うまいッ!「うまみがブワーッ!魅惑の脂 島豚~沖縄・今帰仁村~」 2014年09月14日
番組内容
口に含むと自然に溶け出し、うま味がブワーッと広がる…極上の脂を持つことで知られる「島豚」。全身黒い毛で覆われ、やや小さいサイズ。一般的な西洋種の豚とは味も見た目も異なる。600年程前に大陸から沖縄に持ち込まれた品種だ。数が少なくなった今も、沖縄の人々にとって特別な食材だ。愛情込めて育てる生産者に密着する。また、島豚の味にほれ込み、ハムやベーコンなど加工品作りに取り組む食肉加工職人も紹介する。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201409140615001302100 より
詳細不明につき、勝手に調べてみました。
「島豚」
アグーは、沖縄県の琉球在来豚。またそれを原種としたと豚、ラードタイプの産業種。黒豚、島豚(しまぶた、琉球方言:シマウヮー)等とも言う。奄美群島や薩摩にも伝わったが、薩摩(鹿児島県本土)で現在飼育されている黒豚はイギリス原産のバークシャー種と交配させたもので、全身真っ黒ではなく、足先、鼻、尾の6箇所が白い。
概要
中国から渡来したとされる豚を起源とする一品種である。通説では琉球で豚が飼育されるようになったのは14世紀末に当時の明朝から琉球へ中国系の豚が伝来したのが起源とされている。近年、弥生時代の貝塚である伊江島の具志川貝塚(弥生時代後期)から豚の骨が発掘されている。日本列島では本州でも同様に弥生期に弥生ブタが出現するが、当時から琉球では豚が飼育されていたことが明らかとなっている。それゆえ、アグーがいずれの系統につながるものなのか正確な起源は不明である。アグーという名称は、粟国島に由来するのではないかとする説がある。
毛は全身黒色で体質強健、資性温和で粗食にも耐えるが産子数は4、5頭と少ない。また小型で脂身が多いため、一頭から取れる肉の量も少ない。明治以降、西洋種であるバークシャー種と交配させて若干の改良が図られたが成豚になっても体重は100キログラム前後と小型で、原種の特徴をよく残している(バークシャー種やランドレース種等、代表的な外来種は通常200〜300キログラム以上の体重になる)。
従来、奄美を含む琉球の農家で広く飼育されていたが、産子数が少なく発育速度も遅かったのに加え、全島が攻撃に遭った沖縄戦により根絶の危機にあった。戦前は10万頭いたといわれるが、戦後は30頭近くまで減少し絶滅寸前となったという。戦後はハワイなどに移住した県人からの救援物資の豚が届き、多産である外来種の飼育に押されていた。1981年より名護博物館館長の島袋正敏によって保存が唱えられ、北部農林高校教諭の太田朝憲がこれに協力した結果、絶滅を免れた。戻し交配法によって選別を進めるなどして、現在頭数は600頭以上まで回復している。現在は沖縄県畜産研究センターを中心に保存が進められている。
肉質は柔らかく臭みが少ない。赤身の部分が少なく脂肪が多いが、外来種と比べてコレステロール値は4分の1と低い。また、うま味成分であるグルタミン酸などアミノ酸成分も多い。現在は外来種との交配種が、ブランド豚としてスーパーマーケットの精肉および土産物として売り出されている。
日本本土の在来豚はほぼ絶滅しており(例えば、かごしま黒豚はバークシャー種)、外来種の影響をあまり受けなかったアグーは観光資源としても貴重で、近年では沖縄県も宣伝普及に力を入れている。
「あぐー」と「アグー」
食用豚肉としてひらがなで表記される「あぐー」は沖縄県農業協同組合の登録商標で、琉球在来豚「アグー」の血を50パーセント以上有する豚肉と定められている。このため、上記の定義を満たした豚肉であってもJAと商標使用許諾契約を締結していない事業者は「あぐー」はもちろん「アグー」「AGU」などの名称も使用することはできない。しかし実際には「あぐー」として流通している「アグーブランド豚」よりもアグーの血の濃い交配豚やアグー同士の交配による純血アグーの肉を生産する農家は存在しており、「あぐー」というブランドのあり方について疑問を呈する声もある。
2012年には、戻し交配によって開発された最も純血アグーに近いとされる品種が「今帰仁アグー」として商標登録された。
*Wikipedia より
「今帰仁アグー」
今帰仁アグーについて
今帰仁アグーは美味しさの追求とともに、文化資源・社会資源の継承、遺伝資源の維持を目的に経済的成立をいかにするかと言う課題をひとつずつクリアーする努力を続けています。
アグー豚と言う名称の豚が数万頭出回る中、今帰仁アグーについて、「他のアグー豚と何が違うの?」とよく質問を受けます。
特に現在、沖縄県農林水産部畜産課が奨め、沖縄県アグーブランド豚推進協議会が決めている産業動物としてのブランド豚 「沖縄アグー豚」との違いについて聞かれる事が多くなりました。
そこで簡単ですが今帰仁アグーの特徴と説明を申し上げたく思います。
遺伝的要因としての違い
1)DNAの違い
●一般のアグー豚の原種豚は、イギリスのバークシャー種などが交配された豚のなかで沖縄県立北部農林高校で維持されていた豚とその豚に別の西洋種を交配した豚でアジア系グループに入る豚を原種豚とします。今帰仁アグーは全く別の系統で東アジアの豚の系統にはいるグループになります。
●今帰仁アグーはDNAで今帰仁アグーの肉であるか他の豚の肉であるかの区別がつきます。
2)性成熟の違い
●100~120日程でおとなになります。
一般的な西洋種やアグー豚は200日程で性成熟に達しますが、今帰仁アグーは100日~120日程で性成熟に達するため小柄で皮下脂肪も厚くなります。
●出荷体重
西洋種の多くは生後180日で110㎏になると出荷します。性成熟する200日に達していない成長期の幼畜です。そのため、皮下脂肪が薄く、みずみずしいソフトな肉になっています。他のアグー豚も西洋種の交配の関係で性成熟が遅くなっており大柄な豚になっています。今帰仁アグーは出荷まで300日~360日かかり80kg~90kgと小柄ながら完全に性成熟に達した成豚となっています。
●肉用にするため沖縄での在来豚の繁殖コントロール(写真 卵巣摘出写真 白黒で印鑑を押す)
沖縄の在来豚は性成熟が早い為、放っておくと妊娠してしまうので、卵巣摘出をしていました。これは、現在でも東アジアの少数民族の間で行われています。
3)骨格の違い
●豚の原種イノシシと同じ背骨の数
今帰仁アグーは背骨の数(頸椎と腰椎の足した数)が19本で胴が短く見えます。西洋種は背骨の数を増やす核内受容体の一種NR6A1が働き背骨が22~23本と多い豚になっています。一般のアグー豚も背骨の数が多い傾向がみられます。
祖霊神や精霊に供犠として使われた沖縄の豚は伝統的形質・形態に限られ、突然変異の非日常的な豚は使われませんでした。
4)外貌の違い (写真3枚 )
●毛色は黒く、耳の革が薄い。背線が緩く、腹が下垂し、尾が挿し尾(尾が巻かない)、指の関節が弱く後の蹄(ひづめ)が地に着くなど
狭いところで囲い飼育される環境で人為選抜されてきた東アジアの在来豚の共通する外貌特徴を多く持っています。西洋品種は放牧・移牧の環境で利用形態も異なり、異なる人為選抜をされた豚であるため外貌特徴が全く異なります。
5)性質の違い
●子育てがうまく温和です。
性格が温和で人に向かってくることはありません。また、子育てがうまく西洋種のように自分で子豚を踏みつぶすことも、他の豚の臭いがある子豚を咬み殺すこともなく分け隔てなく育てます。
6)味・食感の違い
●筋繊維が細く、脂肪融点が低い。
融点は餌でかなり変わりますが今帰仁アグーは遺伝的に融点が低い特徴があります。またアミノ酸成分、不飽和脂肪酸成分、コルステロール値は遺伝的違いがほとんどありません。脂肪融点が低いことで味がわかりやすく、筋繊維が細いので歯にかかりにくいと言われています。
