志情(しなさき)の海へ

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【ウチナー芝居「演」】(吉田妙子代表)公演のプログラムと舞台の模様について少々?!

2011-01-16 02:50:28 | 表象文化/表象文化研究会

親泊興照作品「報い川」と「豊年」は、新聞やテレビ、ラジオでの広告がわりと協力的であったせいか、パレット市民劇場は多くの観客が詰めかけていました。芸能担当記者もNHKもOTVさんも放映のために姿を見せていました、親泊興照芸風がよく見えてきました。またウチナーグチの語り(八木政男&吉田妙子)も実に軽快で漫才のようでした。吉田さんがウチナーグチとなると水の中の魚のように八木さんとうまがあう語りになっていることへの驚きがありました。長いことラジオ番組を持っていたことは本当だったのです。普段沖縄のラジオをあまり聞かないのですが、民謡の番組などは意識的に聞きたいと思いました。彼女は立ち見が出ることを期待していたようです。さすがですね。録画と撮影をさせていただきました。芝居の記録はしっかり残す必要があります。また会場で呼びかけた沖縄芝居先達の顕彰碑基金に関しても6万円以上の献金が寄せられました。世智辛い時節にもかかわらずみなさんの芝居に寄せる思いに心打たれています。

琉球大博士後期課程の学生も手伝ってくれました。また沖縄の先住民族としての権利を主張すべきだとする方も手伝いに駆けつけてくれました。謝!2月に土着文化の筆頭としての芝居と知識人とのかかわりなどを含め話してほしい、というお話などもあり、いかに同化の過程で芝居や芝居子が馬鹿にされながらもかたくなに新たな創作をしていったかについて、真喜志康忠さんからたくさんお聴きした事柄も含めて話したいと思いました。彼は「知識人批判を大いにやってくれ」と言って、いかに沖縄が植民地構造にあるか、熱心に話しました。彼の論理の構図から現況を切開するその論の深まりを期待したいものです。

さすが歌劇保存会会長の森田豊一さんは演技に膨らみがあり、切実さが込められていました。ベテランの方々の中に台詞をトチリ、リズムにのることも怪しい方がおられたのが気になりました。[豊年」のことです。中身の面白さは格別です。今回、吉田さんは脚本をしっかりまとめています。本番に強いというベテランのみなさんが口立ての流れでやろうとしても無理があることが見えてきました。それを若いみなさんがまねたら大変です。

「報い川」の若い恋人たち、カミヂャーの高宮城実人とウサ小の安次嶺正美さんは歌もうまくまた興照芸の独特な足使いを魅力的にやってのけていました。確かに目を見張らせる身体所作があり、また歌が面白いので、創作作品は多くはないけれど、親泊興照という役者・舞踊家・組踊保持者だった方の良さが滲んでいたように思えます。劇の冒頭の村の者たちが島角力をするさまなども何ともいえない沖縄の風俗を描いていて、このように村々では島角力がなされていたのだなーと実感させられました。また若い明るい軽やかな夫婦の歌劇は伊良波さゆきさんと佐辺良和さんが素敵にやってのけました。この楽しき朝として結婚式会場でも好んで演じられる歌劇の歌の台詞はまた面白いのです。ウチナーグチによる芝居の醍醐味は歌劇にあるのかもしれません。

しかしウチナーイキガの魅力が満載の史劇も期待したいものですね。ウチナーグチ台詞劇もまた県の文化財指定にするため頑張っている県の島元要さんもプログラム配布なども含め、手伝ってくださいました、ありがとうごさいました!2月には数人の芝居(演劇)通の面々で2010年の沖縄の演劇についての座談会をして、その中身をUPしたいという企画にも協力してくださるとのことで、今から楽しみです。(以下はこちらで編集して作成したミニパンフレットです!ご紹介します!)
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沖縄県伝統芸能公演 ウチナー芝居「演」公演
*** 親泊興照の魅力***
   
      時代人情歌劇 「報い川(がーら)」
舞踊喜歌劇 「豊年」 
原作:親泊興照/脚本・演出 吉田妙子

           日時:平成23年1月14日(金)午後7:00開演
           場所:パレット市民劇場
           主催:沖縄県伝統芸能公演委員会
             (沖縄文化振興課内)098-866-2768
             ウチナー芝居「演」090-1948-8924
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          ごあいさつ       ウチナー芝居「演」代表:吉田妙子
 
