デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



「天空からの招待状」という邦題がついている齊柏林(チー・ポーリン)監督「看見台湾」(2013)。このドキュメンタリー映画を知ったのは映画の歴史を研究する四方田犬彦氏によるエッセイ『台湾の歓び』(岩波書店)のなかで「看見台湾」について触れられていたからであるが、ここ数年で台湾の人と知り合うことが多くなってきたというのもあるだろう。
四方田犬彦氏のエッセイからの受け売りで、いつもの山に訪れる台湾からの旅行者にこの作品について訊ねると、「心から感動した」、「友人が作品を3度見て3度とも泣いた」などの感想が返ってくるので、これは見ておかねばならないと思った次第である。
鑑賞中の印象としてはおそらく見当違いというか映画のコンセプト自体が異なるように思えども、私個人はソクーロフの「エルミタージュ幻想」やロバート・レッドフォードの「リバーランズ・スルー・イット」を見ているような気になってきた。帝政ロシアの時代の幻想と(ましてやあの反知性主義の代名詞たる釣りの映画とは)、空撮による「看見台湾」が目指した台湾の神話創生かつナショナリズムの提示とは異なるとわかってはいれど、自国にかつてあったまたは今でもある誇るべきものを堂々と映像化しましたというのは伝わってきた。
映画という形ではないにせよ、「看見台湾」に見るようなテーマは日本でも映像化されていることもあって「看見台湾」に既視感を覚えるところもあった。きっとどの国の観衆も「看見台湾」に見られる既視感には共感を覚え、自らの国の自然や伝統、そして現状について思いを馳せるのではないだろうか。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )