8月の中旬、右上の歯に違和感があった。
舌でさぐると穴があった。
虫歯ができていた。
困ったな、というのが最初の気持ちだった。
しかし、困っていてもしかたがない。
歯科医院に行くしかない。
私が所沢に住んでいたときには、半年に一度歯科医院に行っていた。
ところが、5年前に軽井沢に来てから歯科医院に行っていない。
軽井沢や佐久市で歯科医院を探すことが億劫だった。
インターネットで軽井沢の歯科医院を調べた。
5つほどメモした。
8月の20日、床屋に行ったときに「このへんの歯医者さんはどこがいいですかね?」と訊いてみた。
ある歯科医院を教えてくれた。
「1回の治療が長く、何回も行かなくてもいいのが良かった」と床屋のマスターがいった。
これまでの経験で、歯科医院に行ってもちょこっとしか治療をしないところがあった。
あれは面倒だった。
まとめて治療してもらえたらいいと思っていた。
そのときに紹介してもらった歯科医院に予約の電話をした。
9月3日午前10時ということになった。
2週間も先の予約に気が遠くなった。
私は今日、朝食のあと歯を磨き、シャワーを浴び、
歯科医院に行く前にリステリンで口をゆすぎ歯間ブラシを使ってからまた歯磨きをした。
9時45分に医院に着いた。
10時10分、スタイルの良い女性に名前を呼ばれ、治療用のイスに坐った。
「どうされました?」と訊かれたので、「虫歯ができたようです」と答えた。
それからその女性が、私の歯の状態を時間をかけて見て記録して、現状を話してくれた。
穴が開いたまわりにも虫歯になりそうなところがあり、それも治療したほうがいいという。
歯周病にはなってないので大丈夫ですといってくれたことには、ホッとした。
私は、その人が歯科医師かな、と思った。
でも確かホームページを見ると、ここは男の医師だった。
それとも医師が2人いるのかな?と勝手なことを想像した。
でも、こんなに素敵な女性だったら、まァいいか、と思った。
マスクをしているので顔は見られない。
(いったいおれは、何をしにここに来ているんだ!)
レントゲンを撮ってから、そのあと年配の男の医師がやってきた。
治療の流れを説明してくれた。
そのときに女性は歯科衛生士だということがわかった。
「レントゲンで見ると、虫歯の穴が、神経のそばまで来ているので今日は神経を取ります。いいですか?」
「はい、おまかせします」
「そのつもりで来てないのに、最初の治療で神経を取られると聞いて怒る患者さんがいるんですよ」
麻酔の注射をして、3分後に歯を削って神経を取られた。
注射の針が歯茎に刺さるときにちょっと痛かったが、あとはなんでもなかった。
治療が終わって待合室に戻って時計を見ると10時47分だった。
私は、歯の治療ではかなり過酷なことを経験してきているので、今日は楽だった。
美しい?歯科衛生士さんの接客じゃない、“接患者”の態度も良かった。
これでは、次に来ることが楽しみになってしまう。
歯科医院の駐車場を出てから私は、ツルヤに行って夕食用の食材の買い物をした。
久しぶりに、ビン長マグロの刺身を買った。
2004年11月1日の九想話「歯周内科治療」