●筋繊維の弾力が強い特徴があります。
試験研究をしていないので明確な答えが言えませんが、筋繊維の弾力が強いようである。このため食感として弾力が出るが、硬く思われる事があります。
環境的要因として
1)餌の違い
●トウモロコシではなく米でエネルギー計算をしています。
トウモロコシの油は身体によくない事と脂がコーン油の風味が出てしまうこと、飼料用トウモロコシ・大豆・ナタネなどは遺伝子組み換えが行われている物が沖縄で使われています。また油の抽出にヘキサンが使われており残留したものが、アレルギーの原因になっているとも考えられています。これらの飼料は畜産生産で通常使われていますが、お客様が、不安を覚えないよう独自の飼料を厳選しています。また今帰仁村では、欧州のようなコルクガシの栽培場に豚を離す仕組みがなく、そのような飼養体系は取れませんが、泡盛粕、甘藷蔓の利用をしています。
2)飼育環境の違い
●今帰仁村産です。
今帰仁の土地柄で育てることを前提としています。
●種豚の放牧をしています。
飼育豚のすべてを放牧してはいませんが、健康の為、種豚を放牧させ、草を食べさせ、風雨にさらし、海の潮風を浴び、ぬた場で泥浴びをさせています。
●授乳期間・飼育期間が大変長くなっています。
西洋種は分娩回転率を上げるため生後20日前後で離乳し、180日前後で出荷しますが、今帰仁アグーは性成熟が早く、出産体重も小さいため、授乳期間を40日前後、出荷までの飼育期間は300日~360日前後になっています。
その他の要因として
目的の違い
●遺伝資源・文化資源の継承と食べて美味しい事を目的に経済的確立を目指しています。
単純な経済的目的だけのために豚を安易に交配させることはしません。しかし、現代社会における経済活動に沿わなければ今帰仁アグーに生存権利が発生しないため、経済自立努力を心がけています。
●元原種豚の導入は1970年代に離島で行った移動動物園からと沖縄在来豚アグー保存会からです。
近年飼育される西洋種的な黒い豚、来歴不明の豚は農場に導入しない事にしています。
●閉鎖飼育・育種をしています。
他所の豚に不安定材料が多い為、基本的に自社農場の豚のみで交配を行っています。また 門外不出で他所に搬出していません。
また日本を代表する動物園「恩賜上野動物園」及び沖縄の動物園である「沖縄こどもの国」には在来家畜の展示用として今帰仁アグーが飼育展示されています。
~琉球豚・今帰仁アグーでは以下の7つの規定を設けております~
1) 原種豚
原種豚は、琉球在来豚の外貌特徴である事。
2)生理生態
性成熟が120日前後に来る豚である事。
3)骨格
脊椎数(背骨の数)が19本である事。
4)産地
今帰仁村産である事。
5) DNA
mtDNAの解析でアジア系である事。
6)飼料
遺伝子組み換をしていない今帰仁アグー専用飼料で育てたもの。
7)名称
今帰仁アグーとする。(アグーブランド豚ではない)
参考文献
琉球在来豚アグーの紹介とその再生計画の概要 社団法人畜産技術協会 假 屋 堯 由
宮城吉通
沖縄在来豚「アグー」の復元と沖縄の食文化(1)、畜産コンサルタント34巻11号(1998)
宮城吉通
沖縄在来豚「アグー」の復元と沖縄の食文化(2)、畜産コンサルタント34巻12号(1998)
大城まどか
「琉球在来豚アグー検討会資料」、沖縄県畜産試験場(2003)
東江直樹
琉球在来豚の繁殖と利用~付加価値のある「ブランド豚」を目指して、
畜産の情報(国内編)、10月号(2004)
*http://nakijinagoo.com/htdocs/?page_id=21 より
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