電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

晩秋の農作業〜久々の好天で果樹園が気持ち良い

2021年11月15日 06時00分02秒 | 週末農業・定年農業
季節はすっかり晩秋の装いで、田んぼは空っぽになっています。果樹園も落葉の時期に入ってきており、しだいに冬枯れの様相に近づいていくことでしょう。よその園地ですが、見事なラフランスの畑です。




久々によく晴れた週末、土曜日には自宅裏、日曜には少し離れた場所にあるもう一つの果樹園の草刈りとリンゴの落果処理をしました。草の生育速度はよほどゆっくりになりましたが、間隔が一ヶ月以上あきましたので、かなりびっしりと生えています。乗用草刈機で全体をきれいに草刈りし、クワで幹周りを耕し、リンゴの樹の下にたまっている落果を集めて穴に埋めました。昨年は野ネズミが付いたらしく一番端のリンゴの樹が一本枯れてしまいましたので、今年は落果を投げ込んだ穴の上から石灰窒素を撒き、土をかぶせるようにしました。今日から一週間、地区一斉の野鼠対策期間となります。我が家のアホ猫の心配もなくなりましたので、鼠穴に殺鼠剤を投入してみる予定。さて、効果のほどはどうでしょうか。

日差しがないと風が冷たく寒いのですが、日差しがあるとぽかぽか暖かく、気持ちが良いものです。今年一年の果樹園管理を思い浮かべ、来年はこうしようなどと考えながらぐるりと園地を見回りましたが、トンビが二羽、樹の上からこちらを見おろしていました。あれはたぶん、怪しいヤツが来たぞと警戒しているのでしょう。いや、こちらは人畜無害の前期高齢者、まったくあやしい者ではないのですが(^o^)/ こういうときに、ドリトル先生みたいに動物と話ができるといいのですけどね〜(^o^)/

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NHK高校講座「生物基礎」で血糖値の調節の仕組みにあらためて感嘆

2021年11月14日 06時00分52秒 | 健康
今年の健康診断で、HbA1c 値が 5.8 ということではじめてイエローカードをもらってしまいました。そんな事情で、右手薬指の第2関節の痛みにも過敏に反応してしまいましたが、それにしても血糖値の調節の仕組みについて、自分の基礎的な知識が古くなっていると感じます。よく知らない分野に関してはジュニア向けの本を読むのがわかりやすいという経験則を持っていますが、健康の基礎となる肝心の知識を手っ取り早くアップデートするには、「免疫」の内容がとてもわかりやすかったNHK高校講座「生物基礎」(*1)あたりが良さそうです。

というわけで、雨降りを利用してじっくり観てみました。

なるほど、なるほど。肝臓の進化が毛細血管の高密度化であるとか、成長ホルモンが夜のうちに脂肪を体内に行き渡らせ、早朝の低血糖を防ぐ働きをしているとか、生存の危機に直結する低血糖を防ぐ仕組みは何ルートも用意されているが高血糖に対する仕組みはそれほどでもないとか、はじめて知る話もずいぶんありました。ヒトの血糖値は約0.1%、空腹時100mg/dLを基準として60以下なら低血糖で意識を失うレベル、200を超えると高血糖、それが慢性的に継続するのが糖尿病ということなのですね。ヒトを中心として、循環器系、消化器系、自律神経系、内分泌系などの概要が非常にコンパクトに、かつ最近の知見を含めながらわかりやすく映像化されているようです。



そういう基礎知識を持った上で健康診断の検査結果を見てみると、今回イエローカードが出た HbAc1 の値の意味が、よーくわかってきます。

ちなみに HbA1c とは、

HbA1c (%)= 糖化ヘモグロビン / 全ヘモグロビン

で表されるとのことです。糖化ヘモグロビンというのは、ヘモグロビンにグルコースが結合したものだそうで、いったん糖化したヘモグロビンは、もとに戻らない(*2)のだそうな。ヘモグロビンの寿命は120日ほどですから、私の検査結果の場合は、5.8%のヘモグロビンが血液中のグルコースと結合している、つまり直近の数カ月間の間、結合しやすくなるほど血糖値が高めになるときがあった、ということでしょう。暴飲暴食とは縁のない生活のはずですので、考えられる理由は、運動量の低下にもかかわらずカロリー摂取量が多いとか、空腹時に甘いものを食べているために血糖値がスパイク的に上昇する生活習慣がある、というあたりでしょうか。うーむ、どちらも心当たりがあるぞ(^o^;)>poripori

