おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

インヴェンションNo.1 実用版比較(Edition vol.8)

2020年01月06日 | エディション研究
曲全体を表にしてみました。



小さくて見づらいと思いますが、ご勘弁を。

楽譜は次のものを選びました。

初稿
清書譜
原典版ーベーレンライター(2005年発行)/ヘンレ(1979年発行)/ウィーン原典版/(2007年発行Leisinger校訂)ペータース版(ランツホッフ)
実用版ー春秋社(井口基成)/春秋社(園田高広)/ペータース版(ツェルニー)/ブライトコプフ(ブゾーニ)

この曲で問題になるのは冒頭と最後だと思います。

【1,2小節目】
自筆譜には初稿、清書譜共にプラルトリラーにもかかわらず、実用版を見ると園田さん以外はモルデントです。
どういうことでしょう・・

井口さんは旋律の動きからこの方が良いと書かれています。
あっさりこれだけの理由でそのようにされています。

モルデントで「A」が聞こえるのと、プラルトリラーで「C」が聞こえるのでは主音に解決する力が全く違います。私には「A」にするともったり聞こえてしまいます。一瞬Ⅱ度のように聞こえ、そのあとⅤ度の進行がなくⅠ度に進むので違和感を感じます。
そのⅠ度さえa-mollのⅠ度かと錯覚します。

子供の頃モルデントで弾いた私にはなんとなくその感覚がシックリきていませんでした。明るいはずなのに暗い・・
今考えるとa-mollかと思ったのに違うんだ、ということだったのだと思います。

【最終小節】
原典版は清書譜はフェルマータがオクターブに見えているだけと判断し、左手は全ての版で単音にしています。

それに対し、実用版はオクターブにしているものが多いようです。
日本の実用版は何を資料にしているのでしょうか・・
もしや、ツェルニー?

市田儀一郎さんの版を生徒に使っていたことがあるのですが、これはベーレンライターを底本にしていたと思います。
原典版と実用版の間という感じの楽譜です。
ディナーミクは書いていません。テーマが書かれているのが特徴です。
テーマは自分で見つけてほしいので、この版じゃない方が良かったなと思いました。

ランツホッフ校訂の版は、譜割りが見やすいので使っています。
同じ音域でもト音記号で書かれるのとヘ音記号で書かれるのでは感覚的に違うのです。ランツホッフはその点が滑らかに感じるように書かれています。シンフォニアも弾きやすく書かれています。

原典版には指使いも書いてくれていますのでそこも参考に選ぶと良いと思います。
ベーレンライターは指使いありとなしがあったと思います。

次回はその指使いを見ることにします。
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