が原子力について書かれた本を読んだ最初の記憶は、たぶん小学校高学年の頃、母方の実家で接した『少年朝日年鑑』昭和29年版でしょう。ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験と第五福竜丸の被曝が大きな社会問題となった年の年鑑で、モノクロの写真と報道記事とともに、原爆と水爆の違いやアイソトープなどの解説が子供にもわかるように平易に書かれていました。この時には、父親がヒロシマで救援活動に従事し入市被爆したことなども承知しておりましたので、原子力の恐ろしさ、人間の手に負えないほどのエネルギーと死の灰の危険性を知りました。その後、中学〜高校と科学少年の時代を過ごしましたが、原子核エネルギーを解説してくれた物理の先生の影響も受けることなく、むしろ放射性廃棄物の始末もできない原子力エネルギーというのは不完全な技術なのだろうと感じて、疑いの目で見ていました。ただし、技術的な知識はあったものの、社会的・歴史的な背景についてはまるで理解がいたらず、大人になってようやく、池上彰著『高校生からわかる原子力』を読んでいるところです。

本書の構成は次のとおりです。

第1講 爆弾に使われた原子力
第2講 世界で最初の原爆投下
第3講 核開発競争始まる
第4講 原子力の平和利用へ
第5講 日本は原発を導入した
第6講 日本も核保有を検討した
第7講 拡散する核の脅威
第8講 原発事故と反対運動
第9講 悪戦苦闘の核燃料サイクル
第10講 原発に未来はあるか?

ここで、当方にとって興味深いのは、第4講と第5講でしょうか。第五福竜丸事件を経て、反米的な空気の高まりを抑えたい米国側の意思を受けて、改進党の中曽根康弘議員が莫大な原子力研究予算を国会で認めさせた、ということのようです。日本学術会議が調査機関の設置を勧告提案していた時期に、巨額予算を付けて、いわば札束で学者たちをひっぱたいたみたいなものでしょう。まさしく「見切り発車」のような事態で、放射性廃棄物問題はすでにここから始まっていたというべきでしょう。



以後の歴史の動きは記憶に残るものが多くあり、なんだかほろ苦いものがあります。

コメント

春の嵐が通りすぎた後に

2018年03月06日 06時04分47秒 | 季節と行事
毎年、春先には台風並みに発達した低気圧が、各地に被害をもたらしますが、今年は当地にも影響を残しました。先日の「爆弾低気圧」が通過した際に、夜中に激しい風が吹き荒れ、ずいぶんおっかない夜でした。朝になってみると、あちこちに被害があったようで、某寺や何軒かの住居の一部が損壊したため、関係者がそれぞれ対応に頭を悩ませています。

我が家では、作業小屋の雪囲いが強風でかしいだとか、自転車が倒されて泥除けが曲がったとか、その程度ですみましたが、台風でも経験したことのない事態でした。

おそらくは、地球温暖化により気象の極端現象が増加する(*1〜*3)ということの一環なのだと思いますが、今後は亜熱帯の猛烈台風なみの襲来を想定した風対策を考えていかないといけない、ということなのでしょう。一家の主というのはなかなか難儀なものです。原爆症と向き合いながら住居を維持管理してきた亡父の労苦を、あらためて思います。

(*1):また雨降り〜「電網郊外散歩道」2013年7月
(*2):豪雨・豪雪になる理由は〜「電網郊外散歩道」2014年3月
(*3):最近、大きな水害が多いのではないか〜「電網郊外散歩道」2015年9月

コメント

マーラー「交響曲第9番」を聴く

2018年03月05日 06時03分15秒 | -オーケストラ
ここしばらく、通勤の音楽として、マーラーの「交響曲第9番」を聴いていました。ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏による、1961年のステレオ録音です。

音楽は、聴く側の心持ちにより、印象が変わってくることがあります。マーラーの音楽のような場合は、どうもそういう傾向が顕著に表れてくるほうかもしれません。例えばこの交響曲第9番。苦悩の日々には音楽の持つ深刻な表情が共感をよびますし、平穏な日々であれば小鳥の声など自然を模した音などの喜ばしい要素に親しみを感じます。ほんとうは、苦悩も喜びも、どちらもマーラーの音楽の中にあるのですから、バランス良く受け止めるべきなのでしょうが、素人音楽愛好家の限界で、時々の感情や置かれた状況により、ある部分が強く影響してしまう、ということなのでしょう。今は、どちらかと言えば深刻な表情のほうに惹かれてしまいます。別に、深刻な苦悩のまっただ中というわけではないのですが、確定申告の作業も進まないところに、降ってわいたように先日の嵐で総代をしている寺の一部が破損するなど、次々と難問が降りかかります。なかなか思い通りにはいかない日々の生活ですからね~(^o^;)>poripori

