すみだトリフォニーで、エリソ・ヴィルサラーゼのリサイタルを聴いて来ました。
モーツァルトとショパンのプログラム。
特に、モーツァルトはどれも素晴らしかったです。
モーツァルトの奥深さに、彼がもっと長く生きていたらどんな音楽を作ってくれただろう、と初めてそんなことを思いました。
最後の3曲はショパン。
ノクターンを聴いていた時に、ショパンに彼女の音楽を捧げているような気がしました。
前回、同じくすみだトリフォニーでシューマンとショパンのプログラムを聴きましたが、その時にシューマンに献身的な愛を捧げているような気がして、その純粋な姿に泣けて仕方がありませんでした。
今回のショパン。
以前ヴィルサラーゼが、自分はショパンが好きだけど、ショパンは私をなかなか好きになってくれない、と仰っていたと思います。
シューマンの時とは違うショパン愛を感じました。
演奏は、和音を極力弱め、浮きたたせたメロディーが淡い衣をまとっているようでした。その美しいこと。
静かに音楽に向き合っている姿。とても素敵。
アンコールは2曲。
モーツァルト/ロマンス 変イ長調
ショパン=リスト/「6つのポーランドの歌」より「乙女の願い」
プログラムのモーツァルトから解き放たれて、アンコールの「ロマンス」の軽やかさ。このような音で私もモーツァルトを弾きたいのよ、と思いながら憧れの眼差しで聴きました。
「乙女の願い」はプログラムには全くなかった情熱的な音で始まりました。この曲を私は知らなかったので、最初はスペインっぽいと思いながら聴いておりましたが、次第にショパンかも・・という感じがしてきたものの、何かテイストがショパンとは違う、と思っておりましたらリスト編曲。
楽しんで弾いていらっしゃるのが伝わってきました。
私は今年最後のコンサートでした。
ヴィルサラーゼの作曲家愛。
どんなにベテランになっても、どんなに活躍されていても、揺るがないものが彼女にはあるのだろうと、そんな風になりたいものだと思い、帰途についたのでした。
よき締めくくり。