考えられる対策としては、(1)ご飯用のお茶碗を一回り小さくする、(2)空腹時、特に早朝のコーヒーに甘いものを控える、あたりでしょうか。たしかに、「腹八分目」「空腹は最良の薬」などという言葉もありますから、一年間やってみて来年の検査結果がどうなるかを試してみることにしましょう。

(*1): NHK高校講座「生物基礎」で免疫の基礎をおさらいしてみた〜「電網郊外散歩道」2021年7月
(*2): HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに?〜国立循環器病センター

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ペンネ・アラビアータ風とリンゴのコンポートでお昼です

2021年11月13日 06時00分07秒 | 料理住居衣服
ある日のお昼に、急に自分で作って食べることになりましたので、ピリ辛のペンネ・アラビアータ風とリンゴのコンポートをつくりました。冷蔵庫の中はだいぶスカスカになっていましたが、オリーブオイルににんにくと唐辛子の香りと辛味を移し、玉ネギとピーマンを加え、濃縮トマトペーストが残っていましたので、ペンネの茹で汁を加え乳化してソースをつくり、茹で上がったペンネに絡めます。朝の残りのポテトサラダを添えて粉チーズをたっぷりかけて、さあ、食べよう。デザートは電子レンジでチンして作ったリンゴのコンポート(*1)。前回うまくいって作り方を覚えましたので、果樹農家らしく古くなったリンゴから順番にコンポートにしています。



本当はベーコンとか冷凍の海鮮とかがあると良かったけれど、でかい冷凍肉くらいで、すぐ使えそうなものはなかったなあ。でも、ピリ辛とチーズの味で、けっこう美味しかった。一部に残り物のチヂミが見えるのはご愛嬌(^o^)/

(*1): リンゴの簡単コンポート〜「電網郊外散歩道」2021年11月

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こんどは40年ものの腕時計の電池が切れたが

2021年11月12日 06時00分53秒 | Weblog
先日、ふと腕時計を見たら、お昼近いはずなのにまだ朝の時刻を示しています。おやおや、過日の歩数計に続き、こんどは腕時計の電池が切れてしまったかも。さっそく行きつけの時計店に持ち込み、点検も兼ねて診てもらいました。



この腕時計(SEIKO:Silver Wave)は、若い頃に就職した関東某県から山形にUターンする際に、職場の若い人たちが記念に贈ってくれたものです。あれから何度も点検修理をし、使い続けているもので、もう40年になります。さすがにもう寿命なのかという懸念もありましたが電子部品を持たない製品の丈夫さで、お店のご主人によればまだまだ大丈夫ということでした。前回、電池を交換したのは2016年6月(*1)で、5年半になります。そういえば、その前の電池交換も記録にありました。2010年11月(*2)でやはり5年半、合わせて11年前ということになります。すると、次回は2026年の初夏の頃ということになりますか。



(*1): 腕時計の電池を交換する〜「電網郊外散歩道」2016年6月
(*2): 車の12ヶ月点検と冬タイヤ交換、腕時計の修理など〜「電網郊外散歩道」2010年11月

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最近のノートや筆記具など、文具関連の話題

2021年11月11日 06時00分48秒 | 手帳文具書斎
最近の手帳・ノートや文具関連の話題をいくつか。

  • 三菱のユニボールワンが登場したとき、その斬新なデザインに惹かれて、試しに黒・赤・青(0.7mm)を1本ずつ購入しました。2020年3月です。その後、黒と赤は多少なりとも使う場面がありましたが、万年筆のブルーブラック・インクと競合する青は使う場面があまりなく、先日ひさしぶりに使ってみたら書き出しがかすれます。顔料ゲルインク・ボールペンは、使っていないと顔料が沈殿して書けなくなるトラブルが起こる場合があることは承知していますが、ちょいと早すぎ。
  • 考えてみれば、万年筆も毎日使うことが最良のメインテナンスであり、顔料ゲルインクボールペンも同様の特徴を持っています。これに対して、油性ボールペンは案外に寿命が長く、ずっと放置していても書いているうちに調子が戻ることが多いように感じています。であれば、日常的に使う筆記具が顔料ゲルインクボールペン主体、あるいは万年筆と油性ボールペンの組み合わせだと良いけれど、万年筆と顔料ゲルインクボールペンの組み合わせはあまりよろしくないのかも。
  • 娘のインドネシア出張の土産にもらったファーバーカステルのタッチボールペンを4C芯だと勘違いして間違って購入してしまった Jetstream の 4C 芯を使えるように、ぺんてるの「ヴィクーニャEX」の2+1軸を購入しました。4C芯を採用したペンの中で、これが一番お手頃だったための選択ですが、この軸、案外使いやすいです。適度に重さもあり、交互に繰り出す回転もスムーズです。

  • 0.7mmシャープペンシルの使いやすさを痛感しております。0.5mmでも2B芯ならば老眼でもなんとか見えますが、0.7mm の 2B芯の見やすさは格別ですし、0.9mmと比較して0.7mmの筆記抵抗は小さいと感じます。使っているのは職場でプラチナ社の PRO USE と持ち運び用にパイロット社の S3 の各 0.7mm、三菱の 2B 芯に入れ替えて使っています。
  • 備忘録ノートの残り枚数が少なくなってきました。あと13枚、26ページを残すばかりですので、12月上旬には使い終えるペースです。新しいノートは、やはりツバメノートのA5判100枚のものに決定し、すでに準備済みです。

こんなところでしょうか、ダイアリーは12月以降3月までの予定を転記し始めました。一応、年明けから使い始める心づもりです。それには、パーソナルデータ一覧をB6判対応に変更しておかなければ。

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歩数計のリチウム電池を交換した

2021年11月10日 06時00分24秒 | 散歩外出ドライブ
愛用している CITIZEN の歩数計(万歩計)の電池が切れましたので、ボタン型のリチウム電池 CR-2032 を購入し、交換しました。切り替えボタンで時刻を設定し、ようやく使えるようになりました。このところ歩数が減っていますので、なんとか1日5,000歩以上、できれば 7〜8,000 歩は歩きたいところですが、お天気の関係で外仕事も億劫になります。



ところで、この歩数計はいつ購入したのだったろう。電池はどのくらい保ったのだろう。こういうのを調べるには、電子的記録が有効です。紙の記録から探し出すのはなかなか大変です。当ブログで「歩数計」で調べたら、この青い歩数計は、以前の赤い歩数計を見当たらなくしたため、2020年12月に購入(*1)しているようです。したがって、ほぼ一年ということになります。今回の交換でどのくらいの期間使えるものか、これも興味深いところです。

(*1): 歩数計が見当たらないので〜「電網郊外散歩道」2020年12月

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ポイントサービスの移行が先に進めない

2021年11月09日 06時00分41秒 | コンピュータ
最近になって、goo ブログのログイン時に goo ポイントから d ポイントへの移行を促す画面が出てくるようになりました。毎回出るのは鬱陶しいので手続きをしようと思い、メールアドレスを入力して認証メールを受け取り10分以内に認証コードを入力する、いわゆる2段階認証に、メインのPC(Ubuntu-Linux20.04)でチャレンジしてみました。

  • gmail のアドレスを入力しましたが、アドレスにドットが入っていたためか、認証メールが届きませんでした。
  • メインのメールアドレスを入力しましたが、これも認証メールが届きません。平成元年からずっと継続しているメールアドレスのため、@niftyserve.or.jp → 途中経過省略→@nifty.com と変遷していますから、おそらくは新旧のメールアドレスを照合するような仕組みを通り抜けることができないのではなかろうか。
  • それではというわけで、メールアドレスを入力するのではなく「gmailで登録する」を選んでみると、登録画面には入れたものの、結局は個人情報の入力から先に進めませんでした。

