畠山義綱のきままな能登ブログ

畠山義綱が見てきた史跡を紹介します。
時々、経済や政治などもつぶやきます。

世界経済が大きく動く2019予測

2019-01-27 17:41:00 | 政治・経済
 米中貿易摩擦の影響もあって、中国が今年28年振りの経済成長の低水準だという話。ここで中国はどうでてくるか?

予測1「中国経済のバブル化の心配」
 思い出すのは、日米貿易摩擦の時の日本。1980年代。この時内需拡大を目論み、土地と株に資本が集中するバブル経済が起きた。中国は社会主義なので土地の購入は原則できない。となると国の企業を中心に過重投資が起きて不良債権が多くなるという心配がある。
 中国は今まで超右肩上がりの成長をしてきただけに、過重な投資をしている。国内にも海外にも大盤振る舞い。これがマイナスに振れるとしたら・・・。なかなかヤバい状況だ。


予測2「アメリカ経済の低迷の心配」
 アメリカはTPPから離脱し、NAFTAもアメリカが有利な条件にカナダ・メキシコに対して変更させた。NATOから離脱する意向というニュースまで流れ、アメリカの経済的孤立化が激しい。さらに、シリアやベネズエラでロシアと対立し、しかも少し不利な流れができてしまっている。こうなるとアメリカと国際社会の協調がうまく行かず、ロシアの影響力が増してしまう。アメリカ経済が貿易不振で低迷すれば、そのとばっちりはカナダ・メキシコ・日本・台湾などアメリカの影響が強い国に現れがちである。そうなると、日本にとっては不利な交渉を強いられる。ただでさえ、日米物品貿易交渉(事実上のFTA)という難題がある。TPP以上に条件を譲れば、TPP加盟諸国も黙ってはいまい。恐るべき難交渉である。


予測3「日本と地域連合との経済的関わりの増加」
 日本は昨今地域レベルでの経済連携をたくさん結んでいる。すでに発行済となっているTPPだけではない。RCEP(東日本地域包括経済連携)はASEAN(東南アジア諸国連合)に、日本・中国・韓国・インド・オーストラリア・ニュージーランドを含めたFTA構想。特にASEAN諸国やオセアニアやインドとの効果が高く、日本の貿易が強化される可能性も十分。さらに、日欧EPAで日本とEUとの関係も接近している。さらにイギリスがEU離脱に絡み、TPPに接近している。
 これらの地域連合との連携は、アメリカが世界的に孤立したことに間接的には端を発している、TPPもアメリカが一番乗り気ではなかった。それゆえ、アメリカが離脱したことでそれ以外の国で実現までこじつけることができた。その中で日本の役割はかなり高かったと言える(日本は経済的にも上位で、各国も日本への輸出への期待から連携を結びやすい)。これをチャンスに日本の経済的国際影響力が再び増す可能性すらある。

 しかし、恐れるべきこともある。それは日本の軍事力が経済力に対して弱いこと。今まで日本はその軍事的影響力を米国に依存する事と、常にアメリカの影響力の下に隠れることで、経済的影響力を持ちながら、あまり世界的にも狙われないという希有な地位にいることができた。しかし、アメリカが日本と距離を置いたとして、しかも日本の経済的国際地位が経済的連携によって高まるとすると、それこそ中国やロシアからの対日圧力が増す可能性もある。

 2017年にトランプがアメリカの大統領になると、良い面でも悪い面でも世界経済が動いた。その動向を的確に把握し、巧みな外交や連携を取ることが肝心である。そのためには、一国主義ではなく、ASEANやオセアニア諸国など日本と価値観を共有できる国との連携を増すことによって、日本の国際地位を高めることが有効なのではないかと思う。(もちろんアメリカと友好関係を保つことが最も大事であるが、トランプ大統領の好き嫌いに振り回されたくない気もする。)

世界同時株安?

2018-10-12 06:05:00 | 政治・経済
昨日日経平均も一日で900円下げましたが、アメリカの連邦準備銀行の利上げをきっかけにアメリカダウの大幅下落をきっかけに進む世界同時株安。

トランプ大統領は「利上げはばかげている」と言うが、日本の財務相は「利上げだけが原因でなく、米中貿易摩擦なども原因ではないか?」という発言聞き、私もその通りだと納得。

つまり、世界が協調関係にあれば一国の不振は強調して防げる。世界恐慌の時も、アメリカや日本の好景気がヨーロッパの復活によって急激に失われたことで起こった。

そしてその不景気を、ブロック経済やファシズムなど、一国主義で解決しようとし、結果的に第二次世界大戦となってしまった。

この同時株安はとても心配ではある。2009年のリーマンショックは意外と早くそれを克服できたが、あのときの状況と世界の雰囲気が違う。排外主義や一国主義がまかり通り始めたからだ。

