おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

賛成しかねますが

2020年02月20日 | 書籍紹介
前回、”「賢い子」に育てる究極のコツ”という本をご紹介いたしました。

この本に「音楽は幼いうちに始めた方が絶対いい」とあります。
音楽は、その人の好奇心と人生を一生涯を通じて豊かに広げてくれる。そのスタートは幼い頃に始めたピアノかもしれないからと。著者の方ご自身もそうなのだそうです。

このこと自体は素晴らしいと思います。

始める時期ですが、細かな運動(巧緻運動/こうちうんどう)、つまり器用な手先は3~5歳の時期に身に付きやすいからこの時期に始めるのが良いと。

五嶋みどりさん、五嶋龍さん、卓球の福原愛さん、体操の内村航平さんも3歳から始めていると。

内村さんはどうか存じ上げないのですが、五嶋さんたちや福原さんはお母様が毎日練習を徹底的に見てあげていたと思います。
その条件下なら3歳からでも良いのかもしれません。

しかし、多くの生徒さんは、この年齢で週に1度のレッスンでご家族にピアノ経験がない場合上手くいく例はほぼないと思います。

ピアノは左右で異なることをするので脳梁という神経線維を発達させ、脳と手をつなぐ錐体路(すいたいろ)の発達も見られると。

電子ピアノだったら比較的安価で手に入り、ピアノ教室も周りにたくさんある。そういった意味でも始めるハードルが比較的低い、とあります。

この考え方、全く賛成できません。
何のためにピアノを習うのか、脳のためなのか・・

人間の脳は後ろから発達して前から壊れていくそうです。

後頭葉(視覚情報)→側頭葉(聴覚)→頭頂葉(空間認知、触感、体の動き)→前頭葉(記憶、思考、判断力、コミュニケーション力)の順に発達するそうです。

視覚、聴覚は0歳から、運動は3~5歳、コミュニケーション力は10歳~思春期に発達するそうです。

さて、ロシアンメソッドでレッスンをしているとわかると思いますが、4歳半の生徒さんでも指先はクネクネです。本人も何のために指先を強く保つのかわからないと思います。

ところが5歳近くになると急に手がしっかりしてきます。
こうなると弾きやすくなります。年長さんでもクネクネだなと思っていたらあっという間に指先がしっかりしてきます。
指先を強く保ち腕の重さを使うことを教えられてこなかった生徒さんは、7歳になっても8歳になってもクネクネです。当然音質はよくありません。

脳のことだけで手軽にピアノレッスンを勧められると教える側は正直迷惑です。
海外のピアニストの多くは5歳からピアノを習い始めています。

3歳からというピアニストも稀にいますが、それは親御さんがピアニストだったりピアノ教師だったりする場合です。
環境によって始めるのに適した年齢は存在すると思います。

小さいうちは、家庭で音楽を聴くだけで十分だと思っています。

そういえば、年中の生徒さんの生後3か月の弟がお母様と一緒にレッスン室に入っているのですが、この弟が、少し前まで高音の音はスヤスヤしていても中音域を大きく弾かれるとグズリ始めていました。

それで私も大きく弾けなくてとても控え目な音で弾いておりました。
ところが先週、指でかつかつ弾いたら「ンン~」と呻き、肩から重さを使って深く柔らかく弾きましたらその声がピタリと止みました。

0歳児聴覚発達中です。

それから、CDの伴奏をかけた時に音量が大きくなっていたことがあり、ビックリしてしゃっくりが出始めたこともありました。

いやいや、申し訳ない。驚かせてしまいました・・

この本、先程の内容は賛成できませんが、その他は良いことが書かれています。
何より心強かったことは「子どもの能力が伸びるのも伸びないのも、親の関わり方次第です」という言葉。

イリーナ先生も「子供の成長は親次第」とおっしゃっています。
もちろんピアノレッスンは親御さんと教師の両方の翼あってこそです。

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