全くもって、エクササイズと呼ぶにふさわしい尾道散策だった。
尾道を歩いたことのある人ならわかるだろう。
同居人が仕事で尾道に行くため、車に同乗し、同居人の仕事が終わるまで町を散策することにした。
10年近く前に行ったきりで、その時はあまり時間もなく、さっと千光寺まで上がって降りてきて、というだけだったので、今回はあちこち回ってみようと思い立つ。
ネットで調べてみると、「古寺めぐり」というルートがあるようだ。
以前行ったときにはたぶんロープウェイで上がり、坂道を降りてきたついでに千光寺を見た、と言う程度だったが、「古寺めぐり」は下から上がっていくのだ。
細い石段が続く続く。
ここ尾道は漁師町であったので、安全祈願のために小さなお寺がたくさんあるのだとか。
確かに、古寺めぐりのお寺は小規模で、普通の大きめの家位のものがたくさんあるのだ。道のあちこちに「順路」と書いた石の目印が置かれていて、そこをたどっていくと次々と細道の続く途中にお寺がある。石段も上ったり下りたり実にアップダウンが激しい。
突然明るくなって海が見えたり、ちょっと石段を降りたところ等に小さい墓地がたくさんある。
静まり返った家々のそばの細い道を通っていくと、どこからか人声が聞こえるのだが、姿は見えない。不思議な異空間。
大抵の人が千光寺までいくようだ。
前を歩いているカップルの女性が「きっつうい!もう足がくがくや!」と叫んでいる。「まだ上がんの?信じられへん」(関西人か?)
お天気の良い日で、しかもさすがに瀬戸内海に面した町、大阪よりもはるかに暖かい。もう春も近いと感じられる日差しだ。千光寺まで上がった頃にはジャケットも脱ぎ、ヒートテックを着てきたことを後悔するくらいだった。
千光寺までの道のりでは、ほとんど人に会わなかったのだが、ロープウェイで上がってきた人が多いのだろう、日曜でもあり、ここは結構な人出。
なんだか上のほうから、「アメリカンクラッカー」のような音が聞こえる。←これがなんだかわかる人はいるだろうか。ぱちぱち、音をたどってみると、大数珠のかかった社がある。この大数珠を一回りさせると幸せがくるのだとか。私もやってみる。
小さな仏様がたくさんあるな、と見ていると、ちゃんと売店で売っているのだ。持って帰るか、願い事を書いておいていくか、だそう。書くほうにする、というと、ペンを貸してくれ、「景色のいいところで書いてきて下さい」とのこと、大松の下で海を眺めながら願い事を書く。
山のてっぺんの展望台、素晴らしい景色だ。瀬戸内海が遠くまで見渡せ、島々がかすんで見える。天気が良くて本当に良かった。
さて、そろそろ2時、坂道を降りて帰り道につく。
それにしても細い道に凄い坂だ。石段は降りるほうがこわいが、この急坂では疲れた足では転げ落ちそう、手すりを伝って降りる。
「時をかける少女」で原田知世が、坂の上の家から石段を駆け下りるシーンがあったけれど、よく落ちなかったな、と思ったりする。あの石段はどのあたりなんだろうか。
三重塔近くで猫が枯葉の中で日向ぼっこしている。
道行く人々に撫でられてもわれ関せず、と言う様子、「尾道の猫というのをわきまえて仕事してるね」などと言われている。
近くには「猫の細道」があり、いかにも猫が歩きそうな細道、坂道が続き、アスファルトに猫の足跡が残っているのは演出かと思ったのだが、ここでなくても結構あちこちに足跡があったのだ。猫の多い町らしい。猫関係の店がたくさんあって楽しい。
「時をかける少女」のロケに使われたという艮神社まで降りてきたが、まだ同居人からは連絡が入らないので、再度石段を上って歩き回ってみることに。
志賀直哉旧居近くも急坂が多い。景色のいいところに住んでたんだな~贅沢、と思いつつ、またここにも寝ている猫をつついてみる。この猫も「われ関せず」でぐっすり眠っている。しかも傘立ての中で。
再び別のルートで降り、ほとんど「崖」の上にあるお寺から下を。ちょうど電車が駅に着くところだ。古めかしいお寺からいかにも現代的な電車を見下ろすのはなかなか面白い。
しかしながらもう足は限界。いったいどれだけ石段を上り下りしたのやら。この町の人は足腰がさぞ丈夫だろうと思われる。
駅付近まで降りてくると、尾道出身の林芙美子の像が、あまり雰囲気のない場所に置かれている。
「しまなみ海道」まで足を伸ばせばまたちがうけれど、このあたりは工場やフェリー乗り場のある狭い海道だから、それほど「海辺」と言う風ではない。迫る山、坂道のあちこちに所狭しと並んだ家々、数々の古寺の甍屋根、人がこの狭い地域で暮らしてきた、という実感のある町だ。
