相国寺境内で北海道から旅行で関西を訪れ、展の鑑賞を終えられた年配の夫妻に梅の木を背景に写真を写してくれるようお願いされた。喜んでシャッターを押させていただき、ついつい北海道の思い出を語ったら喜んでくださった。
さて展についてだが、私は喫茶店にはときどき行くものの、茶の湯と侘茶の違いなど普段から意識などしていないような者だが、そんな私でも展示内容には目を見張るものがあった。
展示されていた砧(きぬた)青磁茶碗の説明に「浙江省の龍泉釜でつくられた上質な青磁を砧青磁という」とあって、紹興酒や「蘭亭序」のイメージだけで浙江省を語るのはもったいないなと思った。
茶の湯の歴史を見た感じがしたのは17世紀の茶の文化について記した「隔蓂記(かくめいき)」と「隔蓂記」にある実物の品が並列して展示されているところセクションだった。これこそ一級の資料だ、誰かが記録として残してくれたことでリアルに感じる歴史というのはこういうことだと分かった気がした。
ほか貴重な墨蹟も見れたし、その内容には書いた人の嘆きたい気持ちが吐露されているものもあり、現代の人間でも思わず共感できてしまうようなものには笑みを浮かべてしまった。