風は東楡の木通りから

クリスチャンフルート吹きパスピエの愛する音楽、猫たち、薔薇の毎日

池袋演芸場

2006-04-06 01:01:39 | 落語
日付は変わってしまったけれど、前々から息子達を生の落語を聞かせたいと思っていたので、この雨の中いってきましたよ、池袋演芸場へ。落語は初めてという私の母も誘ってね。

しかし、アスペの長男は前の日から「緊張する」が始まっていたのでものすごく心配だったのだ。彼の緊張とはどうやら極度の不安の高まりを言う。特に外で外食しなければならない場合、初めてすることがある場合、必ずこの「緊張」がでる。

アスペルガー症候群のお子さんを持つ方はわかると思うが、彼なりのルールというものがある。外食は何時から何時までに食べなければならない、胃がもたれない程度に少量、もしくはたべない。これが彼なりのルール。そうしないと「満腹感」ー「緊張」ー「パニック」ー「吐き戻す」ー「ひどい時は体が動かなくなる」という流れになるから。

でも今日はそんなこともなく無事に初寄席デビュー。
寝てしまうんじゃないか・・・と心配したが長男も次男も結構見てましたね。おばあちゃん(私の母)は最初のころちょっと寝てた・・・。

2番目に松旭斎美智さんのマジックがあったのだけど・・・「寄席はじめてのかた?」
で、素直な長男は手を上げる。「じゃあお兄さんを中心にやっていきましょう」
ええ~!!!だいじょうぶなのか?!新聞紙でのマジック、ああ、ちゃんと受け答えられてる!良かった。。。次最初6枚で2枚少なくなっているはずのお札がそのまま6枚だったというマジック。「残りはいくつ?」答えはいつの間にか2枚増えているのだから6枚。長男は素直に「6-2=4」で「4」と答える。「お兄さん、素直なのはいいんだけど、奇術ということがわかってらっしゃらないわねぇ。」と美智さん。

美智さん、アスペってそういうものなんですよ~。長男が怒ってしまうんじゃないかと私ははらはらだったけど、途中で何を言うべきなのか気づき、ちゃんと答えられた。それに長男は美智さんとのやり取りがとても楽しかったらしい。良かった・・・。

林家錦平師匠、演目は古典落語の「宗論」
キリスト教の息子と浄土真宗の父が宗論を交わすというもの。私はこの古典落語を知らなかったので「キリスト教誤解してるかもなぁ。やだなぁ。」と思っていたのだ。もしそうなら信仰のある長男が怒り途中で出て行ってしまう可能性あり、だから錦平師匠と長男を交互にちらちら見ながら聞いていたのである。でも結構長男にはうけていた。キリスト教についても、まあ、ちゃんとした事いってたし、仏教の家にキリスト教徒の家族がいるとこうなるだろうなというのがわかる。実際こういう話を聞くからね。マルです。おもしろかったよ。

でもこの「宗論」玉の輔師匠がやった時「キリスト教を馬鹿にしすぎています。」と楽屋まで文句を言いに来た人がいたとか。そんなに目くじら立てることもないと思ったけどな。気持ちはわかるけど・・・。噺の中の息子がやたら外人みたいなしゃべり方するから単に外国文化としてのキリスト教にかぶれただけみたいな印象を受ける。でもそういう話方しなけりゃ面白くないしね。

それにハムラビ法典がとびだし、「目には目を歯には歯をと書いてある」と父親となぐりあいの喧嘩になってしまうところもね。でもこの言葉、旧約聖書にもあるのだ。旧約聖書の場合は自分が害を受けたこと以上の害を相手にあたえてはならないという戒めの意味も有ると聞いたことがある。

それに親を殴っちゃあいけません。「あなたの父と母を敬え。」(旧約聖書、出エジプト記20章12節)ですよ。

また、新約聖書で主イエス・キリストは、

「「目には目で、歯には歯で」といわれたのをあなた方は聞いています。しかし、私はあなた方にいいます。悪いものに手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。」(マタイの福音書5章38,39節)

と言っている。落語はこの反対の展開、父親に殴られた息子が左の頬も差し出し、また殴られて、しまいにキレて、そこにハムラビ法典がでて喧嘩になるのだ。

クレームをつけた彼女はそこら辺のこと怒っちゃったのかなぁ。
でも・・・古典落語なんだからクレームのつけようがない。と思うんだけど・・・・。

この噺、上方落語の露の五郎さんだったらどんなふうに演じるんだろう。露の五郎さん、クリスチャンだからねぇ、福音落語とかやってるし・・・。聞いてみたい。御茶ノ水クリスチャンセンターあたりでやらないかな。

長いので、次回に続く。

春の空の下、満開の桜の下

2006-04-04 00:11:05 | Weblog
今日はすごい風が吹いたけど、桜散っちゃったかな?そして花冷えの一日になったね。そういえば先日の土曜日に家族でお花見に行ったのだけど、そのときのことなど・・。

ここは長男がかつて行っていた幼稚園の園庭、ここには桜の古木が8本もあり、毎年この時期になるとそれは、それは見事な桜の花を咲かす。他に園庭の外にもとおりに面した桜並木があるのでこの一角だけ桜の園になるのだ。