ふーむ、これは想像ですが、「ドコモ口座事件」(*1)などの影響なのか、ガチガチに条件を厳しくしたために不正は生じにくいけれどユーザーの実状も切り捨てる仕様になってしまっているのではなかろうか。例えば gmail のメールアドレスにドットが使われているとそれを省いてIDにするのに、ドットを戻さずに返信しているとか、ブラウザだけでなくOSの種類まで限定しているとか、そんなような事態なのでしょう。要するに、テスト入力の想定範囲が狭いのだな。あるいは、ごく少数のチェックで済ませてしまっているのでしょう。なんとなく、国勢調査など官公庁のWEBが「トヨタ車で来ないと受け付けない病院」のような事態になっている(*2)理由がわかってしまったように思いましたし、サービスの信頼性にも不安を感じてしまいます。

まあ、単なるポイントサービスですので、使う・使わないは当方の勝手です。今回、d ポイントにはご縁がなかったということで(^o^)/

(*1):ドコモ口座事件に思う〜「電網郊外散歩道」2020年9月
(*2): 国勢調査オンラインは「やっぱり」回答できず〜「電網郊外散歩道」2020年9月

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NHKテレビで「きょうの料理」を観るとき

2021年11月08日 06時00分15秒 | 映画TVドラマ
勤め人をやめて変わったことの一つに、お昼のテレビを観るようになったことがあります。夕方のローカル番組と昼食どきのニュースに続く番組くらいしか観ませんが、木曜日の「サラメシ」と金曜日の「きょうの料理」はNHK、土曜日の「ぽつんと一軒家」は民放の再放送で、毎回ではありませんがこのあたりは観る機会が多いです。

その中でも、「きょうの料理」を観るのは楽しいです。テキスト『きょうの料理』は、学生時代の一人暮らしの強い味方でしたので、結婚したばかりの頃にドサッと持ち込んだ十数冊は、妻に呆れられたものでした。単身赴任時代には『同ビギナーズ』を愛読していましたが、少ない材料で簡単に作れるものが多く、重宝したものでした。でも、いずれも紙ベースでの話で、テレビの映像つきで作り方を知るのは退職のおかげです。

出演者の特徴もだいぶわかってきて、日本料理を担当する大原千鶴さんの回は漫才みたいだし、おしゃれな西洋料理風家庭料理の栗原はるみさんの回は、相手役のTAIRIKさん(*1)との呼吸がぴったりで、なんだか有閑マダムと若いツバメみたいな錯覚に陥るほどです(^o^)/ いや、栗原さんが包丁を上からトントンと垂直に下ろしてみじん切りをしているときに、TAIRIK さんは牛刀のカーブを活かしてみじん切りをするのを見て、料理経験の豊富さをうかがい知るなど、若い人たちの実力を再認識したりもしています。

こうした映像で一番参考になるのは、例えば「中火で加熱する」とあるとき、どの程度の時間なのかが体感としてわかること。不慣れなときにはつい加熱しすぎて食材がくにゃっとなりがちなのですが、ああ、あの程度でいいのか、とわかりますので加熱し過ぎがなくなります。これはテレビ映像やネット動画の強みですね。

(*1): TAIRIK さんというのは、佐田大陸=さだまさしの息子なのだそうで、芸能スポーツ分野にはとんとうといワタクシには驚きの事実です(^o^)/
TSUKEMEN / HAPPYキッチン(Studio Live)NHK「きょうの料理」挿入曲

TSUKEMEN SPECIAL CONCERT クラシックとシネマで辿る音の旅 (TSUKEMEN CONCERT DIGEST) for J-LODlive2


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セル、オイストラフ、ロストロポーヴィチでブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く

2021年11月07日 06時00分04秒 | -協奏曲
「秋はブラームス」という言葉がありますが、私の場合はむしろ「秋のブラームス」を楽しむほうかも。先日、リンゴの収穫作業でブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いたのをきっかけに、その後は晩秋のブラームス三昧となりました。とりわけ、このところご無沙汰していた「ドッペル」こと「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102」を繰り返し聴きました。若い頃にLPで入手して聴きましたが、その後CDを「CDクラブ」という通販で購入したものではなかったか。ずいぶん前に一度記事にしております(*1)が、やっぱりいいなあと、再度とりあげることとした次第。

