在日イタリア人の精神科医の著作「アニメ療法 心をケアするエンタテインメント」を読みました(
厚生労働省のデータによると、日本の15~34歳の死因第1位が自殺となっている。これはG7の中でも日本のみである。 (中略)
アニメ、ゲーム、漫画、小説…… こうしたストーリーを語るフィクション(創作された物語)は 精神科学と臨床心理学において、どのような役割・居場所があるのか。
エンターテインメントによる心のケアは可能なのか。
これが著者の探求している「問い」である。
この問いに答えるために、筆者は若者の心をケアするエンターテインメントという新しいコンセプトを提唱したい。
それが本書のタイトルである「アニメ療法」なのだ。
本は こちら
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読んでみて... アニメ療法は 若者にとってハードルの高いうつ病の治療にも役立つという考察 どんなアニメが適しているのか 今は治療に役立つゲームやアニメ作品を作りつつ 次回作はメタバースを扱うとのこと
まずはアニメの歴史から始まり ストロボスコープや 世界初のアニメとされる作品について語られ アニメっ子だった私もワクワク💕
アニメは実写には決してできないことができる媒体であり 物語に没入し 感情移入し 共感することにより 観ている人に態度や信念の変化をもたらすメカニズムを持つ等 さまざまな効用があるとのこと 私も同感です😊
セラピスト相手に自分のつらい体験を話すのではなく アニメ(映画 漫画 本等)を鑑賞し それについて話すことで 自分の体験をアニメの登場人物を通して客観的に見ることで 自分のつらい経験を上書きしたり 乗り越えたりしてゆくというものです
細かい専門用語は難しかったですが 物語療法による物語の外在化と再考は 特定の精神疾患を持たない子供にも好影響を与えているとのこと
幼児や少年が いきなりセラピストのところに行くのは とてもハードルが高いですよね 注目すべきセラピー(療法)ではないかと思いました
スーパーヒーロー療法 (仮面ライダー等で広まった)「変身」の持つポジティブな効用 また 成長譚(ビルドゥングスロマン)が適していることなど 「ワンピース」「エヴァンゲリオン」等も適しているそうです😊
ご自身が日本のアニメをイタリアで幼少の頃に観てから ガチのアニメオタク 兼精神科医となった人生行路等と合わせて 大変興味深い一冊でした
表紙のイラストがすごい... サイボーグのようですね
私がもしアニメ療法を受けるんだったら もうぜひ『サイボーグ009』でお願いしたいです💕
本は こちら
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インタビュー記事は こちら
2015年春から 日本のひきこもり研究の第一人者のもとで研究を始める
研究テーマは 「フィクションによって ひきこもり経験者の気持ちは前向きになるか」
これは自身の経験が原点にあるという 「僕はアニメとかゲームの中で得た学びに力をもらって、その力を現実の世界に向けられた。それがなければ心の安定は保てなかったし、今の自分もない。
ひきこもりにとって ゲームやアニメはあまりよくないと言われるかもしれないけれど、社会的な行動を高める可能性があるんじゃないか。
普段、外の社会に接していなくても、物語の世界に接することで、他者に対して共感や配慮ができ、思いやりの気持ちを持てるんじゃないかな、と思って」
フランチェスコさんが今、臨床と並行して取り組んでいるのが、「治療に使えるゲームソフト」の開発である。
「僕が作るゲームのキャラクターは いずれも悩みを抱き、絶望を経験するなど、生きづらさを感じているのですが、あることをきっかけに光明を見つける。
そのストーリーに感情移入することで、自信を取り戻し、前向きになればと思っています」
ゲームのタイトルは「BELIEVE YOUR LIGHT」。
このゲームソフトが、自身が何度となく日本のゲームに助けられてきたフランチェスコさんの日本への恩返しになるのだろう。
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そういえば新海誠監督の「ねずみの戸締り」の監督インタビューを見た時も エンターテインメントの役割について語られておりました
エンタメを見た方が少しでも共感してくれれば 少しでも社会はよくなるのではないかというものでした😊
そしてあの「ポケモンGo」のゲームは ひきこもりの人々を外に出そうということもあって作られたゲームだとありました
この新しい「アニメ療法」で 少しでも鬱や不安が取り除かれてゆくことを願うばかりです