バーンスタム氏の、論文の続きです。
「選挙を実施することが急務だからといって、選挙が行われさえすれば、」「選挙の対象、方法、結果のいかんを問わず、」「民主主義と平和と、安定に向けた前進が見られるとは、限らない。」
「ロシアの権力及び経済は、選挙が行われないとなると、」「確実に悪化するだろうが、」「仮に選挙が行われても、危機が和らぐか、深まるかは、」「選挙の結果次第である。」
ロシアに限らず、どこの国も似たようなものと思いますが、銃撃戦があったり、戦車が出てきたりするのは、未開の後進国を除けば、中国やロシアでしか聞きません。これまでの選挙で、命の危険を感じたことがありませんので、それだけでも日本の国は、素晴らしいと思います。
日頃はこんな気持ちを忘れ、反日・野党を貶していますが、比較の対象を変えれば、日本の反日・野党の良さも分かります。
「選挙のやり方を間違ったため、ロシアの民主主義が破壊され、」「内戦が起こる可能性は高い。」「現在、ロシアの様々な権力に内在している対立は、危険なものだが、」「選挙が違法に実施されると、この対立がさらに激化するだろう。」
ロシアだけでなく、中国も北朝鮮も、何かあると軍人が出てきます。軍人が政治に関心を持つだけでなく、政治家が彼らを利用するからです。戦前と戦後の日本を考えながら、氏の論文を注意深く読みます。
「ロシアの分裂を回避し、国際社会を危険に晒すロシア領土での戦争を防止するためには、」「いくつかの難しい条件を、満たす必要がある。」
氏は三つの条件をあげ、3番目が最も緊急を要する必須条件だと言います。
1. 政治的財政的に、実行可能な連邦制度を見出す
2. 政治改革の恩恵が、ロシアの全管轄区域に及ぶようにする
3. 政府と議会の政治闘争に、自治区や共和国を巻き込まない
連邦内の自治地区や共和国は、軍事力を持っていますから、分裂し内戦が始まると、間違いなく国際社会を危険に晒します。令和2年の現在、結果としてロシアは深刻な分裂状態とならず、プーチン氏の強権でなんとか安定を保っています。
バーンスタム氏の論文を読みながら、私が懸念しているのは、隣国中国の分裂です。評論家の中には、中国は何カ国かに分かれた方が良い、という意見を言う人がいます。異民族を武力で押さえている自治区は、分離すべきでしょうが、それ以外の領土を分断すると、間違いなく内乱が発生します。
鉄のカーテンで仕切られていた、かってのソ連と異なり、現在の中国には、日本をはじめとする欧米諸国の企業が進出し、深い関係を持っています。その分だけ、中国の内乱は、他国の介入を招き易く、大戦争となる危険を孕んでいます。
前回のブログで、氏が列挙した12項目の重大選択を、そのまま紹介したのは、中国のことが頭にあったからです。共産党政権が、自由主義経済を強権支配するという、基本的矛盾がある限り、中国は、他国が働きかけなくとも、自身の中に分裂のタネを抱えています。節度のない軍人がいて、強力な核兵器を持つ中国が、内乱状態になることを期待するのは、大変危険です。
一番良いのは、ソ連のように、アンドロポフ、ゴルバチョフ、エリツィン氏に似た政治家が、国内改革を断行することでしょう。中国に似た指導者がいなかった訳でありませんが、劉少奇、胡耀邦、趙紫陽など、みんな抹殺されてしまいました。周恩来首相も、改革派の一人でしたが、毛沢東の心酔者でしたから、力を発揮できませんでした。
日本の政治家や経済人の中には、中国要人と親しい人物もいますが、これらの日本人は役に立ちません。違った歴史観を持っているとはいえ、中国の指導者たちは愛国者です。「東京裁判史観」を信じ、卑屈になった反日の人間は、利用はされても信用されません。
田中角栄、福田赳夫、小沢一郎、野中広務、加藤紘一、古賀誠、石破茂、二階俊博といった各氏は、全て幹事長経験者で日本の実力政治家ですが、中国の分裂防止には無力です。中国の中にいる改革派と協力し、共産党独裁政権を終わらせ、国民を解放する協力は、日本を愛する政治家にしかできません。国を裏切るような人間は、中国の政治家が相手にしません。
ソ連もそうでしたが、政治家は命がけです。習近平氏も李克強氏も、常に暗殺を覚悟で、政治の場に望んでいると聞きます。そんなはずはないのでしょうが、マスコミの情報で知る限り、日本の政治家に、覚悟のある人物が見当たりません。
昭和45年に、よど号ハイジャック事件が起きたとき、自民党の山村新治郎氏は、乗客の身代わりとなり、犯人らと共に北朝鮮に向かいました。国交のない北朝鮮へ行けば、生きて帰れる保証はなく、帰れたとしても、長期抑留となる予測が高い中で、氏は人質を買って出ました。
こう言う例もありますから、私が知らないだけで、いったん緩急があれば、愛国の政治家が現れるのだろうと、信じています。
今回も、本題を逸れる内容となりましたが、「敵基地攻撃能力保有」のブログ以来、何を読んでも、日本のことが頭から離れません。今晩は眠り、明日に氏の論文と向き合います。次は「北方領土」についてです。