テレビで日本の遊園地の映像が出てきました。
青空に大きく揺れあがる「バイキング」。
「あれ止めたんだもんな~」
「っていうか、止まるもんなんだねー、遊園地の遊具って。」
「バイキング」を見るたびに交わされる、夫との会話。
「バイキング」を停めた張本人は もちろん 娘。
* * * * *
今から16、7年前ぐらいのこと、夫はレシフェに単身赴任をしていました。
私と娘はリオ住まい。
月に1、2度レシフェを訪れていました。
娘が7歳ぐらいだった頃、レシフェ郊外に 結構大きな遊園地がありました。
昼の暑さを避け 夕方涼しくなった頃、行ってみることにしました。
メリーゴーランドやコーヒーカップなど 無難な乗り物を楽しんだ後、目についたのが「バイキング」。
「あれに乗ろうか?」娘を誘う夫。
「身長制限があるんじゃない?」と心配しましたが、係りの人に尋ねたら大丈夫だとのこと。
娘、人生初めてのドキドキ遊具体験。
緊張した面持ちで席に座り、目の前のグリップをしっかり握りしめています。
夫が隣に座り、私は地上から見守り...
...??...
2、3回 遊具がふれたかと思うと…
「ギャアアア~ 助けて~ もう降りる~」
どこからか聞こえる 日本語の叫び声と それに続くポルトガル語のアナウンス。
「お客様のご都合により、この遊具は一旦停止します。すぐにまた再開しますので そのまま引き続きお座りになってお待ちください。」
遊具がゆっくり止まり、降りて来たのは顔面蒼白の娘と夫。
君たちかい?「ご都合のあるお客さま」っつーのは?!
「すげーな、バイキング止めちゃうんだもんな~」
夫は感心することしきりでした。
* * * * *
あれから もう長い年月が立ったというのに、まだ語り継がれる娘の「バイキング事件」。
最近では、そこにさらに新たなコメントが加わるようになりました。
「バイキング止めた娘が バンジージャンプするんだもんな~。時代は変わるもんだよ。」
娘よ、君の「バイキング停止事件」は 君の行動の基準として 一生ついて回るようだよ。