このCDの解説によれば、1960年代の後半に、旧ソ連の新世界レコードの英米での販売権を持っていたのがEMIであり、ソ連のアーティストを西側で起用する契約を結んだのだそうな。まず1968年にギレリスとセル指揮クリーヴランド管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集が録音され、翌1969年5月にはこの二重協奏曲と、もう一つ、オイストラフとのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」が録音されたのだそうです。録音ホールはクリーヴランド管の本拠地セヴェランス・ホールで、アメリカ楽旅の途中だったロストロポーヴィチとチェコへ演奏旅行に出かける前の休暇中だったオイストラフが合流して行ったのだそうな。

そういえば、オイストラフは1967年10月のクリーヴランド管の定期演奏会に登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のソロをつとめた後で、オイストラフ自身がショスタコーヴィチの交響曲第10番を振っているようです(*2)。このあたり、彼らはまるで初対面なのではなくて、けっこう交流はあったのだろうと思われます。たぶん、セルとクリーヴランド管が1960年代の半ば頃にソ連に演奏旅行をした際には、ソ連の演奏家たちもどこかで聴いて、その音楽的な力量と達成度を承知していたのではなかろうか。ギレリスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(*3)も、ギレリス側からのリクエストで実現したらしいですし、彼らのつながりがこうした録音を実現する背景にあったように思えてなりません。

しかし、この演奏、いいなあ。全体に堂々としていて、しかもところどころにブラームスらしい繊細な含羞も感じられて、実にいいなあ。1970年EMI録音のほうのドヴォルザーク「交響曲第8番」とスラブ舞曲第3番が併録されています。ほんとにいいCDです。

(*1): ブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年7月
(*2): ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年9月
(*3): セルとギレリスの『皇帝』(EMI盤)〜「日々雑録 または 魔法の竪琴」2007年7月

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映画「ONODA〜一万夜を越えて」を観る

2021年11月06日 06時08分57秒 | 映画TVドラマ
10月下旬、お天気が雨模様で農作業には不向きだったある日、妻と映画を観に出かけました。場所は山形市のフォーラム山形、タイトルは「ONODA〜一万夜を越えて」です。第74回カンヌ国際映画祭2021「ある視点」部門オープニング作品となったフランス映画だそうです。題名となった「ONODA」とは、私がまだ学生だった1970年代のはじめ頃に、フィリピンのルバング島で発見された残留日本人兵士、小野田寛郎さんのことです。当時のことは、うっすらと記憶にあります。たしか、小野田さんの前に横井庄一さんが帰国しており、「恥ずかしながら帰ってまいりました」という言葉が話題になりました。横井さんと比較して小野田さんの場合は、あらかじめ発見が報じられたけれど上官の命令がなければ投降できないという主張だったようで、正直言って「めんどくさい人だなあ」という感想を持った記憶があります。この映画を観て、その理由がわかりました。小野田さんは、陸軍中野学校を出た、玉砕は許されない、遊撃戦すなわちゲリラ戦のプロフェッショナルとして教育された人だったんだ!

映画は全編ほぼ日本語で、ルバング島への到着から島での長い過酷な生活、そして投降までを描いています。仲間がしだいに減っていく過程は一般兵士であれば当然だろうなあと思いますし、殺されたり略奪されたりした現地の住民にしてみれば、えらく迷惑な話です。SONYのトランジスタラジオの放送を聞いて、敵の諜報宣伝活動だと疑ったり、断片的なニュースをつなぎ合わせて大東亜共栄圏の継続を信じたりするあたりは、本人の記憶に基づいているのでしょう。



ルバング島の密林で生き残るのに重要だったのは、良く言えば慎重さと意地、悪く言えば猜疑心と意固地さだったのではなかろうか。地図をつくり、生活の痕跡を消すことにこだわるあたりは追跡捜索される手がかりを与えたくないという一点にあるようで、29年という長い潜伏生活を可能とします。
小野田さんは最初に航空兵を目指したようですが、高所恐怖症がわかって脱落したことが描かれています。高所恐怖症というのは根底に「死にたくない」という気持ちがあるのだろうと思いますが、帝国軍人のタテマエとしては失格の烙印。逆に生きて遊撃戦を展開するという命令は、失格の取り消しと名誉の回復だったために、絶対のものになったのでしょう。陸軍中野学校の上官である谷口少佐の教育は、詰め込み叩き込むやり方ではなく、自分で考え自分で判断して行動するというものでした。それが「玉砕を許さず、生き残って遊撃戦を展開する」という目標・目的でしたから、ある意味、教育の恐ろしさを描くものでもありました。

