昨日の、商経アドバイスと農業協同組合新聞に「ななつぼし拡販」という記事が出ていた。
この記事は、商経アドバイスのもの。
農業協同組合新聞の記事は以下のものであった。
ホクレンと北海道米販売拡大委員会は、来春から北海道米「ななつぼし」のプロモーションを強化し販売拡大を図ると発表した。
「ななつぼし」は味と食感のバランスが良く、冷めてもおいしさが長持ちするのが特徴で、弁当や寿司向けの米として人気が高い。
食味ランキングでは平成22年産から3年連続で「特A」を取得しており、北海道では、いま、もっとも作付が多い品種だ。
ホクレンでは、これまで3大都市圏を中心に北海道米のプロモーション活動を行ってきたが、さらなる販売強化をめざし地域を拡大してプロモーションを行うことにした。
2月8日からは、東北を除く全国の全ブロックで新たなTVCMをオンエアし、それとあわせて販促ツールをつかった店頭での販売強化、異業種とのコラボキャンペーンなどを展開する予定。
また、すでにANAとの提携により、国際線のビジネスクラスの機内食では、12月から「ななつぼし」が採用されている。
今回のCMは、北海道米としては過去最大級となるし、この結果によって、北海道米の将来が決まってしまうほどの、ポイントにもなっている。
「ゆめぴりか」が誕生してからは、猫も杓子も「ゆめぴりか」となってしまっていて、それまでの北海道米を支えていた「ななつぼし」は、一気に陰に隠れてしまった。
北海道米プロジェクトを作った自分でも、「ゆめぴりか」の販売が伸びることによって、「ななつぼし」が半分程度にまでダメージを受けてしまう事は想定していたのだが、まさかここまで落ち込んでしまうとはイメージしていなかった。
そして「ゆめぴりか」についても、たかが数年間で、ブランド米とてしての価値が下がり始めてしまうとは、想像していなかった。
「ゆめぴりか」の失速を避けるためにも、北海道米ブランドを安定させるためにも、「ななつぼし」の存在とポジションを、ハッキリとさせておかなければならないのは、当たり前のことなのである。
北海道米プロジェクトを動かすためには、それまで北海道米の中心であった「きらら397」のイメージを、一新する必要があった。
冷めると不味くなる、黄ばんでくる、ボソボソするという北海道米のイメージは「きらら397」が作ってしまったものではない。
それまでの北海道米の全てに言えることだったのだから。
「きらら397」は、確かに古いタイプのお米ではあるが、適地だけで栽培しているのであれば、今でも美味しいお米である。
しかし、適地ではない場所で栽培された「きらら397」は、昔の北海道米と同じであり、それが内地(本州)や消費地で、大量に、さらに安く販売されていたことで、北海道米のイメージは変わるどころではなく、完全に「やっかいどう米」として認知されてしまったのである。
よって、北海道米プロジェクトを動かすためには、「きらら397」を一度切り捨て、「ななつぼし」をもってして、北海道米の基準とする必要があった。
その時に動いてもらったのが、JAたきかわ、芦別の生産者きらきら星生産組合、地域の普及員たちであり、今では差別化栽培として知られるようになった「高度クリーン栽培」も、その時に誕生したのだ。
そしてその時に、完売することが無かった「ななつぼし」が、全国で初めて新米を待たずして完売するという快挙を成し遂げたのだった。
「ななつぼし」が道内の基準米に変わり、消費者の意識も変わったことで、「おぼろづき」「ふっくりんこ」を北海道米の差別化米として計画・実行することができ、「ゆめぴりか」をその頂点に置くことが可能となったのだ。
「ゆめぴりか」の動きは、良いも悪いも、誰でも見えている事だろう。
流通価格も販売価格も、他産地よりは優位に展開できているとは思うが、末端での販売価格が下がり始めていること、ブランド力に力が無くなり始めていること、低品質米が大量に出回り始めていること等は実感できているはずだ。
どんなに強いブランド米として誕生しても、数年たてば体力は落ちてくる。
それを食い止めるためにも、さらなる差別化をしていくためにも、「ゆめぴりか」には、栽培方法の違い、タンパク質含有量の違いがあるタイプがあるのだが、、それらについては全く伝わっていない。
そして、これらが最終的に、スーパーや量販店での販売ではなく、米屋だけの差別化米となる予定という事も、まだ決定にまでは至っていない。
北海道米を東北米と肩を並べる大産地に育て上げるためには、「ゆめぴりか」だけでは、もともと不可能なのは当たり前で、「ななつぼし」「おぼろづき「ふっくりんこ」「きたくりん」そして「きらら397」の全てが必要なのである。
さらに、次の品種も、そのために誕生してくる。
なにを言っているのか判らないかもしれない。
自分が言いたいのは「ななつぼし」は安売りの定番商品ではなく、乱売されるお米ではなく、北海道米の基準米、北海道米の全てを支えている品種なのだという事。
だから取り扱いには、自分のお店のイメージのためにも、十分に注意をしてもらいたいという事なのだ。
現在の北海道米の流通は、年間契約となっていることから、2月に拡販があると言っても、今更手当てできるものではないかもしれないが、もしも「ななつぼし」を手に入れることが出来たとしたら、そこを理解して販売してもらいたい。