日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

ドイツ語で日本文化紹介: 和食の歴史と特徴と無形文化遺産登録について話す@欧日協会ドイツ語ゼミナール

2021年01月09日 | ドイツ語・独検

ドイツ語で日本文化紹介: 和食の歴史と特徴と無形文化遺産登録について話す@欧日協会ドイツ語ゼミナール


欧日協会の2018年夏期集中講座では 和食と浮世絵について発表しました

Japan-Buch」という本を読み 自分がイタリア語で以前書いた「文化としてのイタリア料理・日本料理(日伊学院夏季集中講座「文化としての料理(2015.8.10)」予習として)後編・日本料理 /Cucina italiana e cucina giapponese come cultura」等をもとに 独訳というか単語をドイツ語で調べて発表しました

「和食」: 「和食の歴史と特徴と無形文化遺産登録」についてと 「浮世絵」: 「浮世絵について 浮世絵と印象派について」です
日本庭園を一から準備しようかと思いましたが さすがに時間がかかりすぎるのでやめて イタリア語で手慣れたテーマにしました

まずは 和食について:

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日本料理  Japanische Küche

1.歴史 die Geschichte

料理の文献(Literatur)初出は「日本書紀(Die Chronik von Japan)」(720年)

縄文時代(Jõmon-Zeit/prähistorisch)には 雑穀(Getreide)の栽培が行われ(züchtern) 稲作(Reisbau)と米食が始まった
海産物(Meeresprodukte)も食べられていた


飛鳥時代(Asuka-Zeit/592~710)には 家畜等(Haustiere)の肉を食べてはいけないという禁令(Verbot)が出された


奈良時代(Nara-Zeit/710~794)には 中国文化の影響を受け(unter dem Einfluß von) 端午の節句(Knabenfest)や 七夕(Tanabata-Fest, Wega)などの年中行事に 特別な料理が作られるようになった


平安時代(Heian-Zeit/794~1185)には 中国の影響で から揚げ等(chinesische Frittüre)も食べられた
貴族(Adel)の食事は 出汁(klare Brühe)を使わず 野菜は下品な(vulgäre)食べ物として食べず
珍しい(rare)食べ物を食べることで 権威(Autorität)を見せつけていた(zeigen)

仏教(Buddhismus)の影響で 美味しいまずいを口にすることはタブー(Tabu)とされ 栄養面から見ると悪い(nicht nahrhaft)料理を食べていた

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「平安時代の再現(wiederholen)料理」
 
  ← 平安時代の再現料理 Gerichte in der Heian-Zeit

 写真(Photo): 小野小町(Ono-no-Komachi, japanische Dichterin)が食べていた 平安時代の料理は豪華(luxsus)!!
雅楽と料理を楽しむ夕べ 平安時代・雅の世界と小町美女料理」というイベント(Veranstaltung)では 雅楽(japanicher Hofmusik)の演奏のあとで 小野小町が食べていたという料理をいただきました 

猪(Wildschwein)の串焼き(Grill am Holzspieß) 鯉(Karpfen)のあらい 筍の干したの(getrockene Bambussprossen) 望がゆ (Reisblei) ぬかづけ(in Reiskleie eingelegtes Gemüse) あんず(Aprikose)の干したもの等…

当時は調味料(Gewürze)も少なく 「めぐり(Meguri)」といって ごはんのまわりに(um den Reis)置く調味料が主で 位によって (nach dem Rank) 品数も増えて行ったそうです  
揚げ物(Frittüre)もなく 冷蔵庫もなかったので なんでも干して(trocken)保存したので(erhalten) 硬くて(hart)噛むのが(beißen)大変でした

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鎌倉時代(Kamakura-Zeit/1185~1333)には 禅宗(Zen-Sekte)とともに喫茶(Tee trinken)の風習(Sitte)が広まり(verbreiten)
精進料理(Shõjin-Ryori/vegetarische Gerichte)」が流入し(hereinströmen) 京都では特に がんもどきなどの 大豆(Sojabohnen)加工(Verarbeitung)技術も発達した(sich entwickeln)
禅寺(Zen-Tempel)では 料理や食事も修行(asketische Übung)の一環とされ(in der Kette) 精進料理が発達した

  ← 精進料理 Shojin-Ryori

茶会に出される(servieren)食事との関連から(im Zusammenhang mit dem Teezeremonie) 「(茶)懐石料理(Kaiseki-ryori)」が生まれました(entstand)

  ← 懐石料理 Kaiseki-Ryori

飯腕(Reisschälchen)と 箸(Eßstäbchen)が使われるようになった

室町時代(Muromachi-Zeit/1336~1573)
は 一人分の料理を膳の上に組む「本膳の形式/本膳料理(Honzen-Ryori)」*が始まりましたが 明治時代(Meiji-Zeit)に衰退しました(dem Ende zugehen)

* eine Ansammlung von Gerichten, die auf vierbeinigen Tabletts(膳) bei formellen Festessen servert werden.

