県立劇場、新設は当面なし?琉球弧の芸能文化の「核」として必要!郷土劇場が2009年に閉鎖されて以来県立郷土劇場の新設を要望するアンケートや署名活動がなされ、仲井真知事もその方向性を示した。「文化発信交流拠点整備事業検討委員会」は慎重な姿勢であ...
多目的ホール=国立劇場おきなわでは、組踊の本来の姿も復元できない現状で、戦前の沖縄芝居小屋の復元も不可能ということになります。多目的ホールに徹してあらゆるパフォーミングアーツを上演するのもいいのですが、劇場が作品を役者を観客を矯正する機能があり、つまり劇場に合わせた作品であり演技であり観客の受容ということになります。多目的ホールではない劇場を、つまり三間四方の仮設劇場をそのまま室内にもっていく方向性もまた琉球王府時代の冠船芸能を復元する意味では必要でしょう。王府時代の舞台にこだわるならば三間四方の野外の舞台も仮設でも志向せざるをえないのが本物志向ということになるでしょうか?一方で明治以降の芝居小屋の復元が望まれます。沖縄芝居の頂点だといわれた珊瑚座、真楽座時代の劇場の復元を目指すべきでしょうね。大正劇場の復元はどうでしょうか?辻の端道に建立された明治39年頃には回り舞台もあった木造建築の劇場を見たいという思いもふくらみます。大衆演劇の原型を復元させる文化力がほしいですね。ところが、助成金だけに頼る沖縄の文化運動なり、政治首脳の考えは、現況追随の状態で、そこには何らのビジョンが見られません。
国立劇場沖縄は多目的パフォーマンスの場であり、そうではない本物志向の劇場は別に建立されるべきという考えを行政も沖縄の芸能文化を担うブレインも考えないのですね。能楽堂も以前は神社の外にありました。それが室内に設置された現況で近代の産物です。組踊劇場も仮設の三間四方の舞台を室内にそのまま移設したらいいですね。そして沖縄芝居小屋は芝居、民謡、芝居小屋から派生した琉球舞踊を中心に据えて上演したらいいかと考えます。もちろん古典音楽もまた組踊ならず沖縄芝居の史劇・歌劇の中に包摂されていますので各古典音楽もまた芝居小屋での上演は可能ということになります。身の丈にあった近代の大衆劇場を復元する運動をする必要があります。その点で芸能研究者の従来の問題がまた結節されたのが、現況の「国立劇場おきなわ」でもあるのでしょうか?上記の新聞の国立拠点に整備を、は極めて合理的・政治的整合性に見えますが、真に芸能の継承を考えたとき、妥当な判断とは言えないでしょう。
そこはお能も歌舞伎も文楽も西欧オペラも琉球舞踊も古典音楽も現代演劇(新作組踊)も披露(上演)することが可能が空間です。バレーもモダン・ダンスも琉球歌劇も琉球史劇もOKです。しかし大衆演劇としてしての「沖縄芝居」の原型には程遠い空間でありつづけます。宮廷芸能としての「組踊」劇場としても欠陥だらけです。それでいいのでしょうか芸の継承は?疑問だらけですねー。
今まで見た組踊の中で最も感動を覚えたのは多良間の「忠臣仲宗根豊見親組」です。あの八月踊りの三間四方の舞台にまさる組踊の面白さは残念ながら国立劇場おきなわでは決して実現されないのです。鬼虎の豪快さは何ともいえない面白さです。歓待芸能として饗宴の場で供された宮廷芸能の面白さが、ある型にはまった美・倫理の中にあり、大衆の渦のようなパッションが沸き起こらないもの、それが窮屈にさせます。
「組通とは何か」その問いは続きます。沖縄芸能の魅力とはなんでしょうね!