謙虚。

会うべくして、と言うか、偶然と言うか、久しぶりの友人に会った。今は、年数回しか顔をあわせる機会がない。少し残念だが、ま、みんなが、トシを取るに従って、自分の生活を持っているのだから、仕方がない。
色々ハナシを聞いていたら、「今、あの人は」の話題になった。

７～８年くらい前、ホれていた女の話題。もちろん、彼は、その頃のオレを知っている。

数ヶ月前、某バイク雑誌に、写真入で出ていた、と、言う。彼は、数年ぶりにバイク雑誌を購入した、とのたまう。
表情が変わるのを読み取られまいと、必死に平静を装ったが、「うわぁぁぁぁっ、ヤツの話題かよっ！」と、思っていた。

オレにとっては、生き方の転機になる恋（ハズっ！）だったのだが、セキメンものの話題だ。
今でこそ、形而上なポーズに終始し、何でも解ったような顔しているが、思い出すのも恥ずかしいくらい、ミットモナイくらい、一所懸命に、恋したのだ。

自分が忘れ去っていることでも、友人は、見逃してはくれない。オレが恋していた女を記憶していて、たまたま見かけたその雑誌を購入したりしているのだ。
自分の記憶は、都合悪いコトや、恥ずかしい(その時はそう思っていない）コトを封印し、忘却の彼方に追いやっているが、その時間を共有した人は、そのことをカンタンに忘れたりしないのだ。

そんな、自分がかつて存在したことを、忘れてはいけないのだ。
尊大な発言はそのコントラストを、より、コミカルに現実化する。

いいコにしなければ。

　またもや、笑殺。