トランプ大統領が、太平洋の漂着ゴミの処理の費用が膨大で日本や中国に負担を求めようとしているらしい(10月12日のフジテレビニュースより)、海洋国の漂着ゴミはお互い様であり、その一方に責任を押しつけるのはおかしな話だ。

今回の株安が長引かなければいいのだが・・・違う何かが牽引して経済を押し上げてくれないかなと思う。政治不安と経済恐慌が重なることは避けて欲しいと思う。

現代の文章と思考の比較

2016-08-15 08:57:00 | 政治・経済
 8月14日の未明にトップアーティストのSMAP解散に関する発表がされた。2016年の1月に解散騒動があったがそれを引きずる形での解散となった。8月14日にみる5人のコメントから、文章というのは本当にその気持ちを表していると感じたので、そのコメントからどのような思考が見て取れるか。いつもは中世の古文書を見ているが、今回は現代の文章からその意味を考えていきたいと思う。
 まず、前提に日本の文章というのは、特に文面に自分の意見を間接的に表現することで、相手を立てたり波風を立てないようにする慣習がある。その分、その意図を組みにくいが、その言い回しやどこに軸を置いているかを通してその気持ちを汲み取ることはできる。そこで、解散に関する5人の文章の全文を比較することでその気持ちの差を読み取っていく。


■中居正広さんのコメント全文

 「ファンの皆様、関係各位の皆様、我々SMAPが解散する事をご報告させて頂きます。ご迷惑をお掛けしました。ご心配をお掛けしました。お世話にもなりました。このような結果に至った事をお許しください。申し訳…ありませんでした…」

 まず冒頭にファンと関係者に向けた解散報告のあいさつ。ファンに軸を置いている点が中居さんの周囲に気を配る姿勢が見て取れる。そして、そのファンに向かってまずお詫び。感謝の場面は「お世話になりました」という部分以外ない。そして「申し訳…ありませんでした…」という文面からは口語のように言葉に詰まる様子を行間から読むことができる。予想ではあるが、中居さんの解散することが本望ではない様子が文章から強く表れている。SMAPで一番大事なファンを立てていることに、リーダーとしての責任感や、まったくSMAP内の事情に触れていないことから、メンバーすらもかばう全方位外交ともいうべき、素晴らしい人間性が見て取れる文章である。



■木村拓哉さんのコメント全文

 「この度の『グループ解散』に関して、正直なところ本当に無念です。でも、25周年のライブもグループ活動も5人揃わなければ何も出来ないので、呑み込むしかないのが現状です。沢山の気持ちで支えて下さったファンの方々、スタッフの皆さんを無視して『解散』と言う本当に情け無い結果になってしまいました。今は言葉が上手く見つかりません」

 まず冒頭に「無念です」という文章があり、軸が自分にあることがわかる。そして一番の違いが他の4人にはないネガティブな文言の多さ。「正直なところ」「5人そろわなければ何も出来ない」「呑み込むしかない」「無視して『解散』」「本当に情けない結果」「今は言葉が上手く見つかりません」。ほぼ全文がネガティブな言葉で占められている。つまり軸が自分にあることから、自分としては不本意な結果であるということが強いメッセージになっている。しかも他の4人とは違って、メンバーへの恨み節も見て取れる。一見ファンやスタッフに向けていることばに見えるが、この文章は実はメンバーに向けた「なぜ解散という道を選んだのだ」という問責にも見て取れる。ここからやはり1月の騒動以来、木村さんだけ違う立場に立たされてメンバーとの意思疎通があまりできていなかった点が見て取れる。すると、木村さんがいくら頑張っても他の(特に稲垣さん、草なぎさん、香取さん)との連携は難しく、その点で中居さんがメンバーの調整に苦労していたであろうことがこの文章からも推察できる。
 日本人的感覚からして、他者を非難すると自分に返ってくるので積極的には避けたいと考えるのが普通だ。であるならば、木村さんの隠された意図として、ファンやスタッフの応援を通して、解散にするその日までもう一度5人での活動を行った上でお別れしたいという意思表示なのではなかろうか。つまりは、一部マスコミで報道されているさよならコンサートや
、25周年イベントや紅白への出場を狙ってのファンへの喚起を促すメッセージなのではないかと筆者は推測した。


■稲垣吾郎さんのコメント全文

 「ファンの皆様、スタッフ関係者の皆様、この度はご心配ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ございません。今の状況で五人での活動は難しいと思い、辛い決断ではありますが『解散』という形を取らせて頂く事になりました。どうか僕達の意思をご理解頂けたらと思います。28年間本当にありがとうございました」

 冒頭の発言から、ファンや関係者に軸足が置かれている。そして「ご心配ご迷惑」という文面から、騒動後からの溝で関係者に本当に苦労を掛けたところを謝罪している。しかし、次の文面で「僕達の意思をご理解頂けたら」というあたりから、稲垣さん自身も解散派であったことが見て取れる。一方で「辛い決断ではありますが」という文面よりメンバーが一枚岩ではない、そして解散が良い決断では無かったという点が見て取れる。これはメンバーへの配慮とファンへの配慮が見て取れ、稲垣さんが解散派でありながらも、中居さんの調整に少し心動かされていなのではないかと想像する。

■草なぎ剛さんコメント全文
(なぎの字は文字化けするのでひらがなとなったことをご容赦ください)

 「この度僕たちSMAPは解散する道を選びました。いつも応援してくれたファンの皆様、支えてくれた関係者の皆様、グループ結成から28年間本当にありがとうございました。今後も精進して参りますので引き続き、温かく見守って頂けると嬉しく思います」

 冒頭のコメントは軸が明確のようで実は不明瞭なのである。「僕たち」が主語であり一見SMAPが主語のようであるが、前述のようにSMAPの意思は一枚岩ではなく、淡々と「道を選びました」と言ってしまうあたり、自分視点からであり、軸が自分にある。コメントにある言葉に、ネガティブな言葉はなく、「ありがとうございました。」「今後も精進」「引き続き、温かく見守って」というあたり、解散に対する後ろめたさはない。一方ネガティブな発言が全くないので、存続を図るメンバーに対しての思いがなく解散に対するリーダー中居さんの調整などをほとんど受け入れていないのではないかと筆者は思った。すると草なぎさんは積極的な解散論者であったのではないかと推測する。

■香取慎吾さんのコメント全文

 「ファンの皆様、そしてスタッフ関係者の皆様。僕らSMAPは解散いたします。応援して下さった沢山の方々に心より感謝申し上げます。そして突然のお知らせとなりましたこと、深くお詫び申し上げます」

 冒頭のコメントからファンやスタッフに向けた言葉のように見えるが、「解散いたします」という文面に自分の意思の強さを感じる。中居さんが「解散することを報告させて頂きます」と報告という言葉から結果的に解散となったと言う意図が見て取れるし、草なぎさんが「解散する道を選びました」という言葉から、それ以外の道もあったかもしれないけど、それを選んだという意図が見て取れる。しかし、香取さんから「解散いたします」という端的な表現は、「この道しかなかった」という強い意志を感じる。したがってその記述を見ると、ファンやスタッフの名を挙げながら自分を軸にした文章だと考える。
 そして今までの「心よりの感謝」を伝える一方、ネガティブな言葉は「突然のお知らせとなりましたこと、深くお詫び申し上げます」のところだけであり、ファンに対しての突然の報告に申し訳なく思うが、解散に対して申し訳なく思っていないという意味にもとれる。つまり強い思いを持って解散を主張していたとも見て取れる。この事からも、草なぎさんと同様に存続を図るメンバーに対しての思いがなく解散に対するリーダー中居さんの調整などをほとんど受け入れていないのではないかと筆者は思った。



 以上をまとめると、5人の解散に対する態度は以下のようになる。

存続派       解散派      強い解散派
木村さん<中居さん<稲垣さん<草なぎさん<香取さん


 室町時代の古文書を見ると、文章というのは一見宛先にわかるように書かれたものに見えるが、その実はその文書が流失したり他人に披露される可能性を考えて、誰に対しても通用する文面を優秀な武将ほど選択していると言える。また、日本人の性質上、直接的な表現は避けるのが通例ではあるが、1つの文章だけではわからなくても、他の文章と比較することで微妙な言い回しからその意図や人物の訴えを読み解くことができる。
 今回の5人の「解散に関するコメント」の全文はそれがわかりやすい比較になると思い自分なりの分析をしてみた。しかしこの分析はあくまで個人的な推測であり、SMAP個人の気持ちを正確に代弁しているかどうかは不明である。そして、また私もSMAP解散に心を痛める世代であることを通して、勝手にSMAP個人のコメントを分析したことをお許し願いたいと思う。

 ライオンハートの歌詞のように「失ったものはみんなみんな埋めてあげる」とはいかなかったのが残念でならない。


新国立競技場の「時間非整合」問題

2015-07-20 22:09:00 | 政治・経済
 迷走する「新国立競技場」問題。当初1300億円だったものがいつのまにか2500億円となり、多くの国民の反発によって、政府は「白紙撤回」に追い込まれた。この政策的失敗を経済学の「時間非整合」に求めてみたい。


 「時間非整合」性の問題とは,初期時点では最適であると定められた将来の政策が,一定時間が経過した後では,もはや最適ではなくなってしまうことを意味している。具体例として,年金制度が挙げられる。これは,初期時点では賦課方式による運営が決定されたにもかかわらず,少子・高齢化が進んだ現在では若年世代の負担が深刻な水準になり,年金制度が維持できるどうかが不確実なものになってしまった。(「経済政策における時間非整合性:展望」木内祐輔)


 ここから考えると、「新国立競技場」問題も見えてくる。デザインコンペが行われた2012年にはまだまだ東京にオリンピックが来るというのは半信半疑な状態でもあった。しかし2013年のIOCの会議で実際に2020年のオリンピックが開かれることが決まった。ここで、「現実的にそして本当に新国立競技場を建設する」必要性が生じた。

 デザインコンペで示されたザハ案はデザインの斬新さもあり、費用は高額になることがあとでわかった。政府はその段階で「デザインコンペ合意された案」をそのまま費用が高額でも推し進めるか、「デザインコンペ案を撤回し最初からやり直す」かを決めなければいけなかった。

 オリンピックが決まる前には「国民もオリンピックが本当に来ると思わないので、非現実的で斬新なザハ案を見ても何も文句を言わなかった。」ある意味国民も将来を見据えたコミットメント(合意)ができていない点である。

 しかし、現実問題として建設する必要性ができ、2500億円という高額の費用を前にすると、「デザインコンペ」のコミットメントを否定し、「建設を撤回せよ」となる。まさに経済学の時間非整合の問題である。


 ここで政府の行動としては、「デザインコンペ」という以前の合意を重視するのか、現在の「高額費用に対する撤回要求」を重視するのかという問題が起こった。

 なんでも国民の要求する問題に政府が簡単に答えればよいわけではないことは、多額の負債を抱えたギリシャ破綻問題を見るとよくわかる。「緊縮財政に反対の国民」と「緊縮財政を要求する支援国」。簡単に国民の要求にこたえると、支援国の信頼を失って国家破綻を招く。国の政情不安は、過激派武装組織を利する結果となることも多い。ただ、国民の合意形成を無視しては、結果的に政情不安を招くこともまた然り。


 すなわち、「国立競技場建設問題」は「ギリシャ破綻問題」に通じるものがあり、国民に対する政府の合意形成が必要なことは言うまでもない。いかに政府が「国民に丁寧に説明するか」「説明に納得しない場合は、決定を遅らせたり、撤回させるか」が必要だと思う。


 そう思うと、民主党政権の失敗と自民党政権の成功が見えてくる。
 「ガソリン税暫定税率」「高速道路無料化」「普天間基地県外移設」「子ども手当実施」など、その政策自体の評価はさておき目玉政策をことごとく国民の合意形成なく変えた民主党政権。
 「消費増税延期」「財政改革延期で景気回復」「新国立競技場計画白紙撤回」など一見国民に受けがいい政策を国民の支持を基に転換した自民党政権。それに対し、安保法案では、国民の支持に反して押し切ろうとしたことで支持率の下落をみたのではないだろうか。

 安保法案の国民の反対への広がりも、それこそ現実的に法案が成立しそうだから「時間非整合」問題で国民の反発が広がっているとも見える。

 とすると、日本国民の「将来性の見えなさ」が問題なのではないだろうかと思ってしまう。政治的無関心が多い、投票の棄権率が多いなどもそこにつながるのではないだろうか。



硬直した政治と経済

2013-10-01 20:31:00 | 政治・経済
 アメリカでオバマケアを含む予算が議会で成立せず、さらに急場を凌ぐ暫定予算すら成立せず公務員に給与が払えない政府閉鎖になってしまった。アメリカは議会のねじれがあっても話し合いでなんとかしてたみたいな印象もあるが実は全然違う。低所得者を含む医療保険のオバマケアや銃規制法案など重要な政策ではことごとく野党に足をひっぱられた。今までは対立法案も曖昧にしただけでなにも政治的な熟成はなかったのかも。


 対する日本も同じ。2006年から2012年末まで一時期を除いてほぼ国会はねじれた。対立野党はことごとく政策に反対し与党を追い詰めていった。


 今はねじれが解消されたが、消費税増税、法人復興増税廃止、ホワイトカラーエグゼクションや限定正社員、生活保護削減、医療負担増加など、国民に議論があるものをどんどん成立させてる。


 慎重に政策を決めさせ曖昧になるねじれ状態か、どっちか極端に政策が振れるねじれ解消か…極めて大きな問題だ