唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

減税

2006-07-27 09:38:28 | Weblog
ある時、宣宗皇帝はお忍びで狩猟の途中に百姓家に立ち寄り、湯を求めた。

「近頃、生活はどうかの」

「苦しいですわ、生きていくのがやっとですわ」と百姓

「どうしてか、収穫は良いと聞いているが」と帝

「税金がどんどん増えるし、使役も厳しくてたまりませんわ」

「いくら収穫が増えても、それ以上に巻き上げられますだ」

善政をしいているはずの帝は心外であった。

「昨年も今年も減税になったのではないのかな?」

「上の方はなにもご存じないのですよ、本当の税はすこしばかりです」

「官吏どもがその何倍も裏税をとっとるんです」

「本当の税が半分になっても、裏税は変わらんのです」

「それどころか、昨年から新たな裏税ができたとです」

「帝のご命令なんか守る連中ではないんです」

「内廷では宦官共が、外廷では官僚共が朕を欺いている」

と皇帝は憮然として百姓家を立ち去った。