徒然留学日記

30にしてドイツ留学を思い立ち、その後結婚。日々経験したこと、感じたことをつづっています

本- The Morning After by Lisa Jackson

2024-01-26 15:50:57 | DVD・本
相変わらずgooのトップページにはつながらないので、いつブログも見られなくなるかわからないので、つながる間はしばらく投稿を続けようと思う。





「The Morning After」が手元に来た。知らない著者さんだったので、とりあえず調べた。

日本語のウィキペディアにエントリーがあり、「ロマンス小説のジャンルではベストセラー作家」と書かれていた。作品リストを見たら、日本語訳が主に90年代にハーレクインから10冊以上出版されていたので、「ハーレクインは読んだことないし、プロローグだけ読んで全部読むかどうか決めよう」と、プロローグ5ページを読んだ。

腐敗中の他人の棺に生きたまま入れられ、その中で目を覚ました被害者

の混乱と絶望が書かれていた。
「え?これ、ハーレクイン?どんなストーリーになるの?」と思ってウィキペディアを読み返した。
2000年以降はハーレクイン以外の出版社からも日本語訳が出版されていて、どうやら私が読み始めた本は

サスペンス

だったよう。

棺に入れられた被害者は救出されるのか、犯人は誰なのか、どうストーリーが進んでいくのか気になり、読み続けることにした。

犯人はThe Survivorという名前で序盤から時々登場し、犯行を重ねるのだけれど、棺にマイクを仕掛けて被害者の最後の声を聞いたり、その声をカセットテープに録音して被害者友人に届けたり、犯人が新聞記者の自宅に侵入(鍵をこじ開けた形跡なし)し、新聞記者が「まだ犯人がいるかも」と思いながら自宅を点検する様子とか、後日、愛車のタイヤが4つともパンクして立ち往生していたところに「お困りですか?」と声をかけてきた男性が犯人なのかそれとも善意の第三者なのか分からず、新聞記者が精神的に追い詰められている様子とかに「うわ…」と思うのだけれど、次が気になって読み進められた作品だった。

途中からロマンス色が強くなり、結局犯人は新聞記者の自宅にどうやって侵入したのか、とか、最初の被害者宅の留守電のメッセージを消去したのは誰?何のため?とか、いろいろ疑問は残った(読み落としてなければ)。最近の日本の小説は伏線の回収が見事なばかりか、「これも回収するんだ」というのも多いので、特に新聞記者宅侵入の手口については、誰が合鍵を持っていたのかが何度も出てきたので、「これもスルーか」と少し物足りなかった(読み落としてなければ)。

英語は割と簡単で、知らない単語、言い回しなどはあるものの、同じ単語が繰り返し出てくるので1回調べればOK。さらに、繰り返し出てくることで記憶にも残るので、サスペンス(とロマンス)をお好きな英語を勉強している方にお勧めな1冊。

この作品には、警察関係者にオカノさん、ヒロインの愛車がスバル、ヒロイン親友の飼い犬の名前がミカドと出てきた。このシリーズの1冊目が日本で出版されている(邦題『アトロポスの女神に召されて』)ので、日本マーケットを意識したのかな、と思ったけれど、本作品は翻訳されていなくて残念。

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本ー夜あけ朝あけ

2023-09-30 16:42:43 | DVD・本


今年の帰国中に段ボール箱3箱に詰まった本の整理中、住井すゑの「夜あけ朝あけ」を見つけた。

購入したこともすっかり忘れていたけれど、この本は、尊敬していた研究室の先輩が『今、「橋のない川」を読んでいるんだけど』と話し始めたことをきっかけに購入した。「橋のない川」はタイトルだけ知っていたので、「私も読んでみよう」と、本屋さんに行ったものの、

全7冊

という大作だったので、「読めないな」と思い、同じ著者の別の作品を購入したのだった。

当時の私は本を読むことは好きだったけれど、文学作品は全く楽しめなかった。
今の私も文学作品は「読みたい」と思いつつもなかなかハードルが高い。

で、「夜あけ朝あけ」も購入したものの、読んでいない本だった。父は戦死、母は破傷風で急死、残された祖母と4人の子ども(一番上が中学3年生)で生きていく、というあらすじを読んだだけで気後れした。

あれから20年以上経ち、せっかくだから読んでみよう、と読み始めた。薄い本(190ページ程度)なのですぐに読み終えた。

自分達が食べる米にも困るほどの過剰供出が割り当てられたり、母が急死したために機織りで得ていた貴重な現金収入がなくなったりしたけれど、決して暗い話ではなく、まっすぐに生きる人たちの、希望のある美しい物語だった。

少し調べてみたら、この作品は

児童文学作品

だそうで、私がイメージする児童文学とは違っていたので、ちょっとびっくりした。

「橋のない川」も読みたくなった。

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本-China shakes the world by James Kynge

