日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

日独協会主催「ドイツ語圏文化セミナーWeltkulturerbe Teil 2」で旧東ドイツの世界遺産のセミナー第2弾を聞いてきました(2017.8.1)@日独協会

2017年08月25日 | ドイツ語・独検

日独協会主催「ドイツ語圏文化セミナー Weltkulturerbe Teil 2」で旧東ドイツの世界遺産のセミナー第2弾を聞いてきました(2017.8.1)@日独協会


第1回「ドイツ語圏文化セミナー「私は東ドイツに生まれた: 旧東ドイツの世界遺産/Weltkulturerbe」は ワイマールやヴァルトブルクなど ドイツの歴史にまつわる所をご紹介いただきましたが 第2回はバウハウスやベルリンの美術館島 自然遺産までだーっとひととおりご紹介くださいました!!

今回もまたまたドイツの世界遺産をしっかり読み込んでから行ったので どこを話しているのかすぐにわかり 地図で確認しながらお話を聞きました!(^^)! ←他の方たちよりもドイツ語力が劣るのでせめて予習はと思いまして...

講師:フランク・リースナー先生
日時: 2017年8月1日(火)
会場: 公益財団法人 日独協会事務所

1. Siedlung der Berliner Moderne(2008) ベルリンのモダニズム集合住宅群

2. Museuminsel Berlin (1999) ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島)

3. Bauhaus und seine Städten in Weimar und Dessau (1996) ワイマールとデッサウのバウハウスとその関連遺産群

4. Dessau-Wörlitzer Gartenreich(2000)デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国

5. Altstadt, Stiftskirche und Schloss von Quedlinburg (1994) クヴェトリンブルクの中央聖堂参事会協会と旧市街

6. Altstädte von Stralsund und Wismar (2002) シュトラールズント及びヴィスマールの歴史地区

7.Buchenurwälder und Alte Buchenwälder der Karpaten und anderer Regionen Europas(2007/2011) カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群

8. Muskauer Park (2004) ムスカウ公園 自然遺産
 
     *     *     *

1. No.38 Siedlung der Berliner Moderne(2008) ベルリンのモダニズム集合住宅群

„Licht, Luft und Sonne“ für die Bewohner bestimmten die Konzeption.
「光、空気そして太陽」というコンセプトで 6つのSiedlungen(集合住宅群)が建てられました 

  
1. Großsiedlung Siemensstadt(グロースジードルング・ジーメンス・シュタット)
 列をなして(in Zeilen)郊外の緑の中に作られた白い建物で 裏庭等の自由な空間があります Siemensがまだ入っており職場が近くです Socialwohnungsbau(社会的な住居の建築)が進められました

← グロースジードルング・ジーメンス・シュタット

2. Siedlung Schillerpark(ジードルング・シラーパーク)
当時としてはモダンなデザインで 緑も多く 大きな窓から光がたくさん入ってきます

3. Gartenstadt Falkenberg(ガルテンシュタット・ファルケンベルク)

格子模様でTuschkasten(絵具箱)のような色使いです 

4. Großsiedlung Britz(グロースジードルング・ブリッツ)

別名"Bucheisen Siedlung"です 真ん中にかつては湖があり 放射状に建てられました 庭や緑も多く25棟(Einheiten)ありました 

5.Weiße Stadt(ヴァイセ・シュタット)
建物の角に窓があり当時としてはデラックスでした  中庭やお店等色々な施設がありました 

6.Wohnstadt Carl Legien(ヴォーン・シュタット・カール・レギエン)
土地が高いため5階建てで密な造りとなっていました  道路側は明るい色で 裏側は比較的暗い色で塗られ 大きな窓から光が取り入れられます 

これらは1920年代後半から1930年代初頭(ヴァイマル共和国期)に建てられました
集合住宅は公的な要請に基づいて建てられたもので 社会権を世界で初めて制定したヴァイマル憲法に見られるような 当時の低所得者層に関する生活環境改善が背景にありました
労働者階級のそれまでの劣悪な住環境・衛生環境が改善されましたが 80年代には次第にプライベートな住居(家賃は高い)が増えてゆきました

