「ひのかぶら漬-緋の蕪漬/緋のかぶ漬」
主な伝承地域 松山地域
主な使用食材 緋のかぶ、だいだい酢、砂糖
歴史・由来・関連行事
愛媛県の民謡伊予節にもでてくる伝統野菜、緋色のかぶの漬け物であり、ダイダイ酢の香りと甘酸っぱい味付けと風味は、深みのある上品な仕上がりである。歴史的に見ると300余年前、蒲生忠知が松山に転封になった際に先祖の地、近江国蒲生郡日野産のかぶを移植したのが始まりで、原種であるこの「近江の日野菜かぶ」が松山の地に適して改良され、名物になった。
鮮やかな緋色の発色は、かぶに含まれる色素のアントシアニンが酢に反応することで得られる。愛媛ゆかりの俳人 正岡子規も、「緋の蕪や膳のまわりも春景色」とこの漬物を俳句に詠んでいる。多くの人に好まれ、故郷を離れて暮らす人の郷愁を誘う漬物である。
食習の機会や時季
松山地域独自の漬物「緋の蕪漬」は、おせち料理には欠かせない食材のひとつで、各家庭で漬けられてきた。かぶの緋色が冴えていると、その年はよい年になる、という言い伝えがあり、今も縁起ものとして愛されている。特に初物の赤色が冴えていると、今年は縁起がよいと喜ぶ風習もある。
飲食方法
かぶは、きれいに洗い皮をむきたっぷりの水に一晩つけアク抜きをする。アク抜きしたかぶを輪切りにして塩漬けし、4、5日位おく。だいだいを輪切りにし、しぼり酢をつくる。しぼり酢に砂糖を合わせかぶを漬け込む。1週間位すると味が馴染み美味しくなっている。好みの大きさに切って食べてもよいし、千切りにしてサラダのトッピングにしたり、刻んでごはんに混ぜてもよい。酸味が苦手な人は、醤油をかけると味がまろやかになって、コクが加わる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
松山名産の土産物、お歳暮品として、食べ頃の年末にはその需要は高く、家庭用にはパック詰めが喜ばれている。学校給食のメニューにも登場している。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/hino_kabura_zuke_ehime.html より
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