ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

子ども創作能 上演写真が出来てきましたよ!

2012-03-03 02:09:54 | 能楽
去る2月18日に大仁神社で行われた「おおひと梅まつり」に参加した子ども創作能。

本番の写真が出来てきました!
撮影は子ども能をずっと撮影してくださっているYさんです。ありがとうございます~

まずは仕舞『小袖曽我』。難しい仕舞に、個人的にもお稽古をしてくれている みーちゃん(中1)とひとちゃん(5年)が勤めてくれました。



『小袖曽我』は子どもには難しい仕舞ですが、伊豆に関係ある曲だし、お稽古を続けている二人をあえて抜擢! お稽古は大変だったようだけれど、当日は立派に舞ってくれました。とくにみーちゃんは中学生になったのに子ども能を一生懸命続けてくれています。この日も子ども能『伊豆の頼朝』では北条時政の役を勤めてくれました。仕舞が終わってすぐに装束を着けて。。忙しい日でしたね~(いまはテスト中なんですって。がんばれ~)

続いての仕舞は『竹生島』。勤めたのは仲良し三人組のゆかべ、いちい、りさべです。ともに小4生ですが、なんと去年の4月から同じ学校で同じクラスになりました。学閥かっ?? しかも先日までは いちいが学級委員を勤め、そのあと現在はりさべが学級委員なんですって。エリートかっ??



で、始まりました! 子ども創作能『伊豆の頼朝』! まず登場するのは頼朝(ゆいぴ=5年)、北条政子(カホちん=6年)、北条時政(みーちゃん=中1)の源氏軍。高倉院から挙兵の宣旨を受け、後白河法皇からも院宣を賜って、善後策を相談します。



ついに挙兵を決意した頼朝は、伊豆山神社、三島大社、そして遙かに都の石清水八幡宮を遙拝して戦勝を祈願します。見よ! ゆいぴのこの眼!



ちなみに石清水八幡宮はこちら! この1月に参詣して参りました。さすがは戦さ神。拝殿の前に矢が。。



頼朝が出陣を決めると政子も氏神の守山八幡宮に歌を捧げ、舞を奉納します(このへんから台本は史実を離れた ぬえの創作になります。。)



さて一方こちらは平家の伊豆目代・山木兼隆。大役を勤めるのは なんと今年ぴかぴかの1ねんせいになったばかりの たけちゃん! 「伊豆の国市子ども創作能・ちっちゃいものクラブ」のメンバーだけあって(←うそ)腰帯がデカく見えること。子方用の腰帯を用意しなきゃ。。



ちょうど三島大社の祭礼の日にあたり、警備が手薄になった8月17日、源氏軍は山木邸に押し寄せます。



不意を突かれた平家。それでも郎党は太刀を抜いて奮戦します。平家の郎党はサラ(4年)と、やはり1ねんせいのさきべ。三人とも立ち方は初めてだけど、どうしてどうして堂に入っているじゃありませんか!



そして源平入り乱れての白兵戦! ちゃあんと1対1の斬り組みもあります。



平家の郎党が討ち取られ、ついに頼朝と兼隆の一騎打ち! 史実ではありませんが、やっぱボスキャラは最後に出ないと。(笑)



で、ここが『伊豆の頼朝』最大の見せ場の兼隆の側転です。さすがに能に側転なんて型はないのだけれど、見せ場を作るのに悩んで、2年前に いちいの兄貴のライチが兼隆を勤めたときに「何かみんながビックリするようなこと、できない?」と聞いて、それで側転に決まったのでした。この側転をやりたいために子どもたちの間では毎回 兼隆役が一番人気です(笑)



ついに兼隆は捕縛され、連行されて行くのでした。ん~全体としては『正尊』ですね。これは。毎年改作の手を加えているんだけれども、初演時には史実に忠実に作りまして、『正尊』は念頭にあったものだから、頼朝は前場では読み物まで謡う場面を作ったものでした。



終演後はみんなそろって舞台の上からご挨拶~。みんな良くできました!



ここからは当日のスナップ集。
まずは楽屋で装束を着付けられる たけちゃん。



終わってからピストルのおもちゃを買ってもらってガッツポーズの ゆいぴ。なんでやねん。



動けば腹が減る。腹が減れば出店で買い食いをしたくなる。だが、なぜ焼き芋なのだ。焼き芋片手にピース! はいはい、お嫁に行く時に結婚式の「思い出ビデオ」で写し出してもらおうね~。



かくして「梅まつり」公演は無事に終了しました。正直、そんなに期待していなかったはずの1ねんせいの大活躍で あっけに取られた ぬえ。今年は「頼朝挙兵830年祭」ということで伊豆の国市で大々的に盛り上がるようで、子ども創作能もなんと! 鎌倉公演まで予定されています。乞うご期待!