設計や建築に当たったのは バウハウスの初代校長ヴァルター・グロピウスのほか ブルーノ・タウト(ナチスから亡命し 日本の熱海にも来たことがありVillaもあります 彼はトルコで没す)といった当時の代表的な建築家たちで 新しい建材やデザインによって衛生的で快適な住宅作りが進められ ユダヤ人も住んでいました のちに世界の公共の集合住宅のモデルとなりました
詳しくは こちら

 *     *     *

2. No.36 Museuminsel Berlin (1999) ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島)

ベルリンの観光スポット。南北に流れるシュプレー川(der Spree)の中州にて ブランデンブルク門(das Brandenburger Tor)から東に伸びるウンター・デン・リンデン街(Unter den Linden)を境とする北半分の地区を指します
ベルリン美術館(Staatliche Museen zu Berlin)を構成する5つの博物館・美術館が集まっている事より「博物館島」と呼ばれています (上の写真参照)

フリードリッヒ三世が フランスのように国民の財産である芸術作品をいつでも見られるようにとのコンセプトで造らせました そのため このうちの一つ「ボーデ美術館(Das Bode-Museum)」は完成当時(1904)は ドイツ皇帝フリードリヒ3世にちなんでカイザー=フリードリヒ博物館(Kaiser-Friedrich-Museum)と呼ばれていたそうです

1.旧博物館 (Altes Museum)
5館のなかで最も古く1830年に建てられた新古典主義様式の美術館です

芸術が大衆に広く公開され 一般市民でも芸術を通じて人格形成すべきという思想に大いに賛同したフリードリヒ・ヴィルヘルム3世の集めたギリシャ・ローマの芸術品を公開しています
旧博物館の前にはルストガルテン(Lustgarten)という公園があります

2.新博物館 (Neues Museum)

旧博物館の裏手にあり 1855年に完成しました
第二次世界大戦の戦火で外壁を残して破壊され廃墟となり 21世紀に第二次大戦前の姿に復元の上で再建され 2009年10月に再開館しました
ここには有名な古代エジプトの王妃ネフェルティティの胸像等のエジプト美術 そして先史時代の遺物が展示されています

3.旧国立美術館 (旧ナショナルギャラリー、Alte National Gallerie)

1861年に完成 銀行家ヨアヒム・ヴァグナーが所蔵する19世紀の彫刻から絵画等の美術品を寄贈(Schenkung)したことに始まります ちょうど美術館島にまとめて展示できる場所があったのだそうです
その後 当時のベルリンにプロイセンの芸術コレクションを所蔵する美術館がなかったため プロイセンの初期芸術品を収集するようになったとのこと

4.ボーデ博物館 (Bode Museum)

島の北端に位置し、1904年に開館した丸天井(Kuppel)の美術館で (上の写真参照) 完成当時はドイツ皇帝フリードリヒ3世にちなんでカイザー=フリードリヒ博物館と呼ばれていたそうです 彫刻美術とビザンティン美術が展示されています



5.ペルガモン博物館 (Pergamon Museum)

5館の中で最も新しく1930年に開館しました 古代ローマおよび古代オリエント美術を中心に 古代美術および近世までの中東美術を扱っている ドイツで最も多く訪れるKunstmuseum(芸術美術館)です
小アジアの古代都市ペルガモンから「ペルガモンの大祭壇」を館内に移築したことから 館名の由来にもなっています ←私も見ましたが大きかった!

第二次世界大戦の度重なるベルリン空襲で ペルガモン博物館始め博物館群は甚大な被害を受けた上 疎開されていたペルガモンの大祭壇は赤軍が戦利品としてレーニングラードに運び去られ 東ドイツに返還され博物館が再開するのは 1959年のことでした

バビロンのイシュタル門や ミレトスの市場の門など 遺跡の発掘品を所蔵・復元展示するほか 近世までの中東工芸および絵画を展示しています
 

博物館島については こちら


"Die Museumsinsel in Berlin" は こちら
 
*     *     *

3. No. 34
Bauhaus und seine Städten in Weimar und Dessau und Bernau (1996) ワイマールとデッサウ及びベルナウのバウハウスとその関連遺産群


2017年7月に世界遺産委員会で「範囲拡大」が承認されました 
1996年に登録されたドイツの世界遺産のひとつで「ヴァイマル、デッサウ及びベルナウのバウハウスとその関連遺産群」と改称されました ← ひんぱんに名称が変わるので大変ですね(*_*)
 