2022-09-27 16:53:04 | DVD・本


タイトル(大まかな訳:中国が世界を揺るがす)を見てなぜか「ちょっと読んでみようか」と思ってしまった本。普段は小説以外の洋書は手に取らないけれど、この本は「外国から見た中国を読んでみるのも面白いかも」と思ったのだと思う。

邦訳も出ていて、邦題は「中国が世界をメチャクチャにする」。
内容に対してこのタイトルはちょっと過激すぎるような気がする。

著者は中国に留学経験のあるイギリス人で、中国語も流暢らしい。
中国に留学した経験がある、ということで、中国びいきで書かれているのかな、と思ったけれど、自分で調査したこと、経験したことが中立の立場から書かれていてとても面白かった。

本自体は2004年の半ばから約1年半くらいかけて調査・執筆されたようで、内容は古く、主に文化革命以降から2000年代初頭の中国が書かれている(ブランドの違法コピー、知的財産権の侵害、中国人労働者に対する搾取、蛇頭による密入国、石油の買い占めなど)。

いろいろな側面から書かれているため、私があまり興味のない章ではわからない単語は放置し、ざくっと大まかな流れをつかんだだけだったけれど、面白かった章は辞書を引きながらでも続きが気になってなかなか本を閉じられなかった。

興味を引いた部分の1つは蛇頭によるイタリア密入国。蛇頭はそのままsnake head。Snake headがsnake bodyを引き連れて密入国の旅をする。著者が実際にインタビューをしたsnake bodyの1人だった中国人は、ロシア国内だったか、ロシアに向かう途中だったか、電車に乗っているときに蛇頭に「危険」の連絡が入り

走行中の電車から飛び降りた

らしい。そのほかの蛇頭の密入国の方法も書かれていてとても興味深かった。

もう1つは

住民票乗っ取り

。大学に合格した、と先生から連絡をもらったのに、いつの間にか不合格になっていて、その後の人生があまりうまくいっていないときに住民票を動かす必要が出てきたので、動かそうとしたら自分の住民票はすでに別の町に移動されていた。そんな時、同じ町に住む同姓同名の女性が出産したようで、その同姓同名の女性の同僚という人ががお祝いをもって自分の実家に来た(自分は出産していない。その町に同姓同名の人はいない)。気になって調べてみたら、高校時代の友人(別の名前)が自分の名前で銀行で働いていた(結婚して出産済み)、という、ミステリーというか、自分の身に起こったらホラーだよね、という箇所は、本当に読むのをやめられなかった(戸籍乗っ取りの宮部みゆき著の「火車」を思い出してドキドキした)。

政治的、経済的、文化的な点からももちろん書かれていて、本当にたまたま読んだ本だったけれど(読むのにも時間がかかったけれど)、読んでよかった本だった。

中国の人口を支えるための資源は中国国内だけでは不十分なので、資源を海外に求め、そのために森林破壊(違法伐採)など、環境への影響が甚大、ということで、著者の言う

人口(の多さ)は中国の矛盾である。一番の強みであるのと同時に一番の弱みでもある。

に納得した。


今回も知らない単語がたくさんあったけれど、印象に残ったのは

repair

。repairといえば、「修理する、直す」がすぐに思い浮かぶけれど、今回、正確な文章は忘れてしまったけれど、「会議の後、ランチに(を、へ)repairした」と読めた。「修理する、直す」は明らかに違うので辞書で調べた。

(大勢で)行く、赴く

とあった。なるほど、「ランチに行った」だけのね…

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映画-ラーメンより大切なもの~The God of Ramen

2022-03-09 16:24:35 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から10本目は印南貴史監督の2013年公開の『ラーメンより大切なもの』(英語字幕付き)。東池袋にあった大勝軒のマスター・山岸一雄さんの2001年ごろから10年くらい撮影したものをまとめたドキュメンタリー映画。

ラーメンよりは、マスターの山岸一雄さんの生き様にスポットを当てた作品。山岸さんは見た目通り温厚な方で、来るもの拒まず去るもの追わずで、リストラされた素人さえ弟子として受け入れ、家庭の事情で急きょ辞めることになった時にはお餞別を持たせていた。

請われれば自分の持っている知識すべてを渡し、弟子たち(マスターにお墨付きをもらったわけではなさそう)が「大勝軒」と名乗る店を持ってものれん代を請求するわけでもなく、また、『お客さんに喜んでもらいたいから』と、麺もチャーシューも大盛り(自分の店を持った弟子の1人は『お客さんが残すのが分かっていてあそこまで大盛りは、採算が取れないので僕にはできない』と言っていた)で、お金には無関心な方だと思った。

