「おみ漬」
主な伝承地域 村山地域、最上地域、置賜地域
主な使用食材 山形青菜、大根、人参、きくいも、紫蘇の実(塩漬け)、醤油、ざらめ
歴史・由来・関連行事
多様な漬物文化が残る山形県。「おみ漬」は高菜の一種「山形青菜(せいさい)」を使った漬物で、「青菜漬」とともに山形県を代表する漬物の一つである。
青菜は明治37年(1904年)に中国の重慶から入ってきたといわれる品種で、山形県では明治41年(1908年)奈良県から種子を入れ、農事試験場で試作。その結果従来の漬け菜としていた体菜、山東菜、芭蕉菜などよりも品質が優れていることが判明し、山形青菜の栽培を開始した(『北国の野菜風土誌』青葉高)。大正初期から採種できるようになり、昭和に入り、栽培地域が村山地域から県内一円に広がった。
山形青菜は一株が500g程度、丈が70cmから80cmにもなり、大きい野菜。「青菜漬」は肉厚の茎の部分を珍重して食べることが多く、葉先は捨ててしまうこともあったため、もったいないと近江出身の商人が刻んで漬物にしたことから、「近江漬」が転化して「おみ漬」になったといわれている(ほかにも名前の由来は、刻んだ野菜を揉んで漬けることから「もみ漬」が「おみ漬」になったという説など諸説ある)。
このように「おみ漬」は、余った野菜をすべて使い切るための知恵として発展してきた料理ともいわれており、使う野菜の種類に限りはなく、「山形青菜」に限らず余った野菜をなんでも細かく刻んで漬けていた。
食習の機会や時季
山形青菜が収穫されるのは10月下旬から11月中旬にかけて。大きいもので、一株の丈が70cmから80cmにもなる。「おみ漬」は、正月の席でも食べられている。
山形青菜のシーズンを迎えると、わりと手軽につくれる「おみ漬」をつくる家庭も少なくない。
飲食方法
山形青菜を中心に、大根、人参などの旬の野菜を一緒に刻んで、しばらく塩漬けにしてから食べる。ごはんと一緒に食べるのはもちろん、おにぎりの具やお茶漬け、チャーハンの具などさまざまな用途に活用できる常備菜といえる。
近ごろは、山形青菜の間引き菜を使ってつくられることもあり、山形を代表する冬の漬物「青菜漬」が出回る前に食べられたりもする。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
現在でも家庭でつくられているほか、真空パックされた既製品なども販売されている。飲食店では定食の一品として提供されることも珍しくない。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/omizuke_yamagata.html より
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