ドイツのモダニズム建築に重要な影響を及ぼした建築学校バウハウスにかかわる物件がまとめて登録されています
バウハウスはヴァイマル デッサウ ベルリンの順に移転したのですが 最後のベルリンは末期のごく短い期間しか存在していませんでした
この斬新な建築芸術思想は 非ゲルマン的としてナチスに閉鎖されてしまったわけです (といってもナチスの退廃芸術こそひどいものでしたが...) わずか14年であっても 世界の建築や造形美術に与えた影響はとても大きいものでした 

詳しくは こちら

バウハウスは こちら

 *     *     *

4. No.25
Dessau-Wörlitzer Gartenreich(2000)デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国

ドイツおよび大陸ヨーロッパにおける最初にして最大級の英国式庭園で 「ヴェルリッツの英国式庭園」とも呼ばれます
18世紀後半にアンハルト=デッサウ侯レオポルト3世・フリードリヒ・フランツによって創設されました 彼は軍隊よりも庭園に興味を持ち 外国にあるような庭園を欲しがったそうです

エルベ川の一時的な支流(ふたたび本流に合流する)沿いに位置しており 水に恵まれています

 岩の島シュタインとハミルトン邸 ←なんとこの左上の から花火を打ち上げたのだそうです どうやって??


詳しくは こちら


*     *     *

5. No.12 Altstadt, Stiftskirche und Schloss von Quedlinburg (1994) クヴェトリンブルクの中央聖堂参事会教会(司教座教会)と旧市街
 

Quedlinburg
は、ドイツ、ザクセン=アンハルト州の都市 ハルツ山地の北東に位置しており ボーデ川が流れています
人口2,4万人の小さな街で そのため大戦中も壊されなかったそうです
 
1,200のFachwerkhäuser(木組みの家)がありStraße der Romanik(ロマネスク街道)の秘都と呼ばれています

Stiftkirche(司教座教会)の聖セルヴァティウス教会や Schlossberg(城山)や旧市街は 極めて重要な文化財であると評価され 1994年にユネスコの世界遺産に登録されました

 ← クヴェトリンブルクの街並み

クヴェトリンブルクの市庁舎(Rathaus)は木組みの家です Gassen(路地)が多く 金のインクで書かれた司祭が読む本の写真なども見せていただきました 

1945年、アメリカ陸軍の将校がクヴェートリンブルク修道院の祭具(Domschatz)を盗み出しましたが 1990年代に入るまで返還は行われず 1993年に買い戻したとのこと(クヴェードリンブルク祭具盗難事件)

詳しくは こちら


クヴェートリンブルクの街の歴史は こちら

 *     *     *

6. No.13 Altstädte von Stralsund und Wismar (2002) シュトラールズント及びヴィスマールの歴史地区

西にリューベック 南にシュヴェリーンがあり Ostsee(バルト海)に注ぐヴィスマール湾に面した天然の良港を持っています
教会ならびに市内の建造物は「ハンザ同盟都市の煉瓦建築」を代表し 2002年にシュトラールズントともに世界遺産に登録されました

中世のまま変わらぬ 赤いレンガ造りのゴシック風(Bachsteingotik)の街並みが保存されています
Rathaus(市庁舎)は Giebelhäuser(切妻式の家)です とがった(eckig)屋根を持つ平面構造(Flächenstruktur)ですね これはオランダ風です

また 火事等の時に水を運びやすいように格子状の広く長い通りが伸びていて これは北ドイツによくあり 南は反対にGasse(路地)が多いとのこと
そして 人工的なWasserlauf(水路)があります ここは大戦中に爆撃もありました

 ←ヴィスマールの歴史博物館

そして少々専門的ですが Gilde(同業組合、ギルド)とZunfte(同業組合、ギルド)についても詳細に説明していただきました 
Patrizier(門閥)がGildeで Handwerker(職人)がZunftとのことです 

