おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

位置付け

2024年09月26日 | 不思議な音の国

グネーシナの「ピアノのABC 」という教本があります。

細かなタッチを習得する教本で、全50曲。

特徴は初見で弾けてしまいそうな少ない音数、多くが8小節程度の短い曲であること。


しかし、アーティキュレーションが複雑で両手で合わせるのに神経を使います。

50曲を通して弾くと、初心者ではない私でもかなり頭が疲れます。


この本は、ピアノを始めて1年目の子ども用です。
グネーシナが作ったので、プロになる選ばれた子ども用ということです。


ロシア(旧ソ連)のピアノ導入教本の特徴は、左右で異なるアーティキュレーションの複雑さとポリフォニーが主体であること。

耳と頭を使うように作られているのだと思います。


この教本は曲を弾くための基礎。一般に基礎といっても色々とあると思います。

読譜、スケール·アルペジオ、セオリー、ソルフェージュなど。


この教本は音を作り出すためのテクニックの基礎です。

「不思議な音の国」下巻はこのグネーシナの「ピアノのABC 」系統の教本と言えると思います。

そこにセオリーが加えられたもの。それで1冊で済むオールインワンという認識。


しかし、グネーシナの「ピアノのABC 」は内容は異なりますが、分かりやすく言うとバーナムのような存在。バーナムはスケール·アルペジオ系ですので、内容はグネーシナと全く異なりますが、これ自体をメインに使うものではないと思います。


私は「不思議な音の国」を重力奏法習得の基礎のための本と捉えていましたが、重力奏法は海外では常識で、不思議の教本はその先の内容まで含んでおり、一種の練習曲の集まりと位置付けた方が良いのではと思います。

重力奏法の基礎が身に付かなければ何も始まらないと考えておりましたが、イリーナ先生のレッスンを拝見していて、この2冊でそれを習得するわけではないと思いました。

実際は上巻の音を読むまでには鍵盤の上から手を置いて弾けるようにし、あとは指導者が指の支えや腕が下がらないように注意を促し、手を添えて手助けしながら徐々に一人で出来るようにしています。


だからこの教本上下巻に何年もかけることはせず、1年経ったらさっさと次の本に進む。補助が必要なのは長くて1年という意味なのだと思います。



バーナムは音が順番に進むとか、音型パターンが決まっているなど譜読みが単純です。

それに比べると不思議の教本やグネーシナはもっと音楽的なので、譜読みは難しくはありませんが曲を覚えられる程度の練習は必要です。

その譜読み&タッチを要求するのが不思議の教本なので、譜読みに時間のかかる子どもは、タッチが複雑ではなく、ポリフォニーの要素も少ない教本で補う必要があると、気付きました。


イリーナ先生が1曲に3回以上レッスンをせず先に進むと仰っているのは、奏法が十分に満足行くものではなくともという意味だと思います。

私もそのつもりで進めておりましたが、奏法云々以前に、通して弾くことすら1曲に1ヶ月以上掛かる生徒が現れたので、満足に通して弾くことすら出来ていないのに曲を終わらせるわけにはいかずで困っておりました。

かと言って、これ以上短い曲で内容がこの教本に近いものがなかったので、悶々としながら不思議の教本を使い続けておりました。

細かなタッチの弾き分けとポリフォニーの要素を減らす方向に目を向けるべきでした。

9月に入って遅ればせながらそこを見直し、不思議な音の国上巻でスムーズに進んでいる生徒でも下巻に備えて他の教本を併用するようにしました。


必然的に曲が増えるので、レッスンも1曲にかける時間は短いです。2回弾いて直せなければもう1週間練習です。

1回ですぐに合格出来る曲もあればそうではない曲もある。
3~4曲あればどの程度弾けたら合格出来るのか分かってくると思います。


曲が多いと負担になるかと考えていましたが、遠慮した結果を見ると単に甘やかしただけのように思います。

本来、ピアノは自分で練習を進めていかなければ力は付きませんし、好きな曲が弾けるようにもなりませんので、難しいものではなくともどんどん弾ける曲で自信を付けてもらおうと思います。


単なる原点回帰。


でも、中身は少しは成長しているはず··


   


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