私は、早朝2時に目が覚めてしまった。
それからラジオ深夜便を聴いていた。
6時過ぎに起きて、6時半にはラジオ体操をした。
「朝飯は?」と女房に訊くと、「ない」と素っ気ない。
仕方ないので、30メートルほど離れたコンビニに買いに行く。
冷凍したご飯があったので、レトルトのチキンステーキときんぴらゴボウを買った。
店長がいた。
こんな朝早くにいるということは、バイトが休んだせいだろう、と思った。
じつは、私が軽井沢に行く前の2ヶ月間に、ここで深夜にバイトをしていた。
「Aさん、おはようございます」
「ああ・・・、**さん」
「おれ今日引っ越します。いろいろお世話になりました」
「いえ、なにも・・・」
店長はあのとき30歳ぐらいだったから、今は35・6歳だと思う。
無口なシャイな男だった。
ひょっとするとまだ独身かも知れない。
コンビニの雇われ店長は過酷だろう、女性とつきあう時間などないと思う。
そんなことは話さずにコンビニを出た。
家に帰り、食事してから引越の準備をした。
大部分は女房がやっておいてくれた。
私は、ネットの機器を外してNTTに返すものを梱包したり、テレビのアンテナの接続を外したり、
テレビを解体して箱に詰めたりした。
ガスレンジを捨てなくてはならなかった。
市役所に電話して訊くとすぐ近くに持って行けばよかった。
コンビニで400円のシールを買いそれを貼って持って行った。
引越会社の人が来る約束の時間は午後1時から4時ということだった。
前の引越が延びると遅くなるらしい(午後の料金はその分安いようだ)。
4時頃来たら困るなと思った。
その夜、昔の友人たちと所沢で飲むことになっていた。
女房の電話に引越会社から1時半から2時までにうかがうと電話があった。
それまでゆったりしていた私と女房は、いっきに引越気分になった。
朝から雨は降っていたが、午後になって雪がまじっていた。
かなり本降りになった。
引越スタッフは3人で、ひとり若い女性がいたのには驚いた。
3人はキビキビ動いた。
1時40分ぐらいに来て、50分ほどで荷物を全部積んでしまった。
どのように引越先まで行くのか訊くと、高速道路で行くという。
時間が勝負の仕事なのだ。
一般道を通れば1時間半かかるところだが、高速道路で行くと30分で行ける。
私と女房は、貴重品や壊れ物を積んで自分の車で行った。
私たちが先に着いて、荷物をを降ろしているとトラックが来た。
降ろすのは、積むときより早かった。
清瀬はエレベーターのない3階だった。
雪はどんどんやまずに降っていて、あたりは雪景色になっていた。
3人の引越スタッフはよくやってくれた。
トラックが行ってから、私と女房は引越荷物をバラしてそれなりの位置に置いた。
とうとう“自分の家”に暮らすことになるんだな、とあらためて思った。
前日、女房がガスを止めてしまったから風呂に入れなかった。
風呂にお湯を入れ入った。
ステンレスの浴槽で気分よかった。
築29年の中古住宅だが、“おれには十分だ”と思った。
これから女房と2人でこの家を、きれいに住みやすくしていきます。