アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

生活上困らないからいいってもんじゃない

2015年05月18日 | Weblog
日本には約320万人いる。男性の20人に1人、女性の500人に1人がこれに該当する・・・これは何でしょう?
 答えは、「先天的な色弱の人の数」。男性の場合、100人中5人が色弱という事になる。早い話が5%。そんなに多いのか!と少々驚きました。

 60年前は、健康診断として、「色神の検査」が学校で行われていました。石原式色覚検査表と書かれた厚紙の表紙の本。丸い点の中に浮き出る数字を読み取る…「異常」がある人には読めるが正常な人には読めなかったり…。

 「色神に異常あり」の判定を受けた子は、「色盲」と呼ばれ、いじめの対象となっておりました。そういう時代でした。誰かを責めて溜飲を下げる…。
 「色覚異常」で多いのは、「赤緑色弱」。そのため、日本の学校では、「赤チョークを使わないようにしよう」という運動が起こった事がありました。ところが、今は、赤チョークが平気で使われている。先生が、色覚に異常がある子の身になれないからでしょう。男子の5%の子が色覚に異常があるのですから、クラスに1人はいる計算になります。配慮してあげなければなりません。

 今は健康診断で色覚検査はしないのかって?…しませんねえ。12年前(2003年度)から廃止されています。廃止となった理由ですか?いじめですよ。差別されること。それと、色覚に問題があっても生活上困らない…。

 つまり、色覚に異常がある子でも、「自分が色覚に異常がある」ということを知らない。親も知らない…一体いつ知るのでしょうか?普通の暮らしでは困らないとしても…。では、このようなケースをどう見ますかねえ…
 全国の模試でも、常に上位の成績の高校生がいたとします。「東大の理三合格間違いなし」でした。ところが…身体検査で、「色覚に異常あり」の判定。医学部は色覚異常者は受験資格がないというか…合格点をとっても、身体検査で落とされる。泣く泣く志望変更。どうですか?普通の暮らしでは困らないかも知れませんが、手が届くところにあった目標の実現を放棄しなければならなかった。早い時期に、色神検査をしておく必要ってあるんじゃないか?早い時期って何歳頃かと言われても困るのですが…。

 「違いを多様性と考える柔らかな心があれば、もっと生きやすい」この言葉には大賛成です。しかし、その陰に、「違い」で、生き方に大転換を迫られる人もいる。

 13年前、船舶操縦の免許を取るとき、身体検査がありました。項目に、「色覚検査」がありました。船舶を操縦していて、色が解らなければ大変ですから、色覚検査は当然でしょう。
 石原式の検査かなと思ったら、小1が算数で使うタイルのようなものに色が塗ってあって、「色見本と同じに、色タイルを並べる…」という一見簡単な検査でした。ところが、微妙に色を変化させてある…いわば高度な検査。タイルの数はぁ…24枚だったと思いますが…。結果は、合格でしたけどね。
 49年前に、自動車の運転免許を取得したときも色覚の検査がありました。「赤黄青」が判別できるかどうかの簡単な検査でしたけどね。

 結論ですが、学校の先生は、「赤チョーク」「緑チョーク」の使用は控えましょう。そして、色神の検査は、義務教育のどの時点かで行うようにしたほうがいいよーってことで…。