詳しくは こちら

街については こちら

 *     *     *

7. No.28 Buchenurwälder und Alte Buchenwälder der Karpaten und anderer Regionen Europas(2007/2011) カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群

ヨーロッパブナの原生林はヨーロッパに残る同種の森林の中でも樹齢 種類の多様さ 木々の大きさ 範囲の広さなどの点で突出した価値を持つとして 2007年に登録されました
2011年にはドイツ中部・北西部にある15箇所のブナ林が追加され 2017年にはさらに9か国が追加されて12か国の世界遺産となり 名称も「カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群」となりました ← 前の名前は"Alte Buchenwälder Deutschlands "と簡単でした~
 
12カ国: スロバキア・ウクライナ・ドイツ・アルバニア・オーストリア・ベルギー・ブルガリア・クロアチア・イタリア・ルーマニア・スロベニア・スペイン

 ← テューリンゲンのハイニッヒ国立公園のブナ林

ブナはゆっくり育ちますが とても強い木です Buchenwald(ブナの森)の Todesholz(倒木)に さまざまなTierarten(動物の種類)が育ちます 昔はBrennholz(薪)として使われていました 
欧州の赤いブナの26%がドイツにあるそうで 5ヶ所あります: Grumsiner Forst (Brandenburg) Nationalpark Kellerwald-Edersee (Hessen) Nationalpark Jasmund (Mecklenburg-Vorpommern) Serrahner Urwald (Mecklenburg-Vorpommern) Nationalpark Hainich (Thüringen)の5箇所です

日本では白神山地もブナの原生林として世界遺産になっていますね

ちなみに 国境を越えて複数の国々が保有する世界遺産のことを「トランスバウンダリー・サイト(transboundary site)」といいますが(世界遺産検定2級に出てくる) ドイツ語では"grenzüberschreitender und transnationaler Welterbestätten"と言いますvv


詳しくは こちら


ドイツ語は こちら


 *     *     *

8. No.27 Muskauer Park (2004) ムスカウ公園 自然遺産


ムスカウ公園(Fürst-Pückler-Park Bad Muskau)は ドイツとポーランドの間を流れるナイセ川にまたがる 560ヘクタールもあるイギリス式庭園です
この地を所有していた ヘルマン・フォン・ピュックラー=ムスカウ侯爵が30年をかけてお金をつぎこんで作りました なので正式名称には彼の名前がありますね

ドイツ側はバート・ムスカウ、ポーランド側はウェンクニツァの町に接しており 第二次世界大戦末期にこの地も戦場となり被害を受けました
終戦後にはナイセ川が新たな国境線(オーダー・ナイセ線)となり 庭園は二つの国に分割されました
破壊された建造物のうち 旧城 (Altes Schloss) は東ドイツ時代の1972年に修復され 新城 (Neues Schloss) は現在修復が進められています

2004年には景観デザインの傑作としてユネスコの世界遺産に登録されました

 ← ムスカウ公園のNeues Schloss(新城)

詳しくは こちら

   *     *     *

これでだいたい旧東ドイツの世界遺産はカバーできたかな?
ちなみに 2009年に橋の建設により世界遺産を剥奪された「ドレスデン・エルベ渓谷(Dresdner Elbtal)」について書いた 「世界遺産とツーリズム - ドレスデンの例から -/ドイツ語作文」のドイツ語作文は こちら 


参考: wikipedia「ドイツの世界遺産

Unesco-Weiterbestätten in Deutschland/ドイツの世界遺産(ドイツ語)」← 上の記事のNr.はここ(pdf)にある番号です



世界遺産オンラインガイド ドイツの世界遺産 


プロの添乗員と行くドイツ 世界遺産と歴史の旅」(武村陽子著、彩図社)

ドイツ語圏文化セミナーWeltkulturerbe Teil 2」開催のお知らせは こちら

素晴らしいセミナーを開催してくださいました公益財団法人日独協会様に 心よりお礼申し上げます



にほんブログ村 外国語ブログ ドイツ語へにほんブログ村

にほんブログ村 外国語ブログ ドイツ語へにほんブログ村


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イスキア島でM4の地震(2017.8... | トップ | 第2回イタリア語フリートーク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ドイツ語・独検」カテゴリの最新記事