温厚な山岸さんが声を荒げたのが、撮影スタッフが大勝軒の上の部屋(奥様と過ごした思い出の部屋で、奥様が亡くなった後は開かずの間)を見せてほしい、と言ったときだったけれど、結局東池袋再開発の時に取り壊されたときに撮影していた。山岸さんにきちんと許可をもらったのかな、と気になった。

行列が途切れないラーメン屋さんだったらしいけれど、味はもちろん、マスターの人柄もその理由だったんだろうな、と思った。


//////
この映画が映画祭で鑑賞した最後の映画。ドイツでは15本鑑賞でき、そのうち10本見たので、かなり見た。ソクチくんはアニメを1本1人で見たので、11本見たことになる。黒澤明監督の『羅生門』はドイツでは見られなかった。残念。

今回の映画祭のテーマは『旅行』だったそう。確かに青森や北海道の景色を見たし、江戸時代や未来(アニメ)に時間旅行もした。ドイツでは今回が2回目だそうで、来年も同じようにあるといいなぁ。

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映画-ハッピーフライト~Happy Flight

2022-03-07 15:40:58 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から9本目は矢口史靖監督の『ハッピーフライト』(2008年公開)。

ホノルル行きの飛行機が舞台、と知り、「ホノルルの景色を見られるのかな?」と期待したけれど、羽田を出発して途中で機材トラブルで羽田に引き返したので、羽田空港内と機内のみだった。

出発前から小さな問題が発生、最後は畳みかけるように問題が頻発し、私もドキドキしながら見てとても楽しかった。
緊急時、コックピットでは意外に人が判断することが多いんだな、と思った(トラブルの原因がそれぞれ違うので当然か)。

グランドスタッフを演じた田畑智子さんが飛行機が出発する際に『戻って来るなよ~』とつぶやいていたけれど、これ、とてもよく理解できる。

私は会社員時代、チャーター便運航に関わっていたことがある。チャーター便は使用機材に対して滑走路が十分長ければどの空港でも許可を得たうえで離発着できたので、日本全国の空港を利用した(入管・税関・検疫が常駐していない空港も、管轄の港湾事務所が出張対応してくれる)。ヨーロッパ系の航空会社だったので、空港での実際のハンドリングは日系航空会社に委託したけれど、責任者として誰かが当日空港に行く必要があった。
が、

沖縄は遠すぎて誰も行きたがらない(日曜日+日帰り)

ので、私が毎回行った(行かされた)。

その日も那覇空港で無事チャーター便を見送り、後は私が帰るだけ、と、空港内をうろうろしていたらハンドリング会社のディスパッチから電話がかかってきた。『

飛行機、引き返している

ので、事務所に来てください』と。

事務所に行って話を聞いたら、『中国上空通過の許可が取れていなかったようで、今那覇空港に引き返しています。飛行しながら北朝鮮上空通過の許可を取るつもりらしいです』と言われた。「北朝鮮上空は無理じゃない?」と思ったら、やっぱり無理だったので結局

シベリア上空

にルート変更した。どこまで行ってどのくらい引き返したのかは不明だったけれど、燃料が不安だったので、一応ハンドリング会社のモスクワ事務所にも『給油のため着陸の可能性あり』とメッセージを打ってもらったけれど、

ノンストップで無事目的地に到着

した。
実際には那覇空港に戻ってくることなく、私がしたことも特にはなく、ただ私の帰宅が遅くなっただけだったけれど、仕事にこういうドキドキは本当不要。その後はチャーター便を見送るたびに「問題なく飛んでいってね」と心から願うようになったので、田畑さんの『戻って来るなよ~』はよくわかる。
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映画-オズランド 笑顔の魔法おしえます。~OZLAND

2022-03-06 17:42:00 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から8本目は、波多野貴文監督の2018年公開の『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』。

熊本県の遊園地が舞台で、主人公が仕事を通して成長する様子が描かれる。上司、同僚などいい人ばかりで嫌味な人・意地悪な人が登場しない(アイドルグループのエピソードは、わがままではあるけれど、意地悪ではないと思う)ので、安心してみられる作品だった。主人公の遠距離恋愛中の彼氏ですら、私の「浮気して終わるんじゃない?」の予想に反して割といい人だった。

遊園地でのイベント、出来事としてはコミカルに誇張されていてあまり現実的ではなさそうだけれど、面白かった。
が、「ここが特によかった!」、「ここがいまいちだった」とすぐには浮かんでこないので、多くの点で私が思う「王道ストーリー」から大きく外れていないのだと思う。

鑑賞後はほのぼのと穏やかになれる作品。
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映画-サマーフィルムにのって~It's a Summer Film!

