いろり端(3)

2007年02月15日 | 健康・病気
中学2年の秋の終わり頃だったかな。
おやじとおふくろが囲炉裏にあたっていた。
でも、なんとなくおかしな雰囲気だった。
おやじの話す言葉にとがるものがあった。
おれは、テレビをひとりで観ていた。
兄はお風呂に入っていた。

いきなり「バチン」という音がした。
振り向いて囲炉裏のほうを見ると、
おやじが火箸でおふくろの背中を殴っていた。
火箸の材質は鉄で、5ミリほどの太さで
30センチぐらいの長さだった。
それを2本わしづかみにして、
おやじがおふくろの背中を何度も叩いていた。
「父ちゃん、やめでころよ。やめでころよ」
おれは叫んだ。
おふくろは立ち上がって座敷を駆けて逃げた。
そして縁側の端の雨戸を開けて庭へ逃げた。

兄が急いで風呂から出て来た。
おやじは雨戸を閉め、
「2度と家(うぢ)にいれねぇかんな」
と庭に向かってどなった。

そのあとしばらくしてから、
兄とおれとでおふくろを家の中に入れた。
そのあと、どうしたのかよく覚えていない。

あとで兄から聞いた話では、
その日、畑に行くときおふくろは
仕事に必要なものを持って行かなかったらしい。
それにおやじは腹を立てていた。
おそらくそれまでにもおふくろは、
そんなことが何回もあったのだろう。
おやじもその日は我慢ができなくて、
あんなことになったようだ。

あの日はホントに怖かった。
おやじがおふくろを殴るのを見たのはあのときだけだった。
目をつぶるとあのの光景が浮かぶ。

生家の“いろり端”にはいろんな思い出がある。
家族が集まる場所なのでいろいろな出来事が起きたのです。
こんなことを書いていると、ちょびっと涙がにじんだりする。

コメント
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