「もう抵抗も限界だ」
「淮西の元濟のようにならないうちにだな・・・」
「しかしどうしたらいいんですか、殿は皇帝から最も憎まれています」
「朝廷になんの手づるもありません」
成徳の王承宗の幕府では、毎日幕僚達との深刻な会議が続いていた。
元和12年ついに淮西の呉元濟が平定された。
平盧の李師道とも連携した反朝廷三道連合も一角がくずれた。
しかも魏博の田弘正によって分断され、幽州の劉總は南下して圧迫してくる。
「もう勝ち目はまったくありません」
「師道がやられるか、殿がやられるかです」と幕僚達
その時参謀の崔燧が言った。
「ただ一人だけ、朝廷に殿を取りなせる方がいます」
「誰だそれは、そんな者がいるのか!」と承宗は叫んだ。
「弘正殿です」と燧
「あいつと俺は犬猿の仲だぞ」と承宗
「弘正殿は儒学の徒、すこぶる公正さを重んじられます。殿が身を低くして願えば厭とは・・・」
「弘正殿なら、皇帝もとりなしを拒むことはできますまい」
「あいつに頭を下げるのか」承宗は呻いた。
「お家のためです。いまのままでは敗北し、殿の家は族滅されます」
「師道をみすてるのか?」
「師道がまだ抵抗している時だから可能性があるのです」
「やむおえまい」承宗が断じた。
係争の地である徳棣二州を献上し、すべての男子を人質に出すという条件で
弘正はとりなし、承宗は赦された。
翌年、平盧の師道は誅殺され、李家は族滅された。
「淮西の元濟のようにならないうちにだな・・・」
「しかしどうしたらいいんですか、殿は皇帝から最も憎まれています」
「朝廷になんの手づるもありません」
成徳の王承宗の幕府では、毎日幕僚達との深刻な会議が続いていた。
元和12年ついに淮西の呉元濟が平定された。
平盧の李師道とも連携した反朝廷三道連合も一角がくずれた。
しかも魏博の田弘正によって分断され、幽州の劉總は南下して圧迫してくる。
「もう勝ち目はまったくありません」
「師道がやられるか、殿がやられるかです」と幕僚達
その時参謀の崔燧が言った。
「ただ一人だけ、朝廷に殿を取りなせる方がいます」
「誰だそれは、そんな者がいるのか!」と承宗は叫んだ。
「弘正殿です」と燧
「あいつと俺は犬猿の仲だぞ」と承宗
「弘正殿は儒学の徒、すこぶる公正さを重んじられます。殿が身を低くして願えば厭とは・・・」
「弘正殿なら、皇帝もとりなしを拒むことはできますまい」
「あいつに頭を下げるのか」承宗は呻いた。
「お家のためです。いまのままでは敗北し、殿の家は族滅されます」
「師道をみすてるのか?」
「師道がまだ抵抗している時だから可能性があるのです」
「やむおえまい」承宗が断じた。
係争の地である徳棣二州を献上し、すべての男子を人質に出すという条件で
弘正はとりなし、承宗は赦された。
翌年、平盧の師道は誅殺され、李家は族滅された。