ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

気仙沼・石巻支援公演、行って参りました(その13=加藤昌人さんとの再会)

2012-03-09 00:28:05 | 能楽の心と癒しプロジェクト
こちらはカメラマン・加藤昌人さんの写真。今回は東京から撮影に駆けつけてくださったYさんのほか、シギー吉田さん、そうしてこの加藤昌人さんと、3人もの個性的なカメラマンさんとご一緒になった訪問公演でした。

加藤昌人さんは千葉県に在住で、やはり湊小でずっと活動を続けてこられました。人呼んで「記念写真屋さん」。被災地で記念撮影!? そうなんです。そうして加藤さんは被災者にカメラを向けない写真家。…ますます訳が分からなくなってきますね。

じつは加藤さんは ぬえが初めて湊小に行ったその日にお会いしているのです。去年の7月1日、何も分からない状態で石巻に行き、明友館の千葉恵弘さんのご紹介でチーム神戸を頼って湊小避難所に赴いて1日中床掃除をして。その夕方にテノール歌手の小栗慎介さんのミニ・コンサートに飛び入り出演をさせて頂いた、その時。加藤さんは住民さんたちにコンサートの写真を撮ること、住民さん方も写り込むだろうけれどもお顔は決して撮りません、というような事をお伝えして、そうして写真を撮り続けていらっしゃいました。

次に加藤さんにお会いしたのは、元高校教師で、やはり湊小の支援をしておられる松田隆夫さんが主催して9月に東京で開かれた写真展『津波が来た学校 ―石巻・湊小学校―』でのこと。ツイッターで見つけたこの情報をもとに見に行くことを決めた ぬえはチーム神戸のリーダーの金田真須美さんと連絡を取ったところ、「カトウさんによろしく」ということでした。それが誰か分からないままに写真展に行った ぬえ。お会いして「ああ~~っ、あのときの。。」加藤さんもすぐに気づいてくれまして、ここで長くお話をさせて頂き、湊小のこと、石巻のこと、そうして加藤さんの撮影スタンスについて、あらゆる情報を頂きました。

このへんの経緯はこのブログの記事、写真展「津波が来た学校」(9/4~9/9 東京・吉祥寺)(その2)に詳しく書いておきましたので、加藤さんのスタンスについてもこちらをご参照ください。

そういえばその後、ぬえが「能楽の心と癒しプロジェクト」を立ち上げてから、活動の原点となった7月1日の湊小避難所での飛び入り出演の映像や画像が欲しくなりまして、そのときそこにおられた加藤さんに伺ってみました。「あの時、写真を撮っていませんか?」お答えは「いいえ、撮っていません」。。なぜか。「だって、私は飛び入りだったあなたに撮影してよいですか?とお聞きできませんでしたから」。。ごもっとも。無断で人の写真を撮らない、という加藤さんの固いスタンスであるのです。その後は加藤さんとは年末にも石巻でお会いしましたし、ずっと懇意にして頂いております。

で、この日、石巻・立町復興ふれあい商店街に ぬえが出演することは加藤さんにもお伝えしてあったのですが、加藤さんのスケジュールと ぬえの上演時刻が、じつはこの日初めて重なり、加藤さんは ぬえの上演の撮影に来てくださいました。

装束の着付けもほぼ完了した楽屋(仮設商店街の空き店舗)に、突然顔を出した加藤さん。ああ~、お久しぶりです~、とご挨拶したら、加藤さんはにっこり微笑んで ぬえにこう言いました。

では ぬえさん、『今日は ぬえさんのことを撮影してもいいですか?』(*^。^*)

ああ~、この日をどんなに待ったことか。

『はい、結構です』(#^.^#)

こうして撮って頂いた写真がこれ!















この日は東松島で能面を打っておられる木村健人さんとも知り合い、実り多い1日となりました。