デジブック 『尾道・坂道散歩道』
尾道を歩いたことのある人ならわかるだろう。
同居人が仕事で尾道に行くため、車に同乗し、同居人の仕事が終わるまで町を散策することにした。
10年近く前に行ったきりで、その時はあまり時間もなく、さっと千光寺まで上がって降りてきて、というだけだったので、今回はあちこち回ってみようと思い立つ。
ネットで調べてみると、「古寺めぐり」というルートがあるようだ。
以前行ったときにはたぶんロープウェイで上がり、坂道を降りてきたついでに千光寺を見た、と言う程度だったが、「古寺めぐり」は下から上がっていくのだ。
細い石段が続く続く。
ここ尾道は漁師町であったので、安全祈願のために小さなお寺がたくさんあるのだとか。
確かに、古寺めぐりのお寺は小規模で、普通の大きめの家位のものがたくさんあるのだ。道のあちこちに「順路」と書いた石の目印が置かれていて、そこをたどっていくと次々と細道の続く途中にお寺がある。石段も上ったり下りたり実にアップダウンが激しい。
突然明るくなって海が見えたり、ちょっと石段を降りたところ等に小さい墓地がたくさんある。
静まり返った家々のそばの細い道を通っていくと、どこからか人声が聞こえるのだが、姿は見えない。不思議な異空間。
大抵の人が千光寺までいくようだ。
前を歩いているカップルの女性が「きっつうい!もう足がくがくや!」と叫んでいる。「まだ上がんの?信じられへん」(関西人か?)
お天気の良い日で、しかもさすがに瀬戸内海に面した町、大阪よりもはるかに暖かい。もう春も近いと感じられる日差しだ。千光寺まで上がった頃にはジャケットも脱ぎ、ヒートテックを着てきたことを後悔するくらいだった。
千光寺までの道のりでは、ほとんど人に会わなかったのだが、ロープウェイで上がってきた人が多いのだろう、日曜でもあり、ここは結構な人出。
なんだか上のほうから、「アメリカンクラッカー」のような音が聞こえる。←これがなんだかわかる人はいるだろうか。ぱちぱち、音をたどってみると、大数珠のかかった社がある。この大数珠を一回りさせると幸せがくるのだとか。私もやってみる。
小さな仏様がたくさんあるな、と見ていると、ちゃんと売店で売っているのだ。持って帰るか、願い事を書いておいていくか、だそう。書くほうにする、というと、ペンを貸してくれ、「景色のいいところで書いてきて下さい」とのこと、大松の下で海を眺めながら願い事を書く。
山のてっぺんの展望台、素晴らしい景色だ。瀬戸内海が遠くまで見渡せ、島々がかすんで見える。天気が良くて本当に良かった。
さて、そろそろ2時、坂道を降りて帰り道につく。
それにしても細い道に凄い坂だ。石段は降りるほうがこわいが、この急坂では疲れた足では転げ落ちそう、手すりを伝って降りる。
「時をかける少女」で原田知世が、坂の上の家から石段を駆け下りるシーンがあったけれど、よく落ちなかったな、と思ったりする。あの石段はどのあたりなんだろうか。
三重塔近くで猫が枯葉の中で日向ぼっこしている。
道行く人々に撫でられてもわれ関せず、と言う様子、「尾道の猫というのをわきまえて仕事してるね」などと言われている。
近くには「猫の細道」があり、いかにも猫が歩きそうな細道、坂道が続き、アスファルトに猫の足跡が残っているのは演出かと思ったのだが、ここでなくても結構あちこちに足跡があったのだ。猫の多い町らしい。猫関係の店がたくさんあって楽しい。
「時をかける少女」のロケに使われたという艮神社まで降りてきたが、まだ同居人からは連絡が入らないので、再度石段を上って歩き回ってみることに。
志賀直哉旧居近くも急坂が多い。景色のいいところに住んでたんだな~贅沢、と思いつつ、またここにも寝ている猫をつついてみる。この猫も「われ関せず」でぐっすり眠っている。しかも傘立ての中で。
再び別のルートで降り、ほとんど「崖」の上にあるお寺から下を。ちょうど電車が駅に着くところだ。古めかしいお寺からいかにも現代的な電車を見下ろすのはなかなか面白い。
しかしながらもう足は限界。いったいどれだけ石段を上り下りしたのやら。この町の人は足腰がさぞ丈夫だろうと思われる。
駅付近まで降りてくると、尾道出身の林芙美子の像が、あまり雰囲気のない場所に置かれている。
「しまなみ海道」まで足を伸ばせばまたちがうけれど、このあたりは工場やフェリー乗り場のある狭い海道だから、それほど「海辺」と言う風ではない。迫る山、坂道のあちこちに所狭しと並んだ家々、数々の古寺の甍屋根、人がこの狭い地域で暮らしてきた、という実感のある町だ。
デジブック 『尾道・坂道散歩道』