8月15日(金)、学び舎の仲間達と一緒に埼玉県飯能市を訪ね、そこに住むいろいろな昆虫や獣(毛もの)たちの生態の一部を覗かせていただきました。
今回も2年前の観察会同様、飯能在住のomusubiさんとその仲間の方たちに案内をしていただきました。
書くことがたくさんあるので、2回くらいに分けて記録を残しておきたいと思います。
今回は獣たちのフィールドサイン探索と、彼らそのものの探索について書きたいと思います。
2年前は「ムササビ観察」と、主に「昆虫類」の観察に主眼をおいていましたが、今回は獣たちの観察に主眼をおきました。
そのために、今回最初に案内されたのが市の中心部から15~20分くらいの所にある里山でした。
いきなり普通の道を離れ、山の斜面に足を踏み入れました。
そこで暮らす野生動物たちのフィールドサインを探すためです。
まず見つかったのが鹿のフィールドサインです。↓
鹿が休むために作った「鹿の舞台」だそうです。
これがそうです。↑
山の斜面の一角に地面が露出した平らな場所が「鹿の舞台」なのだそうです。
鹿が地面をならして作るそうです。
これがあるということは、近くに鹿が居た証拠です。
実際、ここを観察している最中にメス鹿に出会いました。↓
「鹿の舞台」の30mくらいうえの斜面だったと思います。
手振れしていますがこちらを警戒しながら見ている鹿の姿がありました。
この他に森の中にはいくつかの鹿のフィールドサインがありました。
こちらは、鹿の「ぬた場」(お風呂場)です。↓
身体についた寄生虫などを落とすために、この泥池に身体をぬた打つのだそうです。
そして、そのすぐそばには、身体についた泥を落とすために木々に身体を擦り付けた跡も見られました。↓
人間の風呂上りのバスタオル代わりでしょうか。
木の中ほどの部分にぬれた土がついています。
それにその周りの木の葉にも泥がいっぱいついています。
また、オス鹿が角を突きつけた木もありました。↓(角研ぎ跡)
樹皮がずたずたになっています。
以上が「鹿」に関するフィールドサイン探しでした。
山の斜面を登っていくと鹿以外にもいろいろな獣達のフィールドサインが残されていました。
確かこれは狐(キツネ)の巣穴だった場所だと思われます。
前足で土をかき出すので、穴の後ろに土の小さな山ができるのが特徴なのだそうです。
「鹿の舞台」のあった場所から20mくらいの所でしょうか。それ程離れてはいませんでした。
またこちらはアナグマの巣です。↓
この穴の近くにもいくつかの穴がありました。
それらをまとめて「セット」と呼ぶのだそうですが、彼らの住居なのだそうです。
山の頂上付近にありました。
この山の斜面を登り切ったところ(アナグマの巣の10mくらい上)の向こうには、こんな建設資材置き場が広がっていました。↓
アナグマやキツネや鹿の生活空間とこの写真の空間とはほんのわずかしか離れていません。
それだけ、彼らが人間に身近な動物であることがわかりました。
斜面の下には広大な資材置き場があり、その向こうに開けた草原が見えました。
夜はこの草原部分で獣たちの出現を待ちました。
昼間の野生動物のフィールドサイン探しの後、ちょっと違った探索ということで名栗川に行きました。
駅近くの人がいっぱいの川原ではなく、われわれの他に人がいないプライベートな川原を紹介してもらいました。
そこでは、ニホンリスとアカネズミのフィールドサインを見つけました。
オニグルミの食べ跡からニホンリスとアカネズミのものであるとわかってしまうのですから驚きました。
ニホンリスの食べた跡のクルミは真っ二つに見事に実が割れているのだそうです。
それに比べアカネズミのそれは、真ん中から割る力はないので、
実の膨らんで出っ張ったとことに両側から穴を開けて中身を食べるのだそうです。
その二通りの食跡を川原で生徒が見つけました。
そして夜は夜行性の彼らの姿を見るべく車で移動しながら、山の斜面や畑の中を探索しました。
あちこちに何頭かの鹿達の群れに出会いました。
昼間山側から見た草原にも足を運び、何頭かのシカ達に出会いました。
かつてオーストラリアのケアンズというとことで、夜中、街中のちょっとした草原をうろちょろしているカンガルーの仲間達に出会ったことがあります。
町のあちらこちらの空き地に4種類のカンガルーが自然に暮らしていました。
まるでそのときのことを思い出させるように、あちこちに鹿が出現しました。
逆に言うとこの地域の農家の方達からすると農作物を食い荒らす厄介者が近くにたくさんいるという感覚なのかもしれません。
残念ながら今回は鹿のほかにはその姿を確認することは出来ませんでした。
でもとても貴重な体験でした。
そして今回のツアーの最後は「ムササビ」観察でした。
夜の鹿探索をする前にもムササビ観察を試みましたが、そのときはomusubiさんと“おかさん”が、チラッとその飛翔姿を見ただけでした。
なので鹿観察の後、もう一度ムササビ観察を試みました。
N寺の敷地内で彼らを探すと、彼らが木の中ほどに居ることがわかりました。
(鳴き声と目のわずかな光でわかりました。)
そこでその後10分くらいでしょうか、みんなで目を凝らしてその場所を観察し続けました。
暗い木々の中段を26個の目で眺めました。
10分はかなり長く感じられました。
やがて、その瞬間は急に音もなくやってきました。
われわれの眺めている空間を悠々と滑空していきました。
ちょうど境内にある照明が彼らのおなかの部分を下から照らしてくれたので、いつも以上に鮮やかにその滑空を見ることが出来ました。
そしてこれを最後に飯能をあとにしました。
時刻は10時10分くらいだったと思います。
(獣に関する記録は以上です。)