2022-03-04 16:47:51 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から7本目は、松本壮史監督の2021年公開の『サマーフィルムにのって』(英語字幕付き)。この映画だけ、私とソクチくんで感想が割れた。2人とも、『主演女優さんの演技が大げさすぎる』というのは一致したけれど、私は『嫌味はないし、そういう演出ということでアリ』、ソクチくんは『わざとらしくて現実にあり得なさすぎるのでダメ』だった。

100分弱の短めの映画で、「友情も恋愛もSFもアクションも」ということだったので、あれこれ忙しくてバタバタする映画かな、と思ったけれど、起承転結があり、まとまっていてよかった。短めの映画だけあって、読んでいる本や映画撮影を手伝ってくれる同級生の登場場面なども少し後に『なるほど』とつながり、面白かった。

凛太郎は、ハダシ監督の最初の作品を見たいだけなら、もっと文化祭近くになってから来ればよかったのに、とか、最後のチャンバラは突発的だったにもかかわらずみんな統制取れてるな、とか、思うところはいくつもあったけれど、私はこういう映画も悪くないね、と思った。こちらの高校生活は前に見た「ReLIFE」よりもなかなか熱かった。

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映画-ツナグ~Until the Break of Dawn

2022-03-03 13:07:00 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から6本目は2012年公開の平川雄一朗監督の『ツナグ』。映画祭には20作品がエントリーされていたけれど、ドイツで見られるのはそのうち15作品。『絶対に見たい』作品は鑑賞済みになったので、『次は何見る?』とソクチくんと未鑑賞の作品のあらすじをチェックし始めた。

『ツナグ』は、『Until the Break of Dawn』でエントリーされていたので『「夜が明けるまで」?聞いたことない映画』と思っていたけれど、サムネイルに樹木希林さんが写っていたので「これは見るべきじゃない?」と思って詳細を調べたら『ツナグ』だった。

『ツナグ』は小説を読んで面白かったので、早速映画を見た。
ほとんど小説通りだったのではないかと思う。私は小説を読んで「親友の心得」が心にちくっとして一番好きなのだけれど、映画では橋本愛さんと大野いとさんが熱演していてとてもよかった。

小説を読んだときは、ホテルはビジネスホテルからシティホテルの間のややビジネスホテルよりを勝手に想像していたけれど、映画のホテルは部屋は広く、調度品は豪華でびっくりした。高級ホテルの1室だったのか。

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映画-ReLIFE

2022-03-01 12:39:13 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」から5本目は2017年公開の古澤健監督の『ReLIFE』(英語字幕付き)。

27歳のフリーター・海崎(演:中川大志)が1年間10歳若返って高校生3年生になり、高校卒業後、その経験を就職につなげる、というプログラムに参加する。
中川さん、27歳と高校生で印象がかなり違い、びっくり。

『私が思い出す高校生活は全体的には楽しかった記憶だけれど、よくよく考えてみると受験勉強がきつかったから、今更再び高校生活はしたくないわ』と、思ったけれど、「自分の過去の高校生活に戻る」わけではなく、「現在の高校生にまざる」1年間で、新しい友人と新しい高校生活でさわやかな映画だった。

結末は「まぁ、その職業しかないよね」と思ったけれど、悪くない。
が、映画の締めくくりとしてみれば当然だけれど、それまでの話の流れから、日代さんの職業選択はかなり意外だった。

卒業式に撮った写真がその後出てこなかったのはちょっと残念。他の高校生の記憶から海崎が消えるので、海崎がどのように写っているのか、あるいは写っていないのか気になる。

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映画-しあわせのパン~Bread of Happiness

2022-02-27 14:18:17 | DVD・本
国際交流基金主催の「Japanese Film Festival online」の4本目は、この映画祭を教えてくれたタンデムパートナーが『とてもよかった。次の日本旅行ではぜひ北海道に行きたい』と言っていた2012年公開の三島有紀子監督の『しあわせのパン』(英語字幕付き)。


北海道の田舎でおしゃれなカフェを営む夫婦の物語で、たぶん多くの人が「こういう暮らしに憧れる」と思うだろう生活が描かれている。こういう雰囲気を好きな人は楽しめる映画だと思うけれど、私はついつい現実を映画に持ち込んでしまうため、合わなかった。

カフェ、どうやって採算を取っているんだろうとか、オーブン、外にあるみたいだけれど、冬の間も稼働するのかしら?とか、若い女性客がシャワーを浴びているところに知り合いの青年にタオルを持って行ってもらうオーナー妻、などの描写を見て『これは憧れの生活を描いたメルヘンまたはファンタジー(オーナー夫婦は互いに『りえさん』『水縞くん』と呼び合って微妙な距離感を醸し出しているし)』と思って見たけれど、最後、りえさんが妊娠して、「100%メルヘンというわけでもないね」と、よく分からない映画だった。オーナー夫婦が縁もゆかりもない場所でカフェを開くことになった経緯や夫婦の謎の距離感も、意味ありげに語られていたけれど結局分からなかったのがちょっと消化不良。

映像は色遣いや小物の配置などがとてもきれい(そしてそれらが主演の原田知世さんにぴったり合う)だった。

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