風は東楡の木通りから

クリスチャンフルート吹きパスピエの愛する音楽、猫たち、薔薇の毎日

Amazing Grace--アメイジング・グレイスなお話

2005-12-13 22:48:14 | 音楽
本田美奈子ちゃんも歌っていたアメイジング・グレイスは私も大好きな讃美歌のひとつだ。(讃美歌 第2編167番、聖歌229番)

  Amazing grace! How sweet the sound that saved a wretch like
  me!I once was lost, but now am found, was blind, but now I see.

 (訳)驚くばかりの恵みよ!なんと優しい響きであろう。私のような卑劣な者
  をも救いたもうたとは!私は(神)から迷い失われたものであったが、
  今は見出された。盲目(霊的な心、魂が)であったが、今は見える。

教会では聖餐式やお葬式などでよく耳にする。あの9・11が起こった後、どこかしらの教会ではテロの犠牲となった方のお葬式があり、バグパイプがこの曲を静かに奏でる中、棺を送り出していた。

また、アメリカでもアイルランド移民の多かった地域に住んでいたのだが、3月14日の聖パトリックの日が近くなると、そのお祭りのパレードがある。バグパイプ隊が行進しながらこの曲を奏でていたのを思い出す。それだけ親しまれている曲だ。

この曲はアメリカ民謡をエクセルという人が編曲し、歌詞の部分はイギリス人の牧師ジョン・ニュートンが作詞したものだ。

このジョン・ニュートン、もともとは牧師ではなく奴隷商人だった。子供のころから船員生活をしていたが、ジョン自身が奴隷として売られたこともあり、その生活は堕落していた。彼は荒くれ者で奴隷に対してもひどい仕打ちをしていた。奴隷商人をしていたある日、大嵐にあい、今にも沈没しそうな時初めて自分が罪人であるということを思い回心し、心から神様に祈りをささげたのだという。海は静まり、彼は助かった。その後何年間か奴隷船の船長をした後、献身して牧師となったのである。

アメイジング・グレイスの意味は「驚くべき恵み」。この歌の歌詞は新約聖書エペソ人への手紙2章5節の御言葉からなっている。

「罪過の中に死んでいたこの私たちをキリストともに生かし、-あなた方が救われたのは、ただ恵みによるのです。-」

英語の歌詞にはWretchが使われているが、この言葉は卑劣な奴という意味がある。ジョン・ニュートンは自分のような罪に穢れた卑劣きわまる者でも神さまの恵みによって救われたと神様を讃美しているのだ。いわば信仰告白の歌なのである。