人口48,000人のフェロー諸島の歴史と現在の状況が確かに沖縄の現況と歴史を想起させます。比較的視点は参考になりますね。言語復興を成し遂げたフェロー諸島は未来の沖縄諸島のモデルになりえるだろうか?公の言語として認められるまでの道のりがありますね。9年生の一週間の時間割が紹介されているのですが、フェロー語、デンマーク語、ドイツ語、英語とかなり多言語に時間が割かれているという事実に驚きますね。小学校2年生までは集中的にフェロー語を学び、デンマーク語は3年から、英語は4年から、ドイツ語は選択で6年生以上が取れるという。ドイツ語の授業は多くのドイツ人観光者の増加にも対応しているようだ。ウチナーグチ、日本語、英語、そして中国語やスペイン語という具合の多言語性でしょうか。
結論として、琉球諸語との比較・対照研究の展望がいいですね。琉球諸語の標準語化に否定的ではなく、肯定的に変わってきたという崎原さんです。イギリスの支配下に於かれたフェロー諸島の人々がデンマークからの脱出・独立を目指し心意気があった事に対して、沖縄は27年のアメリカ占領期から抜け出すべく、復帰運動を盛り上げた。日本復帰をしなければどうなっていたのでしょうか?現在のように構造的差別で基地をごり押しされることはなかったのかもしれないなーと一瞬頭を掠めますよね。日本に復帰しない選択があったのですよね。80%に近い沖縄の住民意志をひねり潰す日本政府であり米国ですよね。今からでも遅くないので、県議会が日本への帰属を白紙に戻し、自治権を強める沖縄に脱皮することはできないのだろうか?←それが厳しい現況だとしても、自治権の強化はもう必然性を帯びていますね。日本政府の沖縄への法的弾圧が酷な状況になっている現況にあって、日々軍用機が庭のように頭上を飛びかう異常さを払拭していくための英知が求められていますね。
崎原さんが指摘した琉球諸語[語]の標準語化の必要性は標準表記にも及びますね。沖縄芝居役者真喜志康忠氏はウチナー芝居は宮古・八重山でも受け入れられたと話していたました。芝居言語こそが、標準ウチナー語になりえるのかもしれませんね。それは古典芸能や芝居の根幹である首里・那覇語の折衷になるかもしれないのですが、まずそれを標準琉球語として認める必要はありそうです。
とても示唆に富む論文ですね。最後の一部だけ紹介しますが、是非Southern Reviewを読んでほしいですね。