考えるということは、それまで得ている知識や経験を組み合わせていくことでしょう。知識や経験が偏っていれば、考えも偏った方向に向かうのは当然のことかもしれません。途中で脱落投降して残留兵の存在を知らせた若い兵士は、思想や論理よりもむしろ「こんな生活イヤだ、生きたい」という素朴な感情を優先したのが良かったのかもしれないなあ。

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収穫の秋その2〜リンゴ「紅将軍」の出来は良好

2021年11月05日 06時00分25秒 | 週末農業・定年農業
例年ですと10月末に収穫しているリンゴ「紅将軍」を、今年は一週間遅く11月の文化の日に収穫しました。摘果が遅れて管理不良のリンゴですが、コンテナ二個ほどある中にはごく大玉もあり、全体的にはまずまず良好なでき具合でしょう。見た目はともかく、自家保存用には十分です。「紅将軍」という品種は「ふじ」の早生種のような位置づけで、外観も味も「ふじ」によく似ています。保存性もわりに良好で、我が家では「紅将軍」を冬まで食べています。






ちなみに、大小2個のリンゴのうち左側が小さすぎて収穫し残した樹上完熟の「紅つがる」で、右側が「紅将軍」の大玉です。これだけ大きさが違うと、まるで大人と子供のようです(^o^)/



果樹園で一休みしているときに、果物ナイフでこの樹上完熟「紅つがる」の皮をむいて食べてみましたが、いや、これが実に美味しかった! 「残り物に福あり」とは言いますが、もぎ残しで商品価値のない小ぶりのリンゴが驚くほど美味しいことを発見しました。「紅将軍」のみずみずしさも抜群ですが、ちょいと嬉しい発見です。

ちなみに、収穫作業のお供に聴いていたのは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲でした。クリスチャン・フェラスのヴァイオリン、カラヤン指揮ベルリン・フィル。充電式の中国製ラジオ(SHUSONS)にUSBメモリでmp3ファイルを再生。

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収穫の秋〜サトイモとひらたねなし柿

2021年11月04日 06時00分06秒 | 週末農業・定年農業
果樹園管理に追われ、どうしてもほったらかし状態になってしまうサトイモですが、今年は遅ればせながら追肥も土寄せも実施したので、出来具合が気になっていました。過日、1列ずつ2回に分けて収穫しました。最初は玉ネギ苗を植え付けた10月下旬、2回目が1週間後の10月末、晴天が続いて土が乾いた頃合いを見て掘り出しました。掘りたての芋はこんな具合。



前の週から乾燥させていたものはコンテナに入れて小屋に貯蔵します。今回の収穫分を作業小屋の前に並べて乾かしましたが、土の着き方や色を見るかぎり雨が降ってからの日数が少なく、土がまだ湿っていたようです。乾燥すると土の色が変わります。




「かぶさ」と言って親芋から成長した部分も食べられますので、こちらも並べてみました。里芋は牛肉とコンニャクときのこ類とネギと一緒に醤油仕立てで芋煮にしますが、「かぶさ汁」も野趣があって良いものです。

続いて、ひらたねなし柿の収穫です。昨年は生り年でたくさん収穫できましたが、今年は不作の年と霜の害が重なったようで、渋抜き用が約150個、干し柿用が約40個と、妻にとっては残念な結果(*1)でした。その代わりに、1個1個の大きさがずいぶん大きいです。昨年のものと比較すると五割増し、うっかりすると倍近い大きさです。





脚立を登り降りして収穫するのは大変ですが、こうしてずらりと並んだ柿を見ると、ほんとに自然の恵みを感じます。渋抜き用に二樽ほど漬けました(*2)。開封が待ち遠しいです。