で、桜の花のアップ。きれいでしょ。上のほうではヒヨドリが蜜を吸っていたり、うるさく鳴いていた。こんな満開の桜の下でお昼を食べた。(お昼を食べられるのも人が少ないのが条件)長男のこだわりは「花は愛でるもの」、だからドンちゃん騒ぎは許せないがお弁当を食べる程度はいいらしい。よくニュースで花見客のモラルのなさや、お酒に酔っての醜態を見てはいつも怒っている。



花見をしていると、時々園長先生や、副園長先生をお見かけするのだが、長男は園長先生は全く覚えていないらしい。かわいそうな園長・・・)。副園長先生はよくバスの運転手もかねていたのでこちらは覚えていた。だた彼が言うには「ああ、あの顔の四角い人ね。」かわいそうな副園長・・



その顔の四角い副園長先生も我が長男をおぼえていてくださって、うれしい。なにせ、そのころから長男は変わってる子で通っていたのだ。職員室の冷蔵庫を勝手に開けて中の氷を食べていたとか、先生の机の下から大工道具を持ち出して遊んでいたり、女の子の髪の毛きっちゃったり、ちょっかい出して喧嘩になったり、まだまだたくさんある。そりゃ覚えているだろうな。あのころ、怒ってばかりだったし、謝ってばかりだったな。

1月に16歳になりすっかり大きくなって、だんなと間違われるような長男は「懐かしいな」といいながら園を隅々まで見渡していた。
ママも思い出したよ。小さいころの君を。大変だったけど、変わってるって言われてたけれどかわいかったな。そういえば・・・君は桜組だったね・・・・。

ABCニュースから・・・

2006-04-01 12:22:00 | 発達障害・アスペルガー症候群
長男がBS放送でABCニュースを見ていた。(奴は絶対ニュースかドキュメンタリーしか見ないのだ。)仕方なく私もニュースを見ていると学習障害についてのニュースがやっていて思わず身を乗り出して聞いてしまった。

ニュースで取り上げられた問題はこのようなものだった。アメリカのSAT(大学入試能力適正標準テスト)は学習障害、注意欠陥多動障害の診断書があればその支援として最長2時間延長できる。これを悪用し、医師にお金を払って偽の診断書を書いてもらいこの恩恵を受ける人たちがいるというのだ。ハーバード大学やプリンストン大学などのアイビーリーグ(アメリカ北東部にある名門8大学)、他のエリート校、の激しい受験競争を勝ち抜くため、時間を延長の恩恵にあずかり、パーフェクトに近いスコアを取るのが目的だという。ある人はこれを金持ちの子供達の抜け道と読んでいるそうだ。

アメリカ人はよく「It's not fair!」というが、これこそそうじゃないの?
発達障害に対するサポートを知らない人に説明する時、よく、「目の悪い人にめがねをかけるように」の「めがね」としてたとえられる。めがねをかけてこそ他の人が見えるのと同じように見えるのだ。また英語で障害者をしめすHandicapped Personの「Handicap」はゴルフをされている人ならピンと来るかもしれないが、お互いの力をfair(公平)、もしくはeven(平等)にするためにつけるものだ。そのevenにするためにあるサポート制度が悪用されているのである。

学習障害などの発達障害は脳の機能障害である。左右の脳の統合がうまくいかないと情報処理の問題にかかわってくる。聴覚言語機能をつかさどる左脳の働きが弱ければ、国語の内容が理解できなかったり、数学の文章問題ができなかったりする。また、空間認知、図形の認知等の視覚情報の処理機能、音楽の理解機能をつかさどる右脳、または左右の脳の働きが悪い場合は国語での書字障害、読字困難があり、数学では図形が苦手、図画では描画がうまくできない等の問題がおこってくる。

だから、発達障害のある人は普段なんでもないように思われることにもできなかったり時間がとてもかかったりしてしまうのだ。だから試験時に時間の延長というサポートがつくのである。(他のサポートとして大勢ではなく別室で1人で受けたり、読字困難症の人は字が飛んで見えたり、絡まって見えるためテープを聞いての試験が許される。

そうした学習障害などの研究、サポートのあり方はアメリカは日本より20年~30年先に進んでいるという。長男を通して知ったそういう子供達に対するサポート制度は本当にすばらしいものであった。(ちなみに長男はアスペルガー症候群が主訴であるが、ADHDの要素もあり、学習障害を併発している。)

アメリカで障害が立証されると個人プログラム:IEPが作られる。自尊心を持つことが何より大切にされ、その子の持つ長所は徹底して生かして自信をつけさせ、苦手な部分は1対1で無理せず勉強。必要ならばエイドと呼ばれる介助員がたった1人のためにつくのである。

日本に帰国して残念だったのはこういったサポートが「えこひいき」や「特別扱い」という否定的なニュアンスでとられるということだった。日本では昨年の12月に発達障害者支援法ができたけどね。20、30年以上も先を進んでいるといわれるアメリカでさえこうしたサポート制度を悪用する人がいるのだから、やりきれなくなってくる。日本の支援法が形になってくるのはまだまだこれからだけど是非、こうしたアメリカの失敗から学んでいいサポート制度を形作ってもらいたい。

悪用した彼らは「そんなのフェアじゃないよ。私達にもその制度利用させなよ。」と思っているのだろうか?それにしてもゲームでもするようにこういうことをする輩がわりといるのだそうだ。ちょっと、ちがうんでないかい?それだけ発達障害には特別なニーズが求められるということなのよ。

悪用する人間も信じられないが、お金をもらって診断書を書く医者、どうなってんの?

本当に「アンフェアなのは誰か?」である。