  明けましておめでとうございます!
 本日はお忙しい中、遠路遥々(はるばる)御来場いただき誠にありがとうございます。
今年の沖縄伝統芸能公演は師匠親泊興照の作品の中から時代人情歌劇『報い川』と時代喜歌劇「豊年」を上演致します。現在、親泊興照の琉球舞踊そして組踊の芸風は二代目家元親泊久元氏によって継承され、名護を中心に沖縄各地で発展しております。 師匠の教えを大切にしながら今日まで沖縄の風俗習慣・伝統を大切に新作沖縄芝居「道」「嘉間良心中」「ランタナの花の咲く頃に」「走れトートーメー」などを発表し続けてまいりました。本公演は、ウチナーグチの使えない世代、若い皆さん、観光客の方々にもご理解いただけるよう、あらすじを解説したパネルをご用意しました。最後までごゆっくりご鑑賞ください。
上演にあたりましては各界各所の皆さま方のご支援をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。ニヘーデービル!グスーヨーあっての沖縄芝居ヤイビーン!これからの若い役者さんたちを、グスーヨー、マジュンサーニ、育てぃてぃうたびみせーびり!

     
         **≪ウチナーグチ講座:「報い川」より≫***
「チヌコー 耳ぐい 可笑しいむんやさ」(キノコとキクラゲを勘違いして可笑しいね)
「思(うむやぁ)小(ぐゎ)が乗(ぬ)らん 吾(わ)ぁ船(ふに)走(は)らん あん小(ぐゎ)そうてぃ」(貴女が乗らないと船は出ないよ。どこまでも一緒だよ。夫婦(みーとぅ)船(ぶに))/家(やー)ぬ後(くし)(お手洗い)
「子(くゎ)一人(ちゅい)産(な)しぇー 片手(かたで)ぃ失い 子二人(たい)産しぇー手(て)ぃ失(うし)なゆんち」(子供が一人できたら片手が不自由になり、二人ができたら手が不自由になる。手失うは、両手が不自由を意味する。子供3人できたら「上(しー)の子供(じゃ)手(てぃ)みーとん」と云う。3人からは楽になる意味である。「諸手(むるでぃ)失ったら手はみーてぃくん」というのが、興照説である)

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ウチナー芝居「演」 平成22年度沖縄県伝統芸能公演

        ***プログラム***

 1.あいさつと解説  吉田妙子 & 八木政男
 
 2.時代人情歌劇「報い川」     作:親泊興照
 ≪配役≫
 前門の阿兄 ・森田豊一    その妻カマド ・吉田妙子
 下ン田の阿兄・春 洋一    その妻ナビー ・真栄田文子
 亀謝(かみぢゃー)    ・高宮城実人   ウサ小    ・安次嶺正美
 役人    ・玉木 伸   
 若い農夫  ・佐辺良和    その妻    ・伊良波さゆき
 村頭    ・北村三郎    ンテー    ・知名剛史
 太良    ・天願雄一    三良小    ・山川宗春

 村人    ・仲嶺眞栄    伊良波冴子   当銘由亮
       ・具志清健    川上勝代    中村志津子
       ・島袋ゆかり   前川勝子    金城しの

3.舞踊歌舞劇 「豊年」       作:親泊興照
    ≪配役≫ 
       農夫の夫 ・当銘由亮
       その妻 ・伊良波冴子
       その主 ・北村三郎 
       漁夫の夫 ・具志清健
       その妻 ・吉田妙子
       その主 ・仲嶺眞栄 
   *歌・三線   ・具志幸大
   *太鼓     ・山川宗春
   *舞台監督   ・前田昭夫
   *照明     ・當山大樹(有)沖縄舞台
   *音響     ・山口香織(有)スタック
   *大道具    ・舞台工房ハブスタッフ