(*1): 晩秋、今年の干し柿は230個、渋抜きする柿はさらに多く〜「電網郊外散歩道」2020年11月今年も無事に柿を収穫〜「電網郊外散歩道」2019年11月
(*2): 柿を収穫し渋抜き作業を撮影する〜「電網郊外散歩道」2012年11月

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リンゴの簡単コンポートを試す〜リンゴの季節

2021年11月03日 06時00分43秒 | 料理住居衣服
リンゴの季節です。我が家のリンゴも晩秋の「紅将軍」の収穫時期となりましたが、先月初旬に収穫した「紅つがる」がまだ食べきれずに残っています。赤く色づいたものから順に消費して、残っているのはあまり赤くない「残念な」リンゴばかり。でも味は変わらないので、電子レンジで簡単コンポートを試してみようと思い立ちました。すぐにネットで検索するのではなく、まずは自分でやってみるところから(^o^)/

  1. まずは、単純に二つ割りにして皮付きのまま芯をナイフでくり抜き、凹みに少量の砂糖を入れて耐熱容器に入れ、軽くラップをしてレンジで5分間加熱しました。その結果、柔らかくはなりましたので、ヨーグルトをのせ、ハックルベリー・ジャムを添えてみました。ただし、皮付きだとナイフがないと食べにくいです。また、準備作業をしているうちに酸化が進み、全体に茶色っぽい。皮も赤みが足りないので、なんとなく全体にみすぼらしいです。




  2. 次に、ネットのレシピをいろいろ参考にして、改善工夫しました。まずリンゴ1個を六つ割りにして芯を取り、皮をむいて塩水につけ、褐色に変色するのを防ぎます。耐熱容器に入れて小さじ1程度の砂糖とバターの小片をのせて軽くラップをし、5分間加熱しました。その結果、全体に色が変わらずきれいです。砂糖分のせいか照りがあり、果肉が柔らかくリンゴの味が素直に出ているのは少量の塩分がきいているのかもしれません。




これで、わずか5分の加熱時間で簡単にリンゴのコンポートが作れることがわかりました。分量は、1人で半個でちょうどいいみたい。リンゴが十分に甘いので、砂糖の量はもっと減らしてもいいかもしれません。ネットではレモン汁を加えるレシピが多いようでしたが、そう毎回レモンが準備されているとは限らず、リンゴの褐変を防ぐために加えるのであれば塩水で十分だろうと判断したものです。

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中尾佐助『料理の起源』を読む〜その(2)

2021年11月02日 06時00分29秒 | -ノンフィクション
※昨日の続きです。

第5章「豆の料理」では、納豆の大三角形と味噌楕円の図解が興味深いものです。



日本、ヒマラヤ、ジャワを結ぶ大三角形が納豆の文化圏であり、ナレズシやコンニャク等の共通性が存在するけれど、味噌楕円は中国の華北の文化圏を表すものと言います。ここでも、日本には複数の異なる文化が何度も重層的に伝播してきているという可能性が示唆されます。

第6章「肉と魚の料理」。この章が「偏見の世界」という節から始まるのは、肉食魚食というものの特徴を端的に表しているものかも。回教徒はブタを食べず、ヒンズー教徒は牛を食べない。宗教的タブーは穀物食ではそれほど顕著ではなく、動物食に対する感情的な偏見によるものと指摘します。食肉の変遷と発達、肉や魚肉の貯蔵、スシの問題など、たいへん興味深いものです。

第7章「乳の加工」はページ数も多く、意外なほど内容が豊富です。端的に言うと、乳糖分解酵素の問題から、ユーラシア大陸の遊牧民やチベット族、インド・アリアン族など乳利用が伝播した地域と乳を利用しない地域に分かれたことが述べられ、酸乳の系列等を様々な民族の中に検討し、乳加工技術の発達と分布が位置づけられます。バター、チーズ、ヨーグルトだけではない多様性に驚かされます。

第8章「果物と蔬菜」。温帯性果樹が西部原生種群(リンゴ、洋梨、サクランボ、ブドウ、イチジク等)と東部原生種群(和梨、桃、日本スモモ、梅、柿、ビワ等)とに分けられ、中国の文化と文明の貢献を評価するところは興味深いものです。乾燥果物やナッツ類のところも面白いですし、野菜と蔬菜の貯蔵などは当地の漬物文化の多様性もあり、非常に興味深いテーマと感じます。

