無忝堂(ムチョムダン)
サランチェ
パンフレットによると無忝堂は朝鮮時代中期に建てられた。朝鮮時代の儒学者で官吏だった李彦迪(1491-1553、ペンネームHoejae)の家族の先祖代々の家で、上流階級の住居の一部であるサランチェ (男性の宿舎) の増築棟として、迎賓館、休憩所、図書館など、さまざまな用途に使用されていたという。
解説にはこうあったが、核家族が当たり前な世代及び21世紀に入ってから生まれた人には、韓国の伝統的な住宅、韓屋(ハンオク)についてのイメージが付きにくいかもしれない。
たとえば、解説にあるサランチェとは漢字では舎廊棟と書き、丸カッコで男性の宿舎と付されているが、それは言い換えると男主人の居間(起居空間)で、客人を招いて接待する男の空間という意味である。そういう棟なので開放的なつくりであるのが分かる。
男主人の棟があるということは婦人と子どもたちの棟もある。それをアンチェ(内棟)というがその棟はサランチェよりも奥にあり、閉鎖的なアンチェには夫と子ども以外の男性(客人)は近づくことができない。それが伝統的な韓屋の特徴といえる。
誤解しないでいただきたいが、決して現代生活に適応しようとしない因襲に凝り固まった人の家屋だ!などと言いたいわけじゃない。
「現代人が忘れてしまった昔ながらの生活ってあこがれる~」「それを見にいけて貴重だった」と韓屋を懐古趣味的な印象だけで見たり、その思い出を振り返るだけでなく、現地で見た家屋と儒教文化が実生活に入り込んでいる関係性のリアリティが想像できればより有意義な訪問となると思ったのだ。
テチョンマル(板の間)
韓屋についての図解は
こちらのサイトがある。かなり参考になった。