Wikipedia によれば、各楽章は次のようになっているそうです。
第1楽章:Andante comodo(アンダンテ・コモド ニ長調 4/4拍子 自由なソナタ形式)
第2楽章:Im Tempo eines gemächlichen Ländlers. Etwas täppisch und sehr derb(緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように、そして、きわめて粗野に ハ長調 3/4拍子)
第3楽章:Rondo, burleske, allegro assai, sehr trotzig(「ロンド=ブルレスケ」アレグロ・アッサイ きわめて反抗的に イ短調 2/2拍子)
第4楽章:Adagio. Sehr langsam und noch zurückhaltend(アダージョ。非常にゆっくりと、抑えて 変ニ長調 4/4拍子)

ロードノイズの中から音楽が聞こえてくると、ハンドルを持つ手に力が入ります。とくに終楽章。イメージ的に、映画であればチェルノブイリで激しく被曝した消防士が緊急に骨髄移植の手術を受けている場面のバックに流れる音楽。

コメント (5)

平昌オリンピックで感じたこと

2018年03月04日 06時01分39秒 | Weblog
当方にはきわめて珍しい、スポーツに関する話題です。

今冬の平昌オリンピックでは、若い人たちの精神的な強さを感じました。プレッシャーの中でも堂々とプレーし、メダルさえ取ってしまう人が多いこと。すごいことだと思います。日本選手のレベルが高くなっていることもあるのでしょうが、物怖じしないというか、堂々としていることに驚きます。昔と違ってコーチ陣も一流をそろえており、やはり豊かな時代なのでしょう。

とりわけ印象深かったのは、選手団の帰国時の挨拶で、主将をつとめた小平奈緒選手の挨拶が、あれは格別に素晴らしかった。聡明さを感じました。

もう一つ、カーリングという競技の面白さを、初めて知りました。カーリングという競技は、実にテレビ向きのスポーツです。スピードスケートなどはあっという間に終わってしまいますが、カーリングでは選手の表情がじっくりわかりますし、おやつの時間があるというのも面白い。滑っていくストーンを眺めていて、「漬け物石の代わりにならないだろうか」などと不謹慎なことを想像していたのはナイショですが(^o^)/
コメント (2)

ダライッティでジェットストリーム芯を使う

2018年03月03日 06時01分55秒 | 手帳文具書斎
三菱からパーカー互換の Jetstream 芯が発売されたので、二本ほど購入しています。以前、職場の同僚だった某中国系アメリカ人がイタリアを旅した際のお土産、ダライッティのボールペンに入れてみると、書き味はまぎれもなくジェットストリームです。イタリアの、少しチープなオシャレさを楽しみながら、快速なぐり書きにも追従する滑らかな書き味と性能を楽しみました。





一方で、軸が重いのは持ち運びには不便です。1本150円のプラスチック製のボールペンが、やけに軽く感じます。どこから見てもパーフェクトな筆記具というのは、なかなかないもののようです。

コメント

宮城谷昌光『呉越春秋〜湖底の城(八)』を読む

2018年03月02日 06時04分16秒 | -宮城谷昌光
講談社刊の単行本で、宮城谷昌光著『呉越春秋・湖底の城』第八巻を読みました。2017年9月刊の第1刷で、現時点での最新刊です。

越王・勾践が立てた大戦略を、若い呉王の夫差を支える宰相は洞察することができませんが、伍子胥は見抜きます。呉王が越を後略すべく軍を発するとき、越は五湖に船を浮かべ、呉の首都を陥落させる計画であろう、と。越に対抗し、軍船を急造した呉は、兵車を製造していると虚報を流します。こうした情報戦は呉の有利に運び、湖上の決戦は呉が大勝、越王は逃げて会稽山にこもります。越の都を急襲した伍子胥を迎えたのは、ただ一人で喪服をまとった越王の正室でした。

越王の正夫人を焼き殺そうという企ては、呉王とその臣の劣悪さを示していますが、逆にそれを救った西施の勇気と自己犠牲も浮かび上がらせます。越王勾践は降伏し、忍従生活を強いられますが、この期間の范蠡と諸稽郢の活動は越の希望をつなぎます。行く先は、楚です。



越王は才をたのみ、それに溺れて伍子胥にしてやられます。情報戦は呉の勝ち。でも、越王勾践は苦難に学ぶでしょうし、後継者の質と世代は明らかに越が優っています。逆転は時間の問題のように思えます。それには、続刊をまたなければなりませんが、たぶん今夏以降になるでしょうか。待ち遠しいことです。
コメント