「なすの花ずし」
主な伝承地域 県南地域
主な使用食材 なす、餅米、赤とうがらし
歴史・由来・関連行事
「なすの花ずし」は輪切りにした大ぶりのなすを漬けて中に餅米、菊の花、南蛮(赤とうがらし)を重ねた漬け物。米を使用するため、「すし」と呼ばれる。地域によって「花っこ」「なすっこ」などと呼ばれることもある。
秋田では数多くの漬け物が存在するが、その中でも「なすの花ずし」は正月には欠かせない一品。なすの紫色、菊の花の黄色、赤とうがらしの赤色のコントラストが美しく、見た目も華やかでまさに祝い事にぴったり。秋田の漬け物の芸術品と言われている。
横手市では大正の終わりから昭和の初め頃から、丸みを帯びた巾着型の「新処なす」の栽培が盛んで、なすの収穫時期になると塩蔵して、菊が咲く晩秋に漬けて正月に食されてきた。雪深い期間が長い秋田では独自の貯蔵技術が発達してきたが、長期保存が可能ななすの花ずしもその一つに挙げられる。
本来は保存食のため塩味を強くしてしっかり漬けられているが、最近では食べやすくするために即席漬けした花ずしが作られることが多くなっている。塩味とともに餅米ならではの麹の甘みがあいまって、さらに菊の香りの爽やかさが特徴で、冬には欠かせない漬け物の一つである。
食習の機会や時季
いぶりがっこと並んで秋田では欠かせない漬け物の一つで、正月料理や祝い事に食される。昔から各家庭で作られ続けている。
飲食方法
餅米を炊いて粗熱をとり、そこへ砂糖と塩を混ぜ、完全に冷めたら酒を加えてさらにかき混ぜる。なすは1個ずつみょうばんをまぶし、へたと尻を切って二等分にする。桶に切り口を上下にして並べ、餅米をかけその上に菊と赤とうがらしの小口切りを重ねて置き、上部を笹の葉で覆う。これを繰り返したあと3~4日ねかせる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
主に県南地域の各家庭で作られ続けている。また、横手市平鹿町「浅舞婦人漬物研究会」が地元農家と契約栽培した素材で、「秋田の田舎漬」と称して商品開発を手掛けている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_19_akita.html より
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