憧憬、大艦巨砲主義w

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悔恨。

2006-09-20 12:22:57 | 俺だよ、オレ。
 

あまり、良く知らない、同僚が病気で死んだ。
まだ、30ソコソコらしい。2児の父だそうだ。

この会社に入社して、オレは3年目に異動になった。
もともと、オレは埼玉の出身なのだが、この異動先の千葉も、全く知らない土地だった。土地勘も全くないし、知人も誰一人いない。

当時営業職だったオレは、3人チームの一員になった。4つ上のA氏と、新入社員、3年生のオレ、のチームだ。
当社は、先輩が後輩の面倒を見ていくOJTで成り立っている会社だが、このA氏、良くも悪くも自己責任の考えの御仁で、特に指導らしい指導もなかった。
ま、迷惑掛けた時はだいぶ譴責を受けたのでソレが、彼なりの指導だったかもしれない。
でも、特に尊敬できる部分もなく、親しい訳でもなく、数多い先輩の一人だった。
ま、オレが、会社生活にどっぷり漬かるタイプの人間でもなかったから、そう感じただけかな、とも思う。

3~4年して、女子の営業職が入社してきた。
OJTも含めて、なんやかんや彼女と絡む機会もそれなりにあって、イロイロ、プライベートなハナシをすることもあった。
当然、A氏と彼女も接点を持つことも多かった。

A氏は彼女に、恋をした。

A氏は、酒が好きで、飲み会の場などでは、後輩を「ツブす」ような飲ませ方をするのはデフォルトだった。
ある飲み会で、A氏が後輩を酔いつぶさせてしまったのに、彼を放置して、彼女と次に出かけてしまったことがあって、オレは見かねて諫言したことなんかもあった。
そう、A氏はみっともないほど、彼女に恋していたのだ。
オレは、何となく、そんなA氏がうらやましくも思えたのを覚えている。

しばらくして、彼女と業務車同乗で、出かける機会があった。
A氏から、結婚の申し込みがあって、嬉しいのだが苦しんでいる、と言う。
「Aさんってば、勝負、はやっ!」っと思った。

彼女は、割と田舎の伝統的な家の娘で、10以上もトシの離れた、風采の上がらない(あくまで見た目で、A氏は仕事のデキるヒトだった)外見のドコの馬の骨とも知らんオトコに娘はヤレない、ということらしい。

オレは、「未来の自分が、過去の自分を恨むようなことの、ないように決断したらイイ」ってなコトを彼女に言ったように思う。

そして彼女は、寿退社となり、しばらくして、A氏は昇進異動となって、オレの視界から、消えていった。
数年に一回ほどの縁があってA氏とは顔を合わす機会があったのだが、表面を超える会話は、特になかったが、幸福そうだった。
彼女は、1回だけ、コドモを見せに職場に来たことがあったかしら。


その、A氏が、ガンで死んだ。


同僚と共に通夜に行った。
年長組の長女は「父の死」の意味さえ知らずに「お母さん、もう、泣かないで」と、泣きはらした顔の母の肩に手を掛ける。
1歳に満たない2子は、父親の記憶は何も残らない。前回に会ったトキ、「二人目が生まれる」と、A氏が言っていた乳児だ。

彼女が弔問客にアイサツに来た。
オレは、彼女にかけるコトバを持っていなかった。
彼女を癒せるコトバなど、ない。
おためごかしの同情など、今の彼女の、子供らの、何になるのだ。


オレが、彼女の悲しみをどうのこうのできるコトなど何もないのだ。
オレは、ココに来て、彼女に何を、言うつもりだったのか!


お決まりの弔問コトバを投げる同僚と、ソレを受ける彼女に背を向け、オレはその場を逃げ出した。

オレは、彼女から逃げるコトしかできなかった。
本当の、悲しみから、逃げるコトしかできなかった。


オレが納得しうる、勇気と誠意は、ドコで手に入れられるのか!


「未来の自分が、過去の自分を恨むようなことの、ないように決断したらイイ」
カンタンにエラソーなこと言ったくせに、本当の悲しみの前で、オレは逃げ出すことしかできなかったのだ。
オレはタダの軽薄ヤローじゃないか。

冒頭のような、訃報を受け取るたびに、かつての「軽薄な自分」に対する、悔恨が、また、蘇ってくる。
コメント
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