第97回オール讀物新人賞受賞作「新芽」(三木雅彦 オール讀物11月号)を読んだ。
江戸から明治へと変るときの武士の話。
涌井鏡介のいた釜形藩は、版籍奉還に伴って消滅した。
職をさがしていた鏡介は、「立田散髪処」と筆書きされた看板を見つける。
これが、噂に聞く散髪屋か。
物珍しくて棒立ちしていたら・・・立田が鋏で鏡介の髪を刈っていた。
鏡介はザンギリ頭にしてもらい、立田に弟子入りすることとなった。
鏡介には妻(美代)がいた。
鏡介が立田散髪処で散髪の修業を始めて1か月もしたころ、
美代が身ごもった。
ある日、若かったころ剣術道場で一、二を争った旧友の折本直之進と再会する。
直之進は、幕末のいざこざで父親を何者かに殺害され、
その仇をとることを生きる目標にしていた。
直之進の父親を斬ったのは、鏡介だった。
うまい小説だと思った。
次の展開を楽しみにどんどん読めた。
選考委員のきびしい意見もあったが、私はこの小説が好きです。
三木雅彦は27歳、すごいです。
すばらしい小説家になってほしいです。