常不軽(じょうふぎょう)菩薩さまのことが書かれたチャプターがあります、法華経に。
*
この菩薩様の仏道修行はただ一つでした。
*
「但行礼拝(たんぎょうらいはい)」を行じるという修行でした。
*
この菩薩様は「わたしは常にあなたを軽んじません。あなたが何をしてもあなたを軽んじません。あなたはやがて仏様になられる尊いお方です」と声に出して、会う人ごとに手を合わせて礼拝をしました。
*
礼拝をされた人は、気持ち悪がって、石を投げたりしました。(加害をしないと分かっている人には加害をしたくなるのが人情のようです。虐(いじ)めによく似ていますね)
*
それでもそれでもこの菩薩様は礼拝を続けました。ここからが菩薩の本格的な修行になりました。
*
人を軽んじないという修行は、同時に、人に軽んじられるという修行でもあるようです。軽んじられることに耐えねばなりません。
*
仏道は仏様を礼拝供養する修行の道でありますが、それは人を礼拝供養す道でもあるのでしょう。
*
人はやがてみな必ず仏になります。われわれはみな仏になる道を歩いています。仏陀はそう説いています。
*
仏陀一人が仏陀に成るのではありません。(このテーマは仏教独自のテーマです)
*
仏教は平等を重んじます。すべての人を仏陀にするのが仏陀の任務です。それができないのなら仏陀は仏陀になり得ていないのです。
*
仏陀とは自己完成者を意味しています。何度も何度も生死輪廻を繰り返しながら、われわれはみな、この自己完成の長い一本の道を歩いています。過(あやま)ちを無数に重ねながら。