風は東楡の木通りから

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「ぼくはうみがみたくなりました」の映画化を応援しよう!

2006-04-28 18:24:14 | 
「ぼくはうみがみたくなりました」(山下久仁明著、ぶどう社発行)という本がある。

この本は自閉症の青年が主人公の小説だ。この本の著者山下さんは実際に自閉症のお子さんの親御さんでもある。町田おやじの会のメンバーとともに障碍児の放課後活動の場「フリースペースつくしんぼ」を立ち上げた、その代表である。また、日本シナリオ作家協会会員でもある。

話の内容はこうだ。
看護学校の学生あすみはある日知り合った青年を「海を見に行きませんか」と誘った。しかし、同乗した彼は名前も言わない、一言もしゃべらない。こんなことなら1人でくればよかったと思っているところへ老夫婦と知り合いになり、4人の旅が始まった。その中で青年が自閉症であり、その自閉症というものがすこしずつわかってくるのであった。

読んでみたい人はこちらで立ち読みできます。

さて、本の感想など。
一挙に読んでしまった。それだけ引き込まれる作品だ。誤解されがちな自閉症を自閉症の当人がどんな状態にあるのか、また親、兄弟、教育者、第3者の視点でわかりやすくまた、細やかに描かれている。また小説としても展開の面白さがある。時に泣かされ、笑わせられ、この後どうなるのだろうとどきどきさせられる。最後は感動ともにさわやかな風まで吹いてくるような上質な小説である。自閉症を知らない人が読んでも楽しめる内容だ。

この本を読んだ人たちが映画化を望むのもうなずける。山下さん自身も映画化ができたらという思いがあったようだが、このほど、ついに映画の自主制作の方向で動いている。しかし、この話が動き始めるまでにあまりにも悲しい出来事があった。(ご自身のblog「自閉症の小説!?」にこの経緯がしるされている。)

そして自主制作のため資金を集めることからはじめている。もし、興味のある方、カンパをしてもいいという方はこちらをご覧ください。

「ぼくはうみがみたくなりました」製作準備実行委員会&応援サイト

誤解されがちな自閉症の世界をもっと世の中に知ってほしい。差別や偏見は無知から来るものだと私は思う。どうかこの小説が映画化されてもっとお互いを理解し尊重するような社会づくりに用いられていくようにと祈るばかりだ。