  ← 本膳料理 Honzen-Ryori

仏教の「味を論じてはならない(Geschmack diskutieren)」という解釈(Interpretation)が変わった
出汁(klare Brühe)が生まれた(entdecken)

桃山時代(Momoyama-Zeit/1573~1603)には 南蛮船(südbarbare Schiffe)により 南蛮料理やカステラ(Castilla)が伝わってきた


江戸時代(Edo-Zeit/1603~1868)は 豊かな(abwechslungsreiche)食のバラエティと 美食(Gourmet)の料理法(Kochrezept)の 名物料理(Spezialitäten)が広まった

天ぷら(Tempura) 握り寿司(Sushi) 蕎麦(Soba, Buchweizen)などの屋台(Bude)料理が発達した

料亭(gutes Restaurant im japanischen Stil)での 酒(Reiswein)とともに 作法(Etikette)にとらわれない(vorurteillos gegen)料理が「会席料理(Kaiseki-Ryori)」*となった

*für Festlichkeiten vorgesehene Vielfalt von Gerichten

  ← 会席料理 Kaiseki-Ryori

醤油(Sojasoße) 砂糖 飾り包丁(dekorativ angesetzter Küchenmesser/Schnitt)なども広まった
江戸料理と 関西料理(京料理 大阪料理/Kyo-Ryori, Osaka-Ryori))があった

明治時代(Meiji-Zeit/1868~1912)
は 明治維新(Meiji-Restauration/1868)まで 肉食が禁じられていた

本膳料理は衰退した
会席料理は料亭や高級旅館などに移り 精進料理(寺院での)や懐石料理(茶人/Teekennerを対象)は独自性(eigentümlich)を保って 今も続いている
西洋料理(europäische Küche)が 社交の手段(gesellschaftliche Mittel)として 上流階級(obene/hohe Klasse)で広まったが
庶民は ちゃぶ台(japanische Eßtischen)で 家族団らんで(Familienglück) 食べていた

開国(Land öffnen)とともに 様々な外国の料理が広まった
日本人の口にあう(nach dem Geschmack sein) 西洋料理がアレンジされ(arrangieren) 受け入れられた(aufgenommen)

戦後 (1945~)
の食糧不足(Lebensmittelmangel)の中でパン食が始まり 学校給食(Mittagessen in der Schule)もパン食となり、また「ファーストフード(Fastfood)」文化が広まった

     *  *  * 


特徴 Charakter, Eigentümlichkeiten


素材(Zutaten)の味(Geschmack)を生かす(hervorheben) 「引き算(Subtraktion)の料理」と言われる
素材にあまり手を加えず(berühren) そのおいしさを引き立たせる調理法が尊重される
「足し算(Addition)の料理」といわれる フランス料理や中華料理とは違う(anders als~)

味付け(Würzen)には 削り節(gehobelter Katsuobushi)や昆布(Riementang)などを煮出した出汁(klare Brühe) 塩 醤油や 味噌(大豆を発酵させた調味料/Miso, Sojabohnen-Grundsubstanz)で調味する
酒 酢(Essig) みりん(süßer Würzsake) 砂糖 なたね油(Rapsöl) 胡麻油(Sesamöl)
うまみ(Umami/gute Geschmack)*」という 基本的な味(Basisgeschmack)が確認された(sich vergewissern)
* グルタミン酸(Glutaminsäule), イノシン酸等

食材(Zutaten): 米(Reis) 穀物(Getreide) 野菜(Gemüse) 豆(Bohnen) 果物(Obst) 魚介類(Fische) 海藻(Seegräser)で 
当時は 肉(Fleisch) 鶏などの肉(Geflügel) 乳製品(Milchprodukte) 油(Öl)や脂肪(Fette)は ほとんど使わない(kaum verwenden)*


*ただし例外(Ausnahme)は 「酪(Raku)」(牛・羊・馬などの乳を発酵させて作った酸味のある飲料。仏教で,五味の一)や 「醍醐(Daigo)」(五味の一つで、牛乳を精製した中で最も美味しい味とされ、濃厚な味わいとほのかな甘味を持った液汁とされるが すでに製法は失われている)は使っていたという


料理方法: 生もの(さしみなど/roh) 焼き物(Grill) 煮物(Gekochtes) 揚げ物(天ぷらなど/Frittüre) 蒸し物(Gedämptes) 酢のもの(Essiggemüse) 漬け物(Eingelegtes)など

下処理(Vorbereitung)に手間をかけ(viele Mühe nehmen) 「割主烹従(かっしゅほうじゅう/Kasshu-hōjū)」(包丁を使って切る「刺身」などの仕事が第一で 次に「烹」すなわち火を使って煮たり焼いたりすることがこれに続く)
また多くの食材を切るテクニックがある

配膳(Tisch decken): 「一汁三菜(Ichijū-Sansai/eine Zuppe und drei Teller)」 盛りつけ(Tellergericht)の作法(Maieren)も決まっている

食器(Geschirr)は 漆器(Lackarbeit) 陶器(Keramik) 磁器(Porzellan)など様々で 数も種類も多く 専用の(sonder)箸 腕を使う

お節料理(Neujahresspeisen)や行事料理などの 季節の料理(Jahreszeiten-Festgericht) また郷土料理(Lokalespezialitäten)などもある一方で お好み焼き(falsche Pizza) カレーライス(Curry-Reis) ラーメン(chinesiche Nudeln)等の大衆料理(populäre Küche)も普及している

和食はヘルシー(gesund)だとして 世界中に広まっている。

    *  *  * 


3. ユネスコ(無形文化遺産):
UNESCO (Meisterwerke des mündlichen und immateriellen Erbes der Menschheit)

2013年12月に 和食(Washoku)が「料理そのものではなく 自然を尊ぶ(respektieren)日本人の気質(Charakter)に基づいた 食に関する習わし(Sitte)を 「和食: 日本人の伝統的な食文化(Japanische Küche: traditionelle Kochkunst der Japaner)」として ユネスコの無形文化遺産に登録された(anerkannt werden)


1. 多様で(vielfältige)新鮮な食材(Zutaten)と その持ち味(eigene Geschmack)の尊重(im Sinne vor Bewahrung des Eigengeschmacks, gepfegt)

2. 栄養(nahrhafte)バランスに優れた(ausgewogene) (一汁三菜)健康的な食生活(gesunde Ernährung)

3. 自然の美しさ(Naturschönheit)や 季節の移ろい(der Wandel der Jahreszeit)の表現(Ausdruck) 
   (der ästhetische Aspekt,又は die Schönheit der Präsentation)
  
4. 正月などの年中行事(Jahresfeste)との密接な関わり(enge Beziehung)


農水省の「和食(Washoku)」パンフレット(日本語・英語)は こちら ← ダウンロードできます

その他の表現:

kurinarischen Genuss 料理の喜び
Gaumenfreude おいしいもの (Gaumen 口蓋)
Fleisch und Fisch verzichten 肉・野菜をあきらめる
Vegetarier ベジタリアン  (ドイツでは10%以下)
aus ökologischen Gründen エコロジーの理由から
die Überfischung  (魚の)乱獲
Bei der Zubereitung von japanischen Gerichten wird meist eine Fischbrühe verwendet. 和食の調理には主に魚の出汁が使われる
Alge, Riementang 昆布
getrockene Pilz   干ししいたけ,きのこ (ベジタリアンの為には鰹節ではなく 昆布やしいたけの出汁がある)
flüssig 液体の
fest 固形の
fettig 脂肪の多い
mager 脂肪の少ない、やせた
mild マイルドな
fade 味の足りない
Monoklutur 単一栽培
Agrokonzern 農業コンツェルン
とろろ geriebene Taro-Knollen
こんにゃく geratinartige aus Aronstabknollen
湯葉 Haut der Sojamilch, eine proteinreiche Spezialität
gesundheitsbewusste Ernährng 健康を意識した栄養摂取

その他 食糧資源のこと 単一種の栽培リスク バーチャルウォーター 和食の言い方 平安時代の料理 江戸東京野菜(新宿御苑で栽培) ドイツの食生活の変化 日本に長いと納豆を食べられるか等 料理についていろいろたっぷり話しました!!
日本にしかない食材を説明するのは難しいですね~ たとえて言う等いろいろな工夫が必要ですね!!

* 出典: 辞書 Wikipedia(日本料理、イタリア料理) Giappone(旅行ガイドブック) 「Japan-Buch」 他

写真 お節料理 大皿盛り 


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