***ウチナー芝居【演】代表吉田妙子芸歴*** 
1950年劇団【あさひ座】で初舞台をふみ、【ときわ座】を経た後、親泊興照、鉢嶺喜次率いる【珊瑚座】へ入団。親泊興照氏に師事し、舞踊や沖縄名作歌劇「泊阿嘉」「伊江島ハンドー小」「中城情話」「奥山の牡丹」「報い川」「渡地物語」など、数多くの歌劇で師の相手役をつとめた。1958年ごろから舞台の他、テレビ・ラジオに出演。【沖縄芝居実験劇場】「トートーメー万歳」(大城立裕作・幸喜良秀演出)など五作に出演。代表的な演劇作品は「道」「嘉間良心中」「ランタナの花の咲く頃」「レイラニのハイビスカス」「かじまやーカメおばぁの生涯」(下島三重子作・栗山民也演出)など。

<3ページ>

      ***あらすじ***
≪豊年≫

ある半農半漁の村に、若夫婦二組がいて、大の仲良しで、いとまがあれば、楽しく語らう日々を暮らしている。ある日の未明、畑や漁にいそしんでいる夫婦が出逢い、いつしか夫婦のほめごとに花が咲いた。あまりのほめすぎから、興奮のあまり日頃の仲の良さを忘れ、喧嘩にまで発展。その仲裁に若夫婦たちの父親たちが、割り込んできたからサァー大変!

≪報い川(むくいがーら)≫

村祭の角力の度に「勝」を射止めてきた「前門のヤクミー」であったが、老いを隠せず、不安でもあったので、今度で引退角力にしようと、意を決していた。その思いをよそに村々の巷では「前門のヤクミー」と、隣村の「下ン田」との、対決になるらしいと、噂が噂を呼んで大騒ぎとなった。その勝負に夢を走らせる侍たちまでも、馬二頭に積むほどの賞金を賭け、両勇者の決着を待った。片や、引退角力の意を決した「前門」は「下ン田」に会い、「最後の花をかざらせてくれ」と恥をしのんで頼んだ。「下ン田」はお世辞満面に承諾してくれた。

一夜明けて、勝負の時刻が迫った。男と男の約束を交わした「下ン田」であったが、大勢の観衆やら、馬二頭に積んだ賞金に目がくらんだのか、観衆の面前で、不意に「前門」をしたたか打ちのめしてしまった。男と男の誓いを破られた「前門」は、悔し涙を湛え、「下ン田」の帰りを待った。家に急ぐ「下ン田」を呼びとめ意見したが、二人は口論になってしまった。その時、高慢な「下ン田」が暴言を吐きながら「前門」に手拳で挑んできた。「前門」は受身を外したが、あやまって「下ン田」の急所に当たり、死にいたらせてしまった。遠くから人の声がしたので、吾にかえった「前門」は慌てて「下ン田」を隠すこともできず、川に落としてしまった。「前門」は罪ほろぼしのため「下ン田」の忘れ形見の「カミヂャー」を、実の娘「ウサ小」と共に育てて、あれから18年の歳月を迎えた。日頃の生い立ちから、相思相愛であることに気をもんでいる「前門」だが、それもよそに、二人は折りあらば、打ち明けて夫婦になろうと、父の様子を窺っている。
或る満月の晩に、二人は親に願いでる。
打ち明けられた「前門」の決意は如何に?

   ***吉田妙子と映画・テレビ***
【ウンタマギルー】(1991年高嶺剛監督)/【パイナップルツアーズ】(1992年中江祐司監督)/【ナビィの恋】(2000年中江祐司監督)/【遥かなる甲子園】(1995年大澤豊監督)/【月桃の花】(1996年大澤豊監督)/【豚の報い】(1998年崔洋一監督)/【風音】(2003年東陽一監督)/【深呼吸の必要】(2003年篠原哲雄監督)/【南の島のフリムン】(2009年ゴリ監督)/【やぎの冒険】(2010年仲村颯悟監督)/TV【琉神マブヤー】のおばぁ役/【ウエルカメ】(2009年NHK 朝の連ドラ)/【沖縄ドライバーズノート】(2011年1月14日NHKハイビジョン放映)

<4ページ>は吉田さんのユンタクコーナーにしました。

<写真は東京からかけつけた下島三重子さん、伊良波尹吉の孫伊良波さゆきさん、吉田妙子さん>


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