メソッドを変えて教えるようになったのは、生徒さんに美しい音で弾いてほしかったからです。
豊かな音色とか、軽やかなタッチとか、そのような本格的なことを望んで始めた訳ではありませんでした。
生徒さんの出すスカスカで何も伝わってこない音には気が滅入っていました。
趣味で弾く子供はこれが普通だろうと思っていても、この苦痛は年数を増すごとに蓄積されストレスになっていました。
それがある時、小さな子供が大人のような音で弾いている動画に出合いました。
ロシアの子供たちです。
なんだこれは ?
ロシアンメソッドというものは聞いたことがある・・
最初はテキストの差だろうと思い、それを調べました。
確かに質の良い作品を子供の頃から弾くようになっています。
しかし、それだけで生徒たちは上手くなるはずはありません。
なんだろう?と過ごしている内に、趣味で弾いている子供さんたちで、さらに先生がとても優しく教えていらっしゃるのに、生徒さんたちが皆、美しい音で弾いている動画に出合いました。
それがイリーナ·ゴリンさんの動画です。
良い音で音楽的な演奏をどの生徒さんもされていました。
その秘密を探るべく夜な夜な、彼女の動画を見続けました。
そして、偶然にも彼女の作った教本の日本語版の存在を知りました。
それを知ったのは、日本語版ができて半年位経った頃だったようです。
彼女のレッスン動画からはたくさん学ばせて頂きました。
現在も彼女の教本を使い、レッスンを進めております。
私のストレスは以前より大幅に減り、思いの外、音のニュアンスを作り出し音楽を表現するレッスンが成り立ってきています。
初級の内は何度も言い続けなければいけないことがありますが、これは音を良くするためで、楽器のレッスンでは当たり前のことです。
むしろこの事がレッスンできるようになっただけでも喜びです。
さて、本題。
腕をリラックスさせ、上からしっかりと下す。
これにより本来のピアノの音が出せるようになるはず。
ところが、気付けば音が下がり過ぎ。
ダラリとしてだらしない音がします。
特に手首が下がる生徒さんはそうです。
下げてばかりでは、いけなかったのだと思います。
支えを作らなければいけなかったと思います。
だからイリーナさんは、小さな生徒さんの腕と手首をいつも支えていらっしゃるのだと思います。
音を出す力は肩甲骨から送り、腕を持ち上げる意識は鎖骨。
この2箇所を意識すると音はすぐに上げられます。
しかし、小さな子供にはそのような話をしてもわからないので、イリーナ先生はいつも支えていらっしゃるのだろうと思います。
手首の動かし過ぎと音の下がり過ぎには注意です。