9
皮膚の内側だけで生きているのではない。全体で生きている。 沢木興道老師
*
皮膚はわたしの国境線ではない。そこに限定されているのではない。狭いところを飛び出して、何処へでも赴く。赴いたところでも生きる。
だからわたしは全体を生きる者。全体生命者。
じゃ、皮膚の内側は誰? 外側は誰?
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皮膚の内側だけで生きているのではない。全体で生きている。 沢木興道老師
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皮膚はわたしの国境線ではない。そこに限定されているのではない。狭いところを飛び出して、何処へでも赴く。赴いたところでも生きる。
だからわたしは全体を生きる者。全体生命者。
じゃ、皮膚の内側は誰? 外側は誰?
8
わたしの努力なんてちっぽけなもの。ちっぽけでよしとされる。そうする。わたしは夜が来ると目を閉じる。朝が来るとそれを開く。
夜が来るのは夜の努力。朝が来るのは朝の努力。それでわたしが生き永らえる。今日を生きている。
7
一輪のスミレのために地球が回り、雨が降り、風が吹く ジョン・ミューア
天地万物がスミレを咲かそうとして総力を挙げるところに、わたしが生きている。
*
そう言えばそう。わたしが雨の日に外を歩くとわたしは雨に濡れる。わたしを例外としない。疎外がない。
6
色は匂う。匂って誘いかけて来る。此の世の現象界は色仕掛け。匂いは鼻がキャッチする。嗅覚は獣の特性。特殊技能。これにほだされていれば、目つぶしになる。それで万事ことの終わりを迎えられるように設定されている。ならば、そうするしかない。
だが主体主客として、揺すぶられずに堂々と生きてもいたい。
5
「オレ・ハ・イキテ・イル」のカタカナ語を三回ゆっくりゆっくり繰り返す。オレがオレに言い聞かす。なんだそれでよかったのか。
いろは歌の締め括りは、「アサキ・ユメ・ミジ・ヨイ・モ・セズ」 納得のン。主旋律は、いろはにおへどちりぬるを。
4
そんなことじゃ、生きていることの実感が得られない。それも駄目これも駄目。
僕は瞑想する。目を閉じる。外を見ないで内を見ようとする。
外を見ているだけでは外の評価に翻弄されてしまう。外で活躍をして生きているという刺激に蓋をする。
内を見ると揺れが止まる。
3
じゃ、何を味わうのか? 何処が味覚するのか? 消化するための唾液酵素が何処かで出ている?
味わおうとしないと味わえないのか? わたしがいま此処で生きているということを。
2
鼻から息を吸って吐いているだけでは、駄目なのか? それも間違いなく生きているということ。
心臓の音がしている。指を当てて脈をとって確認してみる。毛細血管が手の甲に青く盛り上がっている。心臓が生きているということと、わたしが生きているということは、同じ事? 別々なこと?
1
味わおうとしないと味わえないもの? 生きているということ。
生きていることとそれを味わうことは同じ事? 別々なこと?
8
凝縮しておいて、それを拡散するという術。
一生の袋の中に豊かな思いをぎゅっと詰め込んでおいて、数生に匹敵する期間に、それを個々別々に取り出して、店開きする。そこで反芻吟味する。そういう術。
案外、知らないだけ見えないだけで、すでにそれを行使実演している魂氏が数多(あまた)いるのかも。居ても不思議ではない。此の世は不思議なことだらけ。わたしの知性感性が追いつかないでいるだけ。