アマゾンわんわん日記 2018

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52歳の大学新入生

2014年07月17日 | ブラジル雑記
ブラジリアで駐車場の誘導係(Flanelinha)として働く、ジョゼおじさん。
マラニョン州の州都サンルイス郊外から9年前にブラジリアに出てきました。
故郷ではアルミニウム工場で働いていたジョゼおじさん、都会に出ればもっと良い仕事があるはずと、ブラジリアにやってきたのです。

しかし、ブラジリアは官公庁の街、サンパウロのように商業分野での仕事があるわけでもなく、マナウスのように工場での仕事はあるわけでもありません。
何度か職を転々としながらも、結局思うような仕事に就けなかったジョゼおじさん、ブラジリア大学近くで駐車場の誘導係として働くことになりました。

この駐車場の誘導係と言うのは、その駐車場に雇われているわけなく、駐車しようとしている車を見つけ、自分が車の見張り番をしているからと声をかけ、車が出るときにチップをもらうと言うものです。
チップは強制ではないので、払わない人もいるし、その額もさまざま。
あまり人によく思われる職業と言うわけではありません。
駐車しようとする人の中には、あからさまに差別的な態度を示す人もいるそうです。

それでも生活のため、ジョゼおじさんは一生懸命に働きました。
しかし、どんなに働いても、状況は一向に良くなりません。
今年初め、叔父さんは一大決心をしました!

「よし、大学に行こう!
 大学にいって、学位をとればきっと良い仕事があるはずだ!」

そのためには、まず、勉強をしなくては!
最後に学校の机に座ったのは、実に29年前!
故郷のマラニョンで、高校生のときでした。
勉強のための本も何もない。

ジョゼおじさんは、近くの予備校を訪れました。
そして、校長先生に「どうしてもブラジリア大学に行きたいんです。何とか奨学生として勉強させてください。」と頼みました。
最初は相手にしなかった校長先生でしたが、何度も熱心に頼み込むジョゼおじさんの熱意にほだされて、入学を許可しました。

それからのおじさんは、昼間は駐車場の誘導係として仕事、夜は予備校で勉強と言う生活。
昼間も、暇さえあれば、本を広げては勉強をしていたそうです。
その姿は他の予備校生たちにも良い刺激となり、叔父さんの在籍したクラスの生徒達はみんな良い影響を受けたとか。

そして6月、ブラジリア大学の前期入学試験がありました。
この前期入学試験を行う大学は、現在ブラジルの公立大学では、数が少なくなっています。
特に今年から、ブラジリア大学は後期入学試験の合格枠をすべて、全国統一試験(ENEM)と3年間の累積試験(PAS)にしてしまったため、今年の前期入学試験の倍率は大変なものだったとか。
娘が昨年合格したのも、この前期入学試験ででした。

ジョゼおじさん、勉強のかいあって、無事に、見事に、環境学科夜間部に合格!
52歳の大学新入生の誕生です!
これから4年間、昼間は相変わらずの駐車場誘導係として働き、夜に大学に通い予定です。

おじさんのがんばりは、人々の注目を集め、朝の全国ニュースで報道されました。
入学手続きをして、その後学生証のための写真を撮影しているときのおじさんの顔は、とってもうれしそうでした。

そういう娘のクラスも現在18歳の娘が一番年下。
みんな20歳代、一番年上の人は30歳半ば?
いくつになっても「勉強することが成功につながる」と考えるブラジル人、しみじみ、すごいな~って思い、考えさせられます。

コメント (4)
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