著者が提唱した「農耕文化基本複合」という概念は、要するに新しい食べものは種や実が伝えられるだけではなく、栽培技術や調理法なども一緒に伝わるものだ、ということでしょう。たしかに、私が子供の頃には当地でゴーヤを栽培し料理し食べる習慣はありませんでしたが、今では畑にゴーヤを植え、ゴーヤチャンプルーやゴーヤの佃煮を好んで食べているほどです。作物の栽培は農学で、調理法は家政学でというふうに画然と分けてしまうのは、実はあまり賢明なやり方ではないのかもしれません。

総じて、文化人類学、民族学的な学術的内容をたいへん興味深く解説した、充実した内容の本であり、読み飛ばせるレベルではありません。ある程度は時間をかけて、様々な知識や経験を総動員して読むべき本のように思いました。残念ながらNHKブックスでは絶版となっているそうですが、吉川弘文館の「読みなおす日本史」シリーズで復刻されているらしいです。

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中尾佐助『料理の起源』を読む〜その(1)

2021年11月01日 06時00分54秒 | -ノンフィクション
NHKブックスで中尾佐助著『料理の起源』を読みました。著者の本は、学生時代に岩波新書『栽培植物と農耕の起源』を興味深く読んでおり、本書が二冊目になります。1972年第1刷発行で、1999年の第36刷となっており、写真図版はやや版の鮮明度が低下しておりますが、今回もまたたいへん面白い。いわゆる実用的な料理本とはまるで違い、文化人類学における「農耕文化基本複合」概念の提唱の続きとなる、知的好奇心が満たされる興味深い内容でした。

本書の構成は、次のとおりです。

  1. 米の料理
  2. 麦の料理
  3. 雑穀の料理
  4. 穀物料理の一般法則
  5. 豆の料理
  6. 肉と魚の料理
  7. 乳の加工
  8. 果物と蔬菜

第1章「米の料理」では、日本における米の炊き方の歴史的な変遷と、中国や東南アジアなど米食地帯における米の炊き方の違いを検討し、米の品種系統と共に炊き方における複合文化圏の存在を指摘します。たしかに、通常のお米の炊き方と「おこわ」や「もち米」の「蒸す」調理法とは異なります。米や調理法が複数回の伝播によって伝えられたことが、異なる文化の混在になったのかもしれません。
第2章「麦の料理」では、パン、ナン、饅頭、うどん等の麦料理の地理的分布を検討します。日本の「餡パン」と中国の「ローピン」の類似性の指摘もあり、発想のルーツは案外そんなところにあったのかもしれません。また、麦の種類にしても、小麦、大麦、えん麦、ライ麦などたくさんの種類があるわけですが、栽培や収穫が容易な大麦が主流にならず小麦が主流になる理由も、麦の調理法の転換が背景にあるとするとらえ方は説得的です。
第3章「雑穀の料理」では、アフリカで主食とされる雑穀粉末を用いたダンゴやエチオピアの発酵食品インジェラ、アメリカ大陸由来のトウモロコシを用いた「粉粥」、あるいはチマキ類などが紹介されます。
第4章「穀物料理の一般法則」では、1つの調理法に対しその材料の種類が増加してくることを「材料の発散」と呼び、逆に昔は様々な材料で作られていたのにその調理法はその材料でしかもちいられなくなることを「材料の収斂」と呼びます。日本のチマキなどはこの良い例でしょう。同様のことが調理法にもあてはまり、「調理法の発散と収斂」と呼びます。日本の味噌は、元来は大豆のものがしだいに米麦へと材料の発散が起こったと解釈するわけです。新石器時代に様々な穀物に発散した材料が、歴史時代に入ると穀物の種類が修練してくるという理解でしょう。もちろん、それぞれの地域で平行進化した結果であるという理解もありえますが、チャパティは粉質の問題で発酵食品への進化が遅れてしまったものとみなす見解は説得力があります。

※後半は、次回に続きます。

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