ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

東北地方~学校公演

2010-11-09 00:12:00 | 能楽
子ども能のご報告も半ばですが、ただいま学校公演のために東北に来ています。今日は山形県・米沢市の「塩井小学校」というところで狂言『盆山』と能『安達原』を上演してきました。先日の子ども能に引き続いての小学生相手の公演なわけですが、意外やこれがとっても積極的な子どもたちがいる学校で、ぬえはしきりに感心しっぱなし。

まずは「挨拶」ですかね。どうも学校をあげて挨拶を励行しているようですが、それ以上に自発的な挨拶がしっかりできている感じです。…それもそのはず、上演前の校長先生のご挨拶からして、すでに違っていました。まずは子どもたちに、舞台の設営をしてくれた会社へ、そしてこれから能を上演する ぬえの師匠ほか能楽師へ感謝をこめて「ありがとうございます!」と挨拶させたこと。ぬえも学校公演は何度も足を運んでいますが、演者だけでなく舞台設営の裏方さんにまで感謝の意を述べられ、それを子どもたちに伝えさせた校長先生はいまだここが初めてでした。

その「裏方さん」に、「いま校長先生はみなさんにも感謝するよう子どもたちに言っていましたね…こんな事、はじめてじゃないですか?」とそっと言ってみると、「なんだか…うれしいですね」と答えていました。

やっぱりね~気持ちなワケですよ。「ああしろ、こうしろ」と指導するだけならば誰にでもできるだろうけれど、校長先生が率先して感謝の心を表そうとするから、子どもたちもついてくるのでしょう。もちろん終演後も子どもたちから「ありがとうございました~」の大合唱。

公演ですが、今年初めての試みとして狂言も上演することになりました。『盆山』は盆景を盗み出そうとして持ち主に見つかったシテが(舞台上では本名で呼ばれる)、犬やサル、果ては鯛のマネまでさせられる、というもの。垣を破るノコギリの擬音や、鯛の「鳴き声」に子どもたちは大騒ぎ~。狂言が終わったところで短い休憩時間を取ったのですが、子どもたちは「タイ、タイ!」と言いいながらトイレに走っていきました。

能の『安達原』も、何といっても間狂言の面白さが子どもたちには大うけで毎年上演曲に選んでいるのですが、それと後シテの迫力との対比が面白かったようです。なんだか狂言方に人気を持って行かれたかな~とも思いますが、子どもたちには楽しんでもらえたかも。

こうしたワケで、とっても良い気持ちで小学校をあとにした ぬえたち一行。今夜は福島県の郡山に宿泊しています。
持参できるPCがなくて、ホテルのロビーのPCを使って書き込み~

…そうしたら、今日のシテを勤めた ぬえの師匠家の若先生が通りがかりました。
今日の学校の子どもたちは良かったですね~。先生もしっかりしていた、と ぬえが話すと、今回の学校公演(11月中に12校を廻ります)では、そういう指導がしっかりした学校が多いんですよ、とのこと。

なんだか楽しみになってきました。